「最高位」格付け取得しても…AIIBが信用されないワケ
アジアインフラ投資銀行(AIIB)が米格付け会社ムーディーズから最上位のAaaの格付けを取得したと報じられた。かつて、本コラムでAIIBの資金調達力、特に資金調達レートの高さに関する疑問を書いた。なぜ、AIIBに資金が集まらないかといえば、中国にはまだ信用力がないからで、その資金調達レートが高いからだ。
AIIBの融資には、最大の出資国である中国の信用力が反映されるが、その信用力は日本や米国などと比較すると依然低いとし、その結果としてAIIBの債券が、国際金融機関としては異例の「格付けなし」の状態に陥っているとも書いた。読者の中には、AIIBが格付けを取得できたのだから、資金調達力の問題がクリアできたと勘違いする人もいるかもしれない。しかし、格付けはその背後にいる国の信用力があって初めて意味が出てくる。
AIIBや中国が何らかの働きかけを行ったのかは不明だが、市場原理にそぐわない高い格付けを得ても信用を得られるものではない。リーマン・ショックを生んだサブプライムローン問題では、格付けに対する不信感を招く事態もあった。日米の後押しがないAIIBでは、いくら良い格付けになっても実際の資金調達レートは低くならないだろう。
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AIIBの貸出レートは日米が後ろ盾になっているADB(アジア開発銀行)の貸出レートより1%も「割高」になっていたし、これからも変わらない可能性もある。せっかくアジア経済を支援するために設立されたにもかかわらず、逆に余計な「負担」を掛けてしまっているのだ。AIIBがそんな体たらくでは、その動きに連動してアジアで人民元の存在感を高めることなどできない。もし仮にAIIBが軌道に乗ったとしても、筆者の見立てでは当分の間、人民元が国際通貨になることはなさそうだ。それは中国の体制が政治的自由や民主主義を認めず、経済的自由も達成できない一党独裁だからにほかならない。
ドル、ユーロ、ポンド、円など、国際通貨というものは、国際取引や為替取引に使用される通貨のことだ。国際通貨としての機能を果たすためにはいくつか条件がある。まず、経済大国であること、発達した為替・金融資本市場を持つこと、そして対外取引の自由・透明性が確保できていることだ。 これを人民元に当てはめてみると、国際通貨にはまだとてもなれないことがよくわかる。為替・金融資本市場はまだ発達途上だし、対外取引自由には依然不透明な部分が残るなど経済的自由が達成されているとはいえないのが実情だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/
【管理人 補足記事&コメント】
2017年4月29日、香港メディアのフェニックステレビが28日放映したインタビューの中で、自民党の二階俊博幹事長がアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加の可能性について言及したと報じている。インタビューの中で二階幹事長は、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」について、「日本としては最大限協力していくつもり」だと明言。また、「日中友好を心から願ってずっと努力をしてきた。この道に間違いはないと確信している」と述べ、日中関係を難しい状況に持っていこうとする人が両国の一部にいるものの、妨害は許されないとし、日中友好を促進していく考えを示した。
また、中国主導のAIIBへの日本の加入について問われると、「日本が参加する可能性もあると見ていただいて結構だ」と述べ、日本の参加の可能性を示唆したという。 AIIBの設立に先立ち、中国の財政部(日本の財務省に相当)が日本、米国を含めたG7各国に参加を求めていた。だが米国は、AIIBに常設の理事会を設けないために運営体制に透明性がないと危惧し、G7諸国に参加しないように求めていた。ところが、参加を見合わせるはずだったG7のヨーロッパ勢が、いずれも参加した。読売新聞は社説でAIIBについて、「これまで、詳細な融資基準や資金調達の具体的方法などを明示してこなかった。市場からの信頼を確立し、安定的に資金を調達できるのだろうか」と強い疑問符を示し、「日米はAIIBへの出資を見送った。公平で中立な運営が期待できない以上、妥当な判断だ」と指摘している。
二階幹事長にも困りごとだが、中国のための中国のAIIBである。自国環境汚染でアジア開発銀行から融資を受けたが、いきなりAIIBでは都合悪いだろう。一方、開業2年目に入ったAIIBは80の加盟国・地域を擁し、16件の事業に総額25億ドル(約2804億円)の融資を承認するなど、その活動を拡大している。ムーディーズから最上位格付けを得たことで、単独融資を進めたいAIIBは、国際金融市場で資本増強に向けた債券発行の道が開けたとした。
AIIBの融資には、最大の出資国である中国の信用力が反映されるが、その信用力は日本や米国などと比較すると依然低いとし、その結果としてAIIBの債券が、国際金融機関としては異例の「格付けなし」の状態に陥っているとも書いた。読者の中には、AIIBが格付けを取得できたのだから、資金調達力の問題がクリアできたと勘違いする人もいるかもしれない。しかし、格付けはその背後にいる国の信用力があって初めて意味が出てくる。
AIIBや中国が何らかの働きかけを行ったのかは不明だが、市場原理にそぐわない高い格付けを得ても信用を得られるものではない。リーマン・ショックを生んだサブプライムローン問題では、格付けに対する不信感を招く事態もあった。日米の後押しがないAIIBでは、いくら良い格付けになっても実際の資金調達レートは低くならないだろう。
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AIIBの貸出レートは日米が後ろ盾になっているADB(アジア開発銀行)の貸出レートより1%も「割高」になっていたし、これからも変わらない可能性もある。せっかくアジア経済を支援するために設立されたにもかかわらず、逆に余計な「負担」を掛けてしまっているのだ。AIIBがそんな体たらくでは、その動きに連動してアジアで人民元の存在感を高めることなどできない。もし仮にAIIBが軌道に乗ったとしても、筆者の見立てでは当分の間、人民元が国際通貨になることはなさそうだ。それは中国の体制が政治的自由や民主主義を認めず、経済的自由も達成できない一党独裁だからにほかならない。
ドル、ユーロ、ポンド、円など、国際通貨というものは、国際取引や為替取引に使用される通貨のことだ。国際通貨としての機能を果たすためにはいくつか条件がある。まず、経済大国であること、発達した為替・金融資本市場を持つこと、そして対外取引の自由・透明性が確保できていることだ。 これを人民元に当てはめてみると、国際通貨にはまだとてもなれないことがよくわかる。為替・金融資本市場はまだ発達途上だし、対外取引自由には依然不透明な部分が残るなど経済的自由が達成されているとはいえないのが実情だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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【管理人 補足記事&コメント】
2017年4月29日、香港メディアのフェニックステレビが28日放映したインタビューの中で、自民党の二階俊博幹事長がアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加の可能性について言及したと報じている。インタビューの中で二階幹事長は、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」について、「日本としては最大限協力していくつもり」だと明言。また、「日中友好を心から願ってずっと努力をしてきた。この道に間違いはないと確信している」と述べ、日中関係を難しい状況に持っていこうとする人が両国の一部にいるものの、妨害は許されないとし、日中友好を促進していく考えを示した。
また、中国主導のAIIBへの日本の加入について問われると、「日本が参加する可能性もあると見ていただいて結構だ」と述べ、日本の参加の可能性を示唆したという。 AIIBの設立に先立ち、中国の財政部(日本の財務省に相当)が日本、米国を含めたG7各国に参加を求めていた。だが米国は、AIIBに常設の理事会を設けないために運営体制に透明性がないと危惧し、G7諸国に参加しないように求めていた。ところが、参加を見合わせるはずだったG7のヨーロッパ勢が、いずれも参加した。読売新聞は社説でAIIBについて、「これまで、詳細な融資基準や資金調達の具体的方法などを明示してこなかった。市場からの信頼を確立し、安定的に資金を調達できるのだろうか」と強い疑問符を示し、「日米はAIIBへの出資を見送った。公平で中立な運営が期待できない以上、妥当な判断だ」と指摘している。
二階幹事長にも困りごとだが、中国のための中国のAIIBである。自国環境汚染でアジア開発銀行から融資を受けたが、いきなりAIIBでは都合悪いだろう。一方、開業2年目に入ったAIIBは80の加盟国・地域を擁し、16件の事業に総額25億ドル(約2804億円)の融資を承認するなど、その活動を拡大している。ムーディーズから最上位格付けを得たことで、単独融資を進めたいAIIBは、国際金融市場で資本増強に向けた債券発行の道が開けたとした。
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連絡先 monma@asahinet.jp
どれくらいの利回りで出回るのでしょう。
世界的に国債利回りは上がり気味です。
10年もの
・中国 3.6%
・米国 2,3%
・韓国 2.2%
・日本 0.1%
米日韓から乗り換えを引っ張るとして、リスク込みで中国債
プラスαで4.5%くらい。
そうなると、貸し出しは1%上乗せして5.5%くらい。
単純な融資ではなくて、中国都合でいろいろヒモつきでしょう。
一帯一路エリアは戦略があるから優先的に貸すのか?
貸すほうも借りる方もやばい。