業界利益の優先は国民に不公正だ 日銀と金融機関のあるべき関係
日銀のマイナス金利について、黒田東彦(はるひこ)体制以前の「旧日銀」関係者や金融機関、経済メディアから、批判的な見解が多くみられる。例えば、元日銀理事の早川英男氏は、ブルームバーグのインタビューで、マイナス金利について「(金融機関は)何の相談もなくひどい仕打ちを受け裏切られたという感情的な怒りの方が大きい」と述べている。早川氏は、黒田総裁が日銀執行部に「マイナス金利を検討せよ」と指示をした上で、政策決定会合で導入を決めるべきだったとしている。 筆者はこの報道を読んでびっくりした。マイナス金利について事前に金融機関に相談していなかったことが問題だと批判しているようにも読めるからだ。同時に、旧日銀と金融機関、経済メディアの関係がうっすらと見えてきたような気もした。
マイナス金利は、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の利息をマイナスにするのだが、その逆に、日銀が当座預金の一部に0・1%の利息を付けたのは、白川方明(まさあき)前総裁時代の日銀の2008年10月からだ。 そのとき、旧日銀は、事前に金融機関に相談したのだろうか。もちろん、利息をつけるわけだから、金融機関は歓迎だったにちがいない。早川氏のインタビューでは、金融機関は「量的・質的金融緩和の下で当座預金を積み上げる日銀の政策に協力して国債を売却してきた」ともしている。「金融行政」と「金融政策」は、同じ「金融」という用語を使っていても、まったく別物である。マクロ経済政策である金融政策は、物価と雇用を安定化させるために実施されるもので、その過程では金融業界が不利益になることもある。ましてや、業界行政のようにマクロ経済政策を事前に相談するということはまったく考えられない話だ。
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仮に一部業界のみが金融政策の内容を知っていれば、インサイダー取引を誘発して、国民にとって不公正だ。だからこそ日銀の決定会合の直前には、ブラックアウト・ルール(金融政策や金融経済情勢に関し、外部に対して発言しないこと)があり、政策委員会委員は外部との接触を控えている。
ところが、旧日銀時代は、政策決定会合の中身が発表前に外部の金融機関や経済メディアにたびたび漏れ、当局の「地ならし」という言葉もまことしやかに聞かれた。秘密を守るべき金融政策が、業界優先の金融行政の感覚で行われた結果、金融機関や経済メディアに情報が流れていたのではないかと筆者は憶測している。 仮に何らかの形で情報が入れば、金融機関は収益の機会になるし、経済メディアも特オチ(他社に出し抜かれること)の心配はない。そのような良い環境で、日銀に文句を言うはずがない。
逆にいえば、マイナス金利を旧日銀関係者や金融機関、経済メディアが批判するのは、まともにブラックアウト・ルールが貫徹されて、情報管理がきちんとできていたことの裏返しではないか。これは、金融政策を実施する上で望ましいことだ。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160426/dms1604260830003-n1.htm
【管理人コメント】
通常の場合、我々が銀行に預金すると、微々たるものですが利子がつきますね。少しずつ増えていきます。これが、マイナス金利になると、預金している分の利子を、銀行へ払わなければならなくなります。これがマイナス金利です。と言っても、今回の「マイナス金利」は日本銀行と各金融機関における金利の話であって、我々が利用する銀行の預金利子がただちにマイナスになる、というわけではない。
日銀にお金を眠らせておくよりも、企業へ貸し出して金利収入を得たり、他の投資に回したりしよう、という動きになるわけで、市場にお金を出回らせて、企業の設備投資と賃上げを後押しし、景気を刺激しようということです。最終的に、日銀は目標である物価上昇率2%に近づけていきたい、という意向がある。日本の金融政策は2008年のリーマンショックからゼロ金利政策を導入してきており、もう金利はこれ以上下げられないとしてきたわけで、従って金利はもういじれないから、量的緩和と質的緩和で対策を講じてきたわけです。量的緩和というのは、日銀が金融機関から国債を買い取って、銀行が自由に使えるお金を増やして市場に出回らせようとする政策です。
質的緩和というのは、日銀が金融機関から買い取る資産の対象を広げて、超長期国債やETFなどの金融商品も買い入れようとする動きのことで、どちらも、市場にお金を出回らせることが目的であるから、市場に円が出回れば、円量を考慮すれば円安誘導となる。つまり目的は為替において円安にする事であるから、マイナス金利は日本経済活性化の起爆剤として有効だろうという事です。しかし金融緩和ですら円安に動かない状態であるわけで、円量や市場の流れの動きは莫大である。その効果は実施してみないと何ともいいがたいわけで、とはいえ金融緩和とペアで実施することでより円安誘導にはなるのではと考えるが…。
マイナス金利は、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の利息をマイナスにするのだが、その逆に、日銀が当座預金の一部に0・1%の利息を付けたのは、白川方明(まさあき)前総裁時代の日銀の2008年10月からだ。 そのとき、旧日銀は、事前に金融機関に相談したのだろうか。もちろん、利息をつけるわけだから、金融機関は歓迎だったにちがいない。早川氏のインタビューでは、金融機関は「量的・質的金融緩和の下で当座預金を積み上げる日銀の政策に協力して国債を売却してきた」ともしている。「金融行政」と「金融政策」は、同じ「金融」という用語を使っていても、まったく別物である。マクロ経済政策である金融政策は、物価と雇用を安定化させるために実施されるもので、その過程では金融業界が不利益になることもある。ましてや、業界行政のようにマクロ経済政策を事前に相談するということはまったく考えられない話だ。
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仮に一部業界のみが金融政策の内容を知っていれば、インサイダー取引を誘発して、国民にとって不公正だ。だからこそ日銀の決定会合の直前には、ブラックアウト・ルール(金融政策や金融経済情勢に関し、外部に対して発言しないこと)があり、政策委員会委員は外部との接触を控えている。
ところが、旧日銀時代は、政策決定会合の中身が発表前に外部の金融機関や経済メディアにたびたび漏れ、当局の「地ならし」という言葉もまことしやかに聞かれた。秘密を守るべき金融政策が、業界優先の金融行政の感覚で行われた結果、金融機関や経済メディアに情報が流れていたのではないかと筆者は憶測している。 仮に何らかの形で情報が入れば、金融機関は収益の機会になるし、経済メディアも特オチ(他社に出し抜かれること)の心配はない。そのような良い環境で、日銀に文句を言うはずがない。
逆にいえば、マイナス金利を旧日銀関係者や金融機関、経済メディアが批判するのは、まともにブラックアウト・ルールが貫徹されて、情報管理がきちんとできていたことの裏返しではないか。これは、金融政策を実施する上で望ましいことだ。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160426/dms1604260830003-n1.htm
【管理人コメント】
通常の場合、我々が銀行に預金すると、微々たるものですが利子がつきますね。少しずつ増えていきます。これが、マイナス金利になると、預金している分の利子を、銀行へ払わなければならなくなります。これがマイナス金利です。と言っても、今回の「マイナス金利」は日本銀行と各金融機関における金利の話であって、我々が利用する銀行の預金利子がただちにマイナスになる、というわけではない。
日銀にお金を眠らせておくよりも、企業へ貸し出して金利収入を得たり、他の投資に回したりしよう、という動きになるわけで、市場にお金を出回らせて、企業の設備投資と賃上げを後押しし、景気を刺激しようということです。最終的に、日銀は目標である物価上昇率2%に近づけていきたい、という意向がある。日本の金融政策は2008年のリーマンショックからゼロ金利政策を導入してきており、もう金利はこれ以上下げられないとしてきたわけで、従って金利はもういじれないから、量的緩和と質的緩和で対策を講じてきたわけです。量的緩和というのは、日銀が金融機関から国債を買い取って、銀行が自由に使えるお金を増やして市場に出回らせようとする政策です。
質的緩和というのは、日銀が金融機関から買い取る資産の対象を広げて、超長期国債やETFなどの金融商品も買い入れようとする動きのことで、どちらも、市場にお金を出回らせることが目的であるから、市場に円が出回れば、円量を考慮すれば円安誘導となる。つまり目的は為替において円安にする事であるから、マイナス金利は日本経済活性化の起爆剤として有効だろうという事です。しかし金融緩和ですら円安に動かない状態であるわけで、円量や市場の流れの動きは莫大である。その効果は実施してみないと何ともいいがたいわけで、とはいえ金融緩和とペアで実施することでより円安誘導にはなるのではと考えるが…。
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連絡先 monma@asahinet.jp
日銀を監督するのは国(財務大臣)
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金融緩和関連で日銀のガバナンスに問題が
あるという話は聞かない。
ずいぶん前から市銀の収益は海外依存が高く、
国内は資金調達の場でしかない。
マイナス金利は、海外でビジネスをやれと、
日銀がダメ押しした政策じゃないですか。