北方領土交渉は12月に進展も 日露「引き分け」が現実的な解決か
9月の外交ウイークの中で安倍晋三首相とプーチン大統領が会談し、12月にはプーチン氏が訪日することで合意した。懸案の北方領土返還をめぐる交渉は進むのか。 北方領土問題はこの60年間、ほとんど進展していない。戦後のどさくさに旧ソ連に違法占拠されたままだ。1956年の日ソ共同宣言で法的な戦争状態は一応終結となったが、まだ平和条約は締結できていない。
これは、誰が考えても異常な状態だが、その理由は北方領土問題があるからだ。領土問題はいつの世も解決困難であり、極論すれば戦争でしか解決しないというのが世界の常識だ。その意味で、沖縄返還は世界史から見ても画期的な話だった。 そのほかの例としては、戦争以外では99年間の租借の後、香港の中国への返還、米国がアラスカをロシアから購入したことが有名な例だ。 今回の日露首脳会談は、ソチでの首脳会談において提示した8項目の「協力プラン」を具体的に日本からボールをロシアに返した。
ロシアの国内事情からいえば、北方領土と経済協力はまったく別物だ。8項目の協力プランは、日本の優れた技術を各分野で提供しており、中身はいいが、ロシアは北方領土と切り離して考えている。このため、ロシアは、最終的には北方領土を返さずに、平和条約を締結して、経済協力だけを引き出すのが戦略という見方も根強い。 北方領土に関する日本のスタンスは4島一括返還が先で、その後、平和条約を締結するというもの。
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ロシアは平和条約締結を先行させてその後2島返還で決着させると、両者の隔たりは大きい。ただ、筆者は、12月のプーチン大統領の訪日で、解決(日本にとっては完全解決ではなく一部解決)の可能性があると思っている。12月は次期米大統領の始動前で、米外交の空白時期だ。筆者の根拠は、これまでプーチン大統領が中国、カザフスタン、アゼルバイジャンで領土問題を解決してきた実績があるからだ。
ロシアは17カ国と国境を接しているので、領土問題の宝庫でもある。そしてプーチン大統領の領土問題解決の方法は、「引き分け」である。プーチン大統領は柔道家でもあり、日本語で「ヒキワケ」と言ったようだ。その引き分けは、日露間で平和条約を締結したうえで「2島返還プラスα」である。プラスαとしては、ロシアからのエネルギー確保のほか、残り2島について領土交渉できるような将来への布石がありうる。
1998年の橋本龍太郎首相とエリツィン大統領の川奈会談では、「4島を日本領土と確定させれば、ロシアの施政権を認める」と譲歩している。2001年イルクーツク首脳会談では、森喜朗首相がプーチン大統領に「2島先行返還で後の2島は継続協議」という案を示したこともある。 何もせずに問題が固定化すると、将来の解決がますます困難になるので、少しでも前進させるというのは現実的な解決策である。安倍首相がどう交渉するのか見ものである。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160914/dms1609140830004-n1.htm
【管理人コメント】
北方領土問題はこの60年間、ほとんど進展していないわけで、すでにロシア人が住みインフラまで進んで、簡単には日本へ返却はできないだろう。ただ共有領土権と言う道も無いわけではない…。複数の国家が同一の領域に対して共同に主権を行使する場合をいう。各種の統治機能を分割して行使する場合と,共同で行使する場合とがある。係争地域に対する妥協的解決として条約で設定されることが多い。北方領土で活用可能かは解からないが、共有領土権が有効ならば活用は可能だろう。
安倍政権下で話が進まなければ、今後はさらに難しくなるが…。
これは、誰が考えても異常な状態だが、その理由は北方領土問題があるからだ。領土問題はいつの世も解決困難であり、極論すれば戦争でしか解決しないというのが世界の常識だ。その意味で、沖縄返還は世界史から見ても画期的な話だった。 そのほかの例としては、戦争以外では99年間の租借の後、香港の中国への返還、米国がアラスカをロシアから購入したことが有名な例だ。 今回の日露首脳会談は、ソチでの首脳会談において提示した8項目の「協力プラン」を具体的に日本からボールをロシアに返した。
ロシアの国内事情からいえば、北方領土と経済協力はまったく別物だ。8項目の協力プランは、日本の優れた技術を各分野で提供しており、中身はいいが、ロシアは北方領土と切り離して考えている。このため、ロシアは、最終的には北方領土を返さずに、平和条約を締結して、経済協力だけを引き出すのが戦略という見方も根強い。 北方領土に関する日本のスタンスは4島一括返還が先で、その後、平和条約を締結するというもの。
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ロシアは平和条約締結を先行させてその後2島返還で決着させると、両者の隔たりは大きい。ただ、筆者は、12月のプーチン大統領の訪日で、解決(日本にとっては完全解決ではなく一部解決)の可能性があると思っている。12月は次期米大統領の始動前で、米外交の空白時期だ。筆者の根拠は、これまでプーチン大統領が中国、カザフスタン、アゼルバイジャンで領土問題を解決してきた実績があるからだ。
ロシアは17カ国と国境を接しているので、領土問題の宝庫でもある。そしてプーチン大統領の領土問題解決の方法は、「引き分け」である。プーチン大統領は柔道家でもあり、日本語で「ヒキワケ」と言ったようだ。その引き分けは、日露間で平和条約を締結したうえで「2島返還プラスα」である。プラスαとしては、ロシアからのエネルギー確保のほか、残り2島について領土交渉できるような将来への布石がありうる。
1998年の橋本龍太郎首相とエリツィン大統領の川奈会談では、「4島を日本領土と確定させれば、ロシアの施政権を認める」と譲歩している。2001年イルクーツク首脳会談では、森喜朗首相がプーチン大統領に「2島先行返還で後の2島は継続協議」という案を示したこともある。 何もせずに問題が固定化すると、将来の解決がますます困難になるので、少しでも前進させるというのは現実的な解決策である。安倍首相がどう交渉するのか見ものである。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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