20年後のノーベル賞のため、資金は国債発行で賄え 基礎研究こそ未来への投資だ
ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった東京工業大の大隅良典栄誉教授は記者会見で「科学が『役に立つ』という言葉が社会を駄目にしている。本当に役立つのは100年後かもしれない。将来を見据え、科学を一つの文化として認めてくれる社会にならないかと強く願っている」と話した。
今回の受賞は、20年以上前の1992年当時の業績が大きく貢献している。これから20年後もノーベル賞が出るような研究を続けるためには、日本の大学や基礎研究を取り巻く環境をどう改善すればいいのだろうか。 大隅氏はノーベル賞受賞以前にも科研費や研究環境について訴えている。「現在の科研費、とりわけ基盤研究の絶対額が不足しており、採択率がまだ圧倒的に低い。今の2、3倍になれば大学などの雰囲気も変わる」との主張だ。
科研費とは、科学研究費助成事業に基づく研究資金である。人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる独創的・先駆的な「学術研究」を対象としている。 学術研究については、「人間、社会、自然の中に潜む真理を探究することを目標にした知的な営み。自らの発想で自由にかつ責任を持って、原理や知見を徹底的に追究するという固有の特色」と説明されている。
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大学関係者であれば、多くの人がお世話になっている。2015年度の予算額は2273億円である。ただ、大隅氏の言うとおり採択率は低く、15年度の新規応募件数は約10万7000件だったが、新規採択件数は3割弱の約3万件にとどまっている。筆者は学生時代に数学を専攻したが、研究課題が社会の役に立つのは100~200年も先といわれていた。それどころか、まったく役に立たないかもしれないともいわれた。
ここで重要なポイントは、どんな研究が何の役に立つのかは、最初は誰にもわからないということだ。この意味で、基礎研究は選択と集中ができない分野だ。とはいえ、やらなければ当たらないし、社会への貢献もない。この意味で、基礎研究は未来への投資の典型である。下手な鉄砲ではないが、数多くやれば、確実に一定の成果はあるものだ。 こうした懐妊期間(研究開発から成果が出るまでの期間)が長く、広範囲に行う必要のある投資は、民間部門に任せるのは無理があり、やはり公的部門が主導すべきである。その場合、投資資金の財源は、税金ではなく、将来に見返りがあることを考えると、国債が適切である。
今の科研費など基礎研究は税金で賄っている。先日の本コラムで、今の文科省や財務省には教育を投資と考える発想はないと指摘したが、科研費はまさにその状況だ。 50年超の超長期国債や償還期限のないコンソル国債を発行し、未来への投資を国として行い、十分な研究資金を確保すべきである。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161008/dms1610081000002-n1.htm
【管理人コメント】
基礎研究は、すべてをつかさどる分子あるいは原子の構造にしても、例えば工業高校の機械科でも応用力学を勉強するが、金属組織から引っ張り応力を含めた組織を勉強するわけですが、私は大学卒業者を指導するうえで、高校レベルの応用力学の勉強をしっかり実施すれば十分通用するし、その道の大卒とは言え理解できない連中は多いわけで、基礎となる応用力学は非常に設計においても役に立つ。なぜそうなのかを突き詰めるのには基礎研究が必要となる。金属組織においても熱処理をすれば、その後の処理で組織は変化するわけだが、分子レベルまで考えれば、様々な研究に生かせるわけで、基礎研究とはいえ、非常に難しい。
天文学の世界でいえば、どうやって宇宙が出来たのかにつながるのと同じで、地球の中心すら今なお解明できてはいないわけであるから、温暖化対応にも基礎研究は重要な意味を成すのだろう。様々な分野において基礎研究はあるわけで、是非基礎研究に投資して、20年後には新しい研究が実を結ぶことを祈りたい。そういう努力が結果としてノーベル賞に結び付けば、なおありがたいという事である…。
今回の受賞は、20年以上前の1992年当時の業績が大きく貢献している。これから20年後もノーベル賞が出るような研究を続けるためには、日本の大学や基礎研究を取り巻く環境をどう改善すればいいのだろうか。 大隅氏はノーベル賞受賞以前にも科研費や研究環境について訴えている。「現在の科研費、とりわけ基盤研究の絶対額が不足しており、採択率がまだ圧倒的に低い。今の2、3倍になれば大学などの雰囲気も変わる」との主張だ。
科研費とは、科学研究費助成事業に基づく研究資金である。人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる独創的・先駆的な「学術研究」を対象としている。 学術研究については、「人間、社会、自然の中に潜む真理を探究することを目標にした知的な営み。自らの発想で自由にかつ責任を持って、原理や知見を徹底的に追究するという固有の特色」と説明されている。
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大学関係者であれば、多くの人がお世話になっている。2015年度の予算額は2273億円である。ただ、大隅氏の言うとおり採択率は低く、15年度の新規応募件数は約10万7000件だったが、新規採択件数は3割弱の約3万件にとどまっている。筆者は学生時代に数学を専攻したが、研究課題が社会の役に立つのは100~200年も先といわれていた。それどころか、まったく役に立たないかもしれないともいわれた。
ここで重要なポイントは、どんな研究が何の役に立つのかは、最初は誰にもわからないということだ。この意味で、基礎研究は選択と集中ができない分野だ。とはいえ、やらなければ当たらないし、社会への貢献もない。この意味で、基礎研究は未来への投資の典型である。下手な鉄砲ではないが、数多くやれば、確実に一定の成果はあるものだ。 こうした懐妊期間(研究開発から成果が出るまでの期間)が長く、広範囲に行う必要のある投資は、民間部門に任せるのは無理があり、やはり公的部門が主導すべきである。その場合、投資資金の財源は、税金ではなく、将来に見返りがあることを考えると、国債が適切である。
今の科研費など基礎研究は税金で賄っている。先日の本コラムで、今の文科省や財務省には教育を投資と考える発想はないと指摘したが、科研費はまさにその状況だ。 50年超の超長期国債や償還期限のないコンソル国債を発行し、未来への投資を国として行い、十分な研究資金を確保すべきである。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161008/dms1610081000002-n1.htm
【管理人コメント】
基礎研究は、すべてをつかさどる分子あるいは原子の構造にしても、例えば工業高校の機械科でも応用力学を勉強するが、金属組織から引っ張り応力を含めた組織を勉強するわけですが、私は大学卒業者を指導するうえで、高校レベルの応用力学の勉強をしっかり実施すれば十分通用するし、その道の大卒とは言え理解できない連中は多いわけで、基礎となる応用力学は非常に設計においても役に立つ。なぜそうなのかを突き詰めるのには基礎研究が必要となる。金属組織においても熱処理をすれば、その後の処理で組織は変化するわけだが、分子レベルまで考えれば、様々な研究に生かせるわけで、基礎研究とはいえ、非常に難しい。
天文学の世界でいえば、どうやって宇宙が出来たのかにつながるのと同じで、地球の中心すら今なお解明できてはいないわけであるから、温暖化対応にも基礎研究は重要な意味を成すのだろう。様々な分野において基礎研究はあるわけで、是非基礎研究に投資して、20年後には新しい研究が実を結ぶことを祈りたい。そういう努力が結果としてノーベル賞に結び付けば、なおありがたいという事である…。
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そういえば
どたばたさん
>そしてようやくかき集めたお金も農業補償や子供手当のばらまき予算に消えていった。
そういえば、民主党の時代に生活費支給は親族が海外に住んでいても支払うとした結果、大阪の在日韓国人が海外在住の親戚数百人分請求してきて、市役所からの問題提起と世論でそれは不可になった事件がありました。それでも、尖閣諸島問題と同様もみ消そうとしましたからね。民主党は!
いったい在日の人たちにいくら消えていったか。。。その文、日本のために投資していれば、今頃日本は。。。
市民派弁護士や活動家は蓮舫を訴えろ!
>そしてようやくかき集めたお金も農業補償や子供手当のばらまき予算に消えていった。
そういえば、民主党の時代に生活費支給は親族が海外に住んでいても支払うとした結果、大阪の在日韓国人が海外在住の親戚数百人分請求してきて、市役所からの問題提起と世論でそれは不可になった事件がありました。それでも、尖閣諸島問題と同様もみ消そうとしましたからね。民主党は!
いったい在日の人たちにいくら消えていったか。。。その文、日本のために投資していれば、今頃日本は。。。
市民派弁護士や活動家は蓮舫を訴えろ!
[ 2016/10/09 10:59 ]
[ 編集 ]
急がば回れ
一見、 少子化や老人介護に直接関係ないようであっても、 次のメシのタネになる基礎研究は重要なんだと思います。
とは言っても、 民間だけで出来る性格のものではないと思いますし、 先行投資として国がやらねばならない事だと思量します。
育児・教育・介護など、 なんやかや言ってもバラまくより自力で稼いで賄える方がいい。
国家と国民の資産を増やし、 雇用をしっかり確保すること、 これに尽きると考えます。 そうすりゃあ歳入だって自然と増えるんじゃないか? その為には、 どうしても先行投資が必要です。
ただ、 労働者≒消費者 であるという視点を忘れて貰っては困りますが。
とは言っても、 民間だけで出来る性格のものではないと思いますし、 先行投資として国がやらねばならない事だと思量します。
育児・教育・介護など、 なんやかや言ってもバラまくより自力で稼いで賄える方がいい。
国家と国民の資産を増やし、 雇用をしっかり確保すること、 これに尽きると考えます。 そうすりゃあ歳入だって自然と増えるんじゃないか? その為には、 どうしても先行投資が必要です。
ただ、 労働者≒消費者 であるという視点を忘れて貰っては困りますが。
[ 2016/10/09 22:49 ]
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確かに科学振興費なんて見方が違うと無駄金に見えます。知り合いの先生はごみ箱に集まる虫だけを研究していた。本人も「こんな研究しても世間の役に立つとは思わない」と言っていたくらいですが、「ただこの虫を見るのが面白い」と楽しそうだった。確かに多くの研究は無駄になるものが多い。ただ、一握りの政治家の判断だけで、無駄かどうか決めてしまうのは、民主党の仕分けでも分かる通り短絡すぎます。
世間に役立つかだけで研究費を決めるのは政治家や役人の狭量な判断です。情熱を持ってまじめに研究に取り組んでいるかどうかで、判断することも必要と思います。研究費が他の目的に使われていないか見るのは必要ですが、その研究が役に立つかどうかは長い目で見ないと分からないことが多い。
ソラマメの種がどのような割合に育つのか長年記録し続けたメンデル。彼の記録は死後、遺伝の法則として世間に評価されましたが、メンデルはただソラマメを育て、種の違いを記録するのが面白かっただけです。まじめな修道僧として一生を終え、決して法則を見つけるためソラマメを育てたとは思えない。
ゴミ溜めの虫からどうも偉大な研究成果は見つけられなかったようですが、研究費を私財に流用したという噂も聞かれません。知り合いの先生のように世間の注目を受けないまま研究生活を終えられた人がいます。でも派手な生活さえ望まなければ、まじめな研究生活ができる社会はよいことです。
狭量な政策は社会をせちがらくするだけです。