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高額紙幣廃止の影響と教訓 現金不足で混乱が生じたが キャッシュレス推進も重要だ

インドで高額紙幣を廃止したところ、大きな混乱が生じたと報じられている。最近ではベネズエラも高額紙幣を廃止すると報じられた。インドでは11月上旬に、モディ首相が1000ルピー(約1740円)と500ルピー(約870円)紙幣を廃止すると宣言した。これらはインドで使用されている紙幣の8~9割を占めているという。インドの1人当たり国内総生産(GDP)は日本の20分の1程度なので、日本でいえば、1万円札と5000円札に相当するといえるだろう。

インドが高額紙幣の廃止を打ち出したのは、紙幣偽造や脱税・不正蓄財に対するショック療法である。廃止された2種類の高額紙幣は銀行で新紙幣と交換できる。交換のために多くの人が銀行に押し寄せたが、新紙幣は旧紙幣の3分の1程度しか発行されていないので、インド社会は現金不足に陥っているというわけだ。 もともと、インドは現金取引の多い国である。主要国における現金紙幣の対GDP比が3~8%程度であるのに対して、インドは12%程度にのぼる。なお、日本は20%と主要国の中でダントツだ。この状況は異次元緩和以前から続いており、それだけ現金社会であることを表している。

偽造と脱税・不正蓄財の温床になる高額紙幣の廃止は、世界的な流れである。ユーロでも18年に500ユーロ札の印刷が停止されることが決まった。カナダやシンガポールも段階的に高額紙幣の流通を減らしているところだ。フィリピンやデンマークでは、電子決済への切り替えを推進している。米国では既に100ドル紙幣はあまり使われておらず、ローレンス・サマーズ元財務長官は廃止を訴えている。中国やスウェーデンでは、中央銀行が仮想通貨の発行を研究しており、高額紙幣の廃止とともに、「現金レス社会」への移行が大きな潮流である。


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インドでは、所得税を払う人はいないというほど、徴税システムが遅れている。現金取引をなくし、銀行、クレジットカード決済に移行すれば、税務当局による所得把握はかなり楽になるので、徴税の効率化になる。と同時に、インドではGDPの大きな部分が地下経済化しているとの指摘もあるので、あぶり出す狙いもあるのだろう。

モディ首相は、電撃的に高額紙幣の廃止を発表、実施した。ただ、新紙幣の準備ができていなかったので、社会的には大きな混乱があった。現金レス社会への意気込みはわかるが、必要な現金が不足すると、経済は回らなくなる。社会には十分な現金が必要だ。 一方で、日本は世界の中で突出した現金社会になってしまった。国税納付でクレジットカードが使えるのは、来年1月4日からだ。必要な現金総量を確保しつつ、徐々に現金レス社会に向けて、日本は新技術を導入して一層努力しなければいけないだろう。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161220/dms1612200830008-n1.htm

【管理人 補足記事&コメント】
11月の新車販売台数は28万6752台。全体の8割を占める乗用車は今年7~9月は15%以上の伸び率だったが、2%増の低水準にとどまった。商用車は12%減だった。乗用車ではホンダが45%減、印マヒンドラ・アンド・マヒンドラ(M&M)は33%減と落ち込んだ。マルチ・スズキは14%増だったが、販売現場では紙幣廃止の影響で大きく減少した。現場での販売不振の原因は現金不足だ。M&M幹部は「紙幣廃止により消費者の間で買い控えが起きた」と明言する。インドでは乗用車購入の1~2割程度は現金決済とみられ、自動車ローンを組む際も頭金は現金で払うことが多い。旧高額紙幣の廃止による流通紙幣の減少が自動車販売の障害になっているという。

モディ首相には理由があるわけで、大きく3つ、①脱税対策、マネーロンダリングの撲滅、②偽札対策、③資産把握がある。特に、脱税対策面では、大きな効果が期待出来ると言える。インドは、言わずとしれた現金主義として有名だ。支払いを行う際に、現金を好みます。これは不動産のような高額購入であったとしても、スーツケースに現金を入れて半額を支払うという事もある。そのため、課税対象が不明となり、脱税を許す原因となっている。インドの秘匿資産は5,000億ドル以上と言われており、その多くがタンス預金で現金だ。一部の富裕層では、現金を壁の中に隠したり、床下に隠したりと、あらゆる手法を使って隠ぺいを行っている。

一方、インド国民の多くは日雇い労働など脱税しやすい職に就いており、2014年~15年の税申告漏れは推定1050億ドルにものぼるとされ、そのうち「96%の回収が困難を極める。」との見解を政府は示している。現金のみを所有し、納税しない人々(いわゆる低所得者層)による地下経済は、国内総生産(GDP) の50%に及ぶと言われる。


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[ 2016年12月20日 11:35 ] カテゴリ:日本経済 | TB(0) | CM(1)
偽造防止技術が優れているがゆえ
欧米では日本ほど偽造防止技術が優れていないため、結果的にキャッシュレス社会になったと云えます。
逆に日本では、優れた技術があるがゆえに電子決済等の仕組み作りが遅れました。

[ 2016/12/20 21:25 ] [ 編集 ]
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