韓国の所得格差、政府発表では「改善」も…
韓国国民の多くは富裕層と庶民の間の所得格差が開いていると感じているが、統計庁や韓国銀行が全国2万世帯の調査を基に今月20日に発表した「家計金融・福祉調査」では、格差が毎年改善しているとの結果が出た。
それによると、韓国のジニ係数(可処分所得ベース)は2015年が0.341で、前年に比べ0.04ポイント低下した。ジニ係数は所得の不平等さを測る代表的な指標で、0(完全平等)から1(完全不平等)の間の数値で表される。0に近いほど国民の間の所得格差が小さいことを意味する。
家計金融・福祉調査を見ると、韓国のジニ係数は11年(0.357)から毎年改善している。企画財政部(省に相当)はこれについて「基礎年金の導入など社会保障の拡充策により、所得再分配効果が高まっている」と説明する。
だが、今回発表された調査結果は15年の所得を基準にしており、今年に入り急激に悪化している所得分配は反映されていない。統計庁によると、所得分配に関するもう一つの指標である所得5分位倍率は、今年7-9月期が4.81で前年同期(4.46)より悪化した。高所得層(所得上位20%)の所得は低所得層(下位20%)の4.81倍だということだ。
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また、今回のジニ係数の改善も14年の基礎年金導入によるところが大きいため、基礎年金が増えない限り指標が大きく改善することはないとの分析もある。 国民が肌で感じる所得格差と指標間のかい離は、「統計の錯視」という言葉である程度説明できる。一般の人々は、所得分配を考えるときに給与明細に記された名目所得を想定する。実際、名目所得を基準にしたジニ係数は15年の0.380から今年は0.381と、11年以来、初めて悪化した。だが、統計上では税金や政府補助金などを反映した「可処分所得」を基準にジニ係数を算出する。
機関ごとに発表するジニ係数の数値が異なるため、統計の信頼度が低下しているとの指摘もある。韓国の公式の所得分配指標は、統計庁が毎年5月に発表する「家計動向調査」のジニ係数だ。それによると、15年の韓国の「公式」ジニ係数は0.295で、スイス・フランス・ドイツ(13年ベース)と同水準だ。だが、今回発表された家計金融・福祉調査のジニ係数(0.341)はポルトガル・ギリシャなどの国と近い。いずれも政府の公認統計ながら、どちらを使うかにより韓国の所得分配水準が「南欧」レベル、あるいは「西欧」レベルになるのだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/12/29/2016122900869.html
【管理人 補足記事&コメント】
家計の財産所得や自営業者への分配も減少しているからである。財産所得は企業の手許に多く残り内部留保として積み上がり、海外の直接投資へ向かっている。つまり、内部留保は収益率の高い海外資本へ投資されている。
所得分配の面から家計所得が上がらない理由は、賃金・俸給の減少のみならず、家計の財産所得や自営業者への分配も減少しているからである。財産所得は企業の手許に多く残り内部留保として積み上がり、海外の直接投資へ向かっている。つまり、内部留保は収益率の高い海外資本へ投資されている。
家計所得を上げるには、国内の物的・人的資本の収益率を高める制度設計が必要である。例えば、参入規制の緩和、労働時間の上限規制、職務重視の雇用慣行、異分野との交流の促進、教育や職業訓練の強化等が挙げられ、特に若年世代の所得格差の是正が人的資本の質の向上による持続的成長のカギを握ると考える。
マクロ的な視点から家計所得が上がらない理由を探るには、本来、3つの側面から検討が必要だ。
①経済全体のパイを増やすため、イノベーションの活発化や労働・資本が最大限に活用されているのかという資源配分の問題
②市場を通じて生み出された所得がどのような形で分配されているのか、一度分配された所得が政府を通じてどのように再分配されているのかという視点(所得分配)も重要だ。
③所得をどのように消費と貯蓄(すなわち投資)に振り向けるのかという問題(需要)もある。
このようにマクロの経済循環のどこで家計所得が停滞しているのかを確認する作業が必要という事だ。
国民所得は、雇用者の社会保険料負担や政府への一次的な分配を通じて直接・間接に政府へ多く行き渡るようになってきている。こうした背景にはもちろん、実質的な賦課方式を採用する年金・医療等の社会保障制度を通じた高齢者への再分配が加速しているという側面がある。 企業は所得のうち変動的要素の強い配当や内部留保への分配を高める一方で、固定的要素の強い利子支払いを大幅に減らしており、その結果、手許に残る財産所得が増えている。一方、所得再分配の効果は税よりも社会保障によるものが強くなっている現実がある。
賃金・俸給の減少のみならず、家計の財産所得や自営業者への分配も減少しているわけで、財産所得は企業の手許に多く残り内部留保として積み上がり、海外の直接投資へ向かっている。つまり、内部留保は収益率の高い海外資本へ投資されているのが実態であるから、家計所得を上げるには、国内の物的・人的資本の収益率を高める制度設計が必要である。内部留保については課税すべきと提案しているが、人材所得への投資に向かわせるには、教育訓練を通じて、売れる商品開発につなげることが不可欠だが、企業はより速い結果を求めたがる。そういう部分を見直す必要があるだろう。
日本では緩和できそうだが、韓国では手の施しようが無いという事すら気が付いていないのではないか…。
それによると、韓国のジニ係数(可処分所得ベース)は2015年が0.341で、前年に比べ0.04ポイント低下した。ジニ係数は所得の不平等さを測る代表的な指標で、0(完全平等)から1(完全不平等)の間の数値で表される。0に近いほど国民の間の所得格差が小さいことを意味する。
家計金融・福祉調査を見ると、韓国のジニ係数は11年(0.357)から毎年改善している。企画財政部(省に相当)はこれについて「基礎年金の導入など社会保障の拡充策により、所得再分配効果が高まっている」と説明する。
だが、今回発表された調査結果は15年の所得を基準にしており、今年に入り急激に悪化している所得分配は反映されていない。統計庁によると、所得分配に関するもう一つの指標である所得5分位倍率は、今年7-9月期が4.81で前年同期(4.46)より悪化した。高所得層(所得上位20%)の所得は低所得層(下位20%)の4.81倍だということだ。
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また、今回のジニ係数の改善も14年の基礎年金導入によるところが大きいため、基礎年金が増えない限り指標が大きく改善することはないとの分析もある。 国民が肌で感じる所得格差と指標間のかい離は、「統計の錯視」という言葉である程度説明できる。一般の人々は、所得分配を考えるときに給与明細に記された名目所得を想定する。実際、名目所得を基準にしたジニ係数は15年の0.380から今年は0.381と、11年以来、初めて悪化した。だが、統計上では税金や政府補助金などを反映した「可処分所得」を基準にジニ係数を算出する。
機関ごとに発表するジニ係数の数値が異なるため、統計の信頼度が低下しているとの指摘もある。韓国の公式の所得分配指標は、統計庁が毎年5月に発表する「家計動向調査」のジニ係数だ。それによると、15年の韓国の「公式」ジニ係数は0.295で、スイス・フランス・ドイツ(13年ベース)と同水準だ。だが、今回発表された家計金融・福祉調査のジニ係数(0.341)はポルトガル・ギリシャなどの国と近い。いずれも政府の公認統計ながら、どちらを使うかにより韓国の所得分配水準が「南欧」レベル、あるいは「西欧」レベルになるのだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/12/29/2016122900869.html
【管理人 補足記事&コメント】
家計の財産所得や自営業者への分配も減少しているからである。財産所得は企業の手許に多く残り内部留保として積み上がり、海外の直接投資へ向かっている。つまり、内部留保は収益率の高い海外資本へ投資されている。
所得分配の面から家計所得が上がらない理由は、賃金・俸給の減少のみならず、家計の財産所得や自営業者への分配も減少しているからである。財産所得は企業の手許に多く残り内部留保として積み上がり、海外の直接投資へ向かっている。つまり、内部留保は収益率の高い海外資本へ投資されている。
家計所得を上げるには、国内の物的・人的資本の収益率を高める制度設計が必要である。例えば、参入規制の緩和、労働時間の上限規制、職務重視の雇用慣行、異分野との交流の促進、教育や職業訓練の強化等が挙げられ、特に若年世代の所得格差の是正が人的資本の質の向上による持続的成長のカギを握ると考える。
マクロ的な視点から家計所得が上がらない理由を探るには、本来、3つの側面から検討が必要だ。
①経済全体のパイを増やすため、イノベーションの活発化や労働・資本が最大限に活用されているのかという資源配分の問題
②市場を通じて生み出された所得がどのような形で分配されているのか、一度分配された所得が政府を通じてどのように再分配されているのかという視点(所得分配)も重要だ。
③所得をどのように消費と貯蓄(すなわち投資)に振り向けるのかという問題(需要)もある。
このようにマクロの経済循環のどこで家計所得が停滞しているのかを確認する作業が必要という事だ。
国民所得は、雇用者の社会保険料負担や政府への一次的な分配を通じて直接・間接に政府へ多く行き渡るようになってきている。こうした背景にはもちろん、実質的な賦課方式を採用する年金・医療等の社会保障制度を通じた高齢者への再分配が加速しているという側面がある。 企業は所得のうち変動的要素の強い配当や内部留保への分配を高める一方で、固定的要素の強い利子支払いを大幅に減らしており、その結果、手許に残る財産所得が増えている。一方、所得再分配の効果は税よりも社会保障によるものが強くなっている現実がある。
賃金・俸給の減少のみならず、家計の財産所得や自営業者への分配も減少しているわけで、財産所得は企業の手許に多く残り内部留保として積み上がり、海外の直接投資へ向かっている。つまり、内部留保は収益率の高い海外資本へ投資されているのが実態であるから、家計所得を上げるには、国内の物的・人的資本の収益率を高める制度設計が必要である。内部留保については課税すべきと提案しているが、人材所得への投資に向かわせるには、教育訓練を通じて、売れる商品開発につなげることが不可欠だが、企業はより速い結果を求めたがる。そういう部分を見直す必要があるだろう。
日本では緩和できそうだが、韓国では手の施しようが無いという事すら気が付いていないのではないか…。
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