米中、北朝鮮への原油全面中断めぐる対立の末「供給縮小」で折衝
北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」型の試験発射後、国連安全保障理事会が北朝鮮に対する精製油の供給総量を大幅に減らす内容を柱とした新たな対北朝鮮追加制裁決議案をまとめるまでに3週間以上もかかった。今年9月3日、北朝鮮の6回目の核実験に対応し、安保理決議第2375号が採択されるのに10日もかからなかったことに比べると、結果が出るまでかなりの時間が費やされた。制裁のレベルをめぐり、米国と中国が“強対強”の対峙を続け、北朝鮮への原油供給全面中断の代わりに精油製品の供給量を大幅に減らすなどの折衝を通じた解決を選択するまで、双方が相当な曲折と腐心を重ねたからだ。
北朝鮮の「火星-15」型発射翌日の先月29日(現地時間)に開かれた安保理の緊急会議で、米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、中国を狙って「輸出入を含め、北朝鮮政権とすべての交易を中止すべきだ」と要求した。特にヘイリー大使は、中国が北朝鮮への原油供給の遮断に乗り出さなければ、中国精油企業に対する独自制裁を推進する内容までほのめかした。当時の会議では、安保理言論声明や議長声明すら発表できないほど、米中が対立していた。 その後米国は中国に、北朝鮮への石油供給の全面中断▽北朝鮮労働者全員の追放▽海上における北朝鮮船舶の通航禁止への参加などを求め、圧迫を強めた。米国は中国がこれに応じなければ、中国国営石油企業「Sinopec」(中国石油化工)に対する制裁や中国の大手銀行に対する制裁措置などを取ると警告したという。
対北朝鮮制裁のレベルと米中貿易問題をめぐり対立が激化したことを受け、中国は鄭澤光外交部副部長(次官級)を今月6~8日にワシントンに派遣し、米国の“真意”を確かめた。デビッド・メルペス財務部国際担当次官が中国側に事前通知もせず、先月30日「フィナンシャル・タイムズ」とのインタビューで、「(米中)『包括的経済対話』を再開する計画がない」と一方的に強気の姿勢を示したのも、中国を緊張させた。
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鄭副部長のワシントン訪問の過程でも、両国は接点を見いだせなかったという。匿名希望の外交消息筋は「米国は中国に対する独自制裁に踏み切る意思を明らかにしており、これに対して、中国も独自制裁に対する報復は避けられないと警告した」と伝えた。両国の“強対強”の対立は先週から妥協点を見出す方向に転じたという。水面下の交渉を通じ、米国は北朝鮮への原油供給の中断要求を撤回し、中国の大手企業・銀行に対する独自の制裁をしない代わりに、中国は新しい国連制裁決議案に積極的に協力することにしたと、複数の消息筋が伝えた。
これによって、米国の原油供給の中断要求は、北朝鮮への精製油の供給総量を年間200万バレルから50万バレルへと大幅に減らす線で妥協され、北朝鮮の海外労働者の追放は「12カ月」という段階的な期限を設けることになったとされる。「公海における北朝鮮船舶の通航禁止への参加」も、既存の制裁同様“義務”ではなく“裁量”に任せる方向で結論が出たことが分かった。米国側は「独自制裁と圧迫が中国に効いた」と判断する雰囲気である一方、中国側は「独自制裁を強行すれば、米国に報復する」という強い反撃で北朝鮮に対する原油供給中断を阻止したと評価している模様だ。
http://japan.hani.co.kr/arti/
トランプ米大統領がイラン核合意を台無しにしてしまったことで、北朝鮮のミサイル・核開発問題に対する米国の選択肢が狭まっている。イラン政府による核合意の順守をトランプ大統領が認めなかったことについては、北朝鮮政府も十分に注意を払っている。金正恩朝鮮労働党委員長に、米国との交渉を拒否するための、もっともらしい口実を与えたことになる。米国と北朝鮮の対立はさらに緊迫化しており、両国が互いに圧力を強めるなかで、対話の可能性が遠ざかっている。緊張が続くなかで、どちらかが破滅的な誤算を犯すリスクがある。トランプ大統領がイラン合意について判断を下す前から、話し合いの見込みは低下しつつあった。
対立が人格攻撃になってしる。9月19日の国連総会における煽動的な演説のなかで、トランプ大統領は正恩氏を「ロケットマン」と呼び、北朝鮮を「完全に破壊する」と脅した。対する正恩氏は平壌の主要紙に発表した本人名義の書簡で、何よりもまず、トランプ大統領を「老いぼれ(dotard)」と呼んだ。米国政治では誹謗中傷が当たり前のようになっているが、選挙遊説で効果があっても、北朝鮮に対しては有効ではない。北朝鮮では指導者の権威とイメージはほぼ神聖不可侵であり、これを中傷することは逆効果だ。北朝鮮のエリート政治においては、最高指導者に対する忠誠を競い合うことが、かなりのウェートを占めている。最上層部で議論が行われていても、正恩氏が立場を明らかにした段階で議論は終了し、それに矛盾することは決してない。北朝鮮の内部に、より柔軟な路線を促す声があったとしても、正恩氏が受けた個人攻撃と、また同氏による強引で大袈裟な反撃によってかき消されてしまう。
北朝鮮危機に対する交渉による解決策は、今のところ、まったく見通しが立っていないように見える。国連の安全保障理事会が8月から9月にかけて、北朝鮮政府に対する制裁を強化した。これによって、繊維製品や海産物、石炭など北朝鮮の主要産品の輸出や、外国企業との合弁事業、北朝鮮国民を労働者として新規雇用する契約がすべて禁止された。これらの措置に対して中国が同意したことが鍵となる。
北朝鮮の「火星-15」型発射翌日の先月29日(現地時間)に開かれた安保理の緊急会議で、米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、中国を狙って「輸出入を含め、北朝鮮政権とすべての交易を中止すべきだ」と要求した。特にヘイリー大使は、中国が北朝鮮への原油供給の遮断に乗り出さなければ、中国精油企業に対する独自制裁を推進する内容までほのめかした。当時の会議では、安保理言論声明や議長声明すら発表できないほど、米中が対立していた。 その後米国は中国に、北朝鮮への石油供給の全面中断▽北朝鮮労働者全員の追放▽海上における北朝鮮船舶の通航禁止への参加などを求め、圧迫を強めた。米国は中国がこれに応じなければ、中国国営石油企業「Sinopec」(中国石油化工)に対する制裁や中国の大手銀行に対する制裁措置などを取ると警告したという。
対北朝鮮制裁のレベルと米中貿易問題をめぐり対立が激化したことを受け、中国は鄭澤光外交部副部長(次官級)を今月6~8日にワシントンに派遣し、米国の“真意”を確かめた。デビッド・メルペス財務部国際担当次官が中国側に事前通知もせず、先月30日「フィナンシャル・タイムズ」とのインタビューで、「(米中)『包括的経済対話』を再開する計画がない」と一方的に強気の姿勢を示したのも、中国を緊張させた。
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これによって、米国の原油供給の中断要求は、北朝鮮への精製油の供給総量を年間200万バレルから50万バレルへと大幅に減らす線で妥協され、北朝鮮の海外労働者の追放は「12カ月」という段階的な期限を設けることになったとされる。「公海における北朝鮮船舶の通航禁止への参加」も、既存の制裁同様“義務”ではなく“裁量”に任せる方向で結論が出たことが分かった。米国側は「独自制裁と圧迫が中国に効いた」と判断する雰囲気である一方、中国側は「独自制裁を強行すれば、米国に報復する」という強い反撃で北朝鮮に対する原油供給中断を阻止したと評価している模様だ。
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対立が人格攻撃になってしる。9月19日の国連総会における煽動的な演説のなかで、トランプ大統領は正恩氏を「ロケットマン」と呼び、北朝鮮を「完全に破壊する」と脅した。対する正恩氏は平壌の主要紙に発表した本人名義の書簡で、何よりもまず、トランプ大統領を「老いぼれ(dotard)」と呼んだ。米国政治では誹謗中傷が当たり前のようになっているが、選挙遊説で効果があっても、北朝鮮に対しては有効ではない。北朝鮮では指導者の権威とイメージはほぼ神聖不可侵であり、これを中傷することは逆効果だ。北朝鮮のエリート政治においては、最高指導者に対する忠誠を競い合うことが、かなりのウェートを占めている。最上層部で議論が行われていても、正恩氏が立場を明らかにした段階で議論は終了し、それに矛盾することは決してない。北朝鮮の内部に、より柔軟な路線を促す声があったとしても、正恩氏が受けた個人攻撃と、また同氏による強引で大袈裟な反撃によってかき消されてしまう。
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