本業のフィルムもあきらめた“55年富士マン”、ゼロックスまでのみこむ
9歳の最高経営責任者(CEO)が会心の勝負手に出た。富士フイルムホールディングスの古森重隆会長だ。112年の伝統をもつ米国大手を買収することにした。一時、世界市場を牛耳って「コピー機の代名詞」に通じていたゼロックスだ。富士とゼロックスを合わせると世界最大の事務機器大手が誕生する。
時代に合わせて変身に成功した会社(富士フイルム)は生き残ったが、そうでない会社(ゼロックス)は他人に売れることになった。日本企業の底力を見せる象徴的な事件だ。会社の運命を分けたのはCEOである古森会長の強力なリーダーシップと改革への意志、正確な方向判断だった。 今秋取り引きが完了すればニューヨーク証券市場の上場企業であるゼロックスは名前を「富士ゼロックス」に変える。富士フイルムは6700億円でゼロックスの持分50.1%を確保する。ゼロックス理事会12人の中で過半数である7人を富士が指名する。
古森会長は新しいゼロックスの会長に就任する。社長兼CEOは現ゼロックスCEOのジェフ・ジェーコブソン氏が引き受ける。古森会長は記者会見で「開発・生産から流通まで世界的な規模で相乗(シナジー)効果があるだろう」と話した。彼は「先進国で複合機市場はすでに成熟したが、アジアのように成長している市場もある」として「米ゼロックスの企業価値が高まって株主も自然に理解することになるだろう」と自信を示した。
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日本経済新聞は「富士フィルム、半世紀で本家と逆転」という見出しで富士のゼロックス買収を伝えた。両社の関係は1962年に遡る。東京オリンピック(五輪)が開かれる2年前だった。富士とゼロックスは手を携えて合弁会社を作った。 翌年である1963年、東京大経済学部を卒業した古森氏が平社員として富士フイルムに入社した。その後、55年間この会社で運命を共にした。ただ実力で持ちこたえながら50代に役員になった。欧州法人の社長を引き受けて世界市場を見る感覚を育てた。60代に本社の社長、70代に会長に上がった。富士とゼロックスは50対50の合弁パートナーだったが、序盤に主導権を握った側はゼロックスだった。
http://japanese.joins.com/
ゼロックスは16年、それまで中核事業として注力してきたビジネスプロセスアウトソーシング事業を分社化。同事業は交通機関の料金収受システム運用や診療報酬請求業務など、複写機回りにとどまらない幅広い顧客の業務を受託するサービスで、09年には世界最大手を買収して事業強化してきた。それを分離せざるを得なくなった背景には、筆頭株主の投資家カール・アイカーン氏の“圧力”があったという。同氏はその後さらに、ゼロックスとサービス分社のコンデューセント双方の取締役会に役員を送り込み、経営関与を強めてきた。 アイカーン氏は昨年来のゼロックスの身売り報道を受け、ゼロックスの3位株主に浮上したダーウィン・ディーソン氏と共同で書簡を公表した。
時代に合わせて変身に成功した会社(富士フイルム)は生き残ったが、そうでない会社(ゼロックス)は他人に売れることになった。日本企業の底力を見せる象徴的な事件だ。会社の運命を分けたのはCEOである古森会長の強力なリーダーシップと改革への意志、正確な方向判断だった。 今秋取り引きが完了すればニューヨーク証券市場の上場企業であるゼロックスは名前を「富士ゼロックス」に変える。富士フイルムは6700億円でゼロックスの持分50.1%を確保する。ゼロックス理事会12人の中で過半数である7人を富士が指名する。
古森会長は新しいゼロックスの会長に就任する。社長兼CEOは現ゼロックスCEOのジェフ・ジェーコブソン氏が引き受ける。古森会長は記者会見で「開発・生産から流通まで世界的な規模で相乗(シナジー)効果があるだろう」と話した。彼は「先進国で複合機市場はすでに成熟したが、アジアのように成長している市場もある」として「米ゼロックスの企業価値が高まって株主も自然に理解することになるだろう」と自信を示した。
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日本経済新聞は「富士フィルム、半世紀で本家と逆転」という見出しで富士のゼロックス買収を伝えた。両社の関係は1962年に遡る。東京オリンピック(五輪)が開かれる2年前だった。富士とゼロックスは手を携えて合弁会社を作った。 翌年である1963年、東京大経済学部を卒業した古森氏が平社員として富士フイルムに入社した。その後、55年間この会社で運命を共にした。ただ実力で持ちこたえながら50代に役員になった。欧州法人の社長を引き受けて世界市場を見る感覚を育てた。60代に本社の社長、70代に会長に上がった。富士とゼロックスは50対50の合弁パートナーだったが、序盤に主導権を握った側はゼロックスだった。
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ゼロックスは16年、それまで中核事業として注力してきたビジネスプロセスアウトソーシング事業を分社化。同事業は交通機関の料金収受システム運用や診療報酬請求業務など、複写機回りにとどまらない幅広い顧客の業務を受託するサービスで、09年には世界最大手を買収して事業強化してきた。それを分離せざるを得なくなった背景には、筆頭株主の投資家カール・アイカーン氏の“圧力”があったという。同氏はその後さらに、ゼロックスとサービス分社のコンデューセント双方の取締役会に役員を送り込み、経営関与を強めてきた。 アイカーン氏は昨年来のゼロックスの身売り報道を受け、ゼロックスの3位株主に浮上したダーウィン・ディーソン氏と共同で書簡を公表した。
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