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高齢化はデフレではなく、インフレを招く!

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人口構造の変化で消費は増えて貯蓄が減る

少子高齢化がさらに進み、人口減少が長期に続くことが予想される日本では、経済成長率は低くなるので賃金や物価の上昇は期待できないという見方は根強い。若年人口の減少は、自動車やテレビなどの需要減少につながっており、人口構造の高齢化が需要減少の原因で、デフレの原因となってきたと主張されることがある。

これに対しては、フリードマンが「インフレーションとは、いついかなる場合も貨幣的現象である」と言っているように、物価上昇率の問題を人口構造と切り離して考える立場から、強い批判がある。

さらに、人口構造が物価上昇に影響を与えるという立場からも、人口構造の高齢化は逆に物価上昇を加速させるという見方がある。日本経済がデフレに陥る以前は、高齢化のために労働力人口が減少し供給力が抑制されるので、経済全体の需要と供給の関係から、どちらかと言えばインフレを引き起こす懸念のほうが大きいと予測されていた。

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家計貯蓄率の低下で需給は引き締まる

筆者は、人口構造の変化は国内市場の需給状況を大きく変えるのだから、貨幣量(マネーストック)ほど直接的ではないとしても、日本経済の需給を通じて長期的な物価上昇率に影響があると考えている。

その第1の理由は家計貯蓄率の低下である。

家計の所得額が同じであっても、貯蓄率が高ければ消費支出は少なくなる。その分だけ経済全体の需要は少なくなり、需給が緩むので物価は上昇しにくい。逆に貯蓄率が低下すれば、所得の中からより多くのおカネが支出されるようになるのだから、経済全体の需要が増えて需給は引き締まりインフレになりやすくなる。

日本の家計貯蓄率をSNAベースで見ると1980年代初めには20%近くあったが、近年は2%程度に低下している。80年代には、米国家計は貯蓄率が低く過剰消費が指摘された一方、日本は家計貯蓄率が高いことが国内の需要不足の原因とされた。しかし、近年は米国の貯蓄率のほうが日本よりも高くなっている。

企業の設備投資など消費以外の需要が変わらなければ、家計貯蓄率の低下は需要の拡大を意味する。一方、高齢化によって労働力人口が減少することは供給力の低下を引き起こす。もちろん技術進歩があり、労働者1人当たりの生産が増えるので、労働力人口が減少しても、日本経済全体が縮小することは必然ではない。だから人口1人当たりの所得や生活レベルが必ず低下するというわけではない。

しかし、高齢化が国内消費に与える影響だけを取り出せば、日本経済の需給を逼迫させる働きがあるのだから、高齢化の進展は物価上昇を加速させる方向に働くと考えられる。

社会保障費の膨張による現役世代の負担増

第2の理由は、高齢化によって社会保障制度の収支が悪化しており、これを改善することが困難だということだ。8月初めに、社会保障制度改革国民会議が制度改革についての報告書をとりまとめたが、日本の社会保障制度の収支を安定化させる抜本的な改革には程遠いという批判がある。

高齢化が進めば、年金の受給者が増え、高齢で病気になる人も増えてしまう。同じ給付条件であっても、年々年金の給付額や医療費が拡大してしまうので、これを賄うには現役世代の負担を引き上げていかなくてはならない。

現状では、膨張する社会保障給付に負担の引き上げが追い付かず、社会保障給付費と社会保険料収入のギャップは大幅に拡大している。

社会保障給付費と保険料収入の差は、国・地方の財政支出や運用利益、積立金の取り崩しで賄われる。

膨張する社会保障費を賄うために、年金や医療の保険料の引き上げという形で現役世代の負担増を求めることには大きな抵抗がある。このため、収支のギャップを賄うために国や地方自治体の財政支出を拡大することで賄っているが、それが国の財政赤字の拡大の大きな原因になっている。

国の財政は大幅な赤字が続いており、政府債務も累積している。負担を抑えながら財政赤字を縮小するためには歳出の削減が必要だが、この際、必ずと言ってよいほど、真っ先に「無駄な公共事業を削れ」という声が出てくる。確かに、ほとんどクルマが走っていないような道路など、無駄としか思えない公共事業はなくならない。

しかし、国の一般会計を支出項目別にみれば、2013年度の予算では公共事業関係費の割合は7.5%にすぎず、現在、最も大きな支出項目は41.4%を占める社会保障関係費だ。公共事業の無駄はなくなったわけではないが、問題の相対的な重要性は昔ほどではなくなっている。国の財政赤字の最も大きな原因は社会保障関係費の膨張だ。

財政赤字を抑制するために大幅な増税を行おうとしても、負担増に対する抵抗が大きいうえに増税による景気の悪化という問題があるために、なかなか実行できないというのが現状だ。さらに、厚生年金や国民年金などの公的年金制度では、高齢化による年金支給額の増加で現役世代の負担が著しく高まるのを緩和するために、積立金の取り崩しが予定されている。

「高齢化によって社会保障給付が膨張するが現役世代の負担増が難しく、財政の収支の赤字が拡大しており、将来的には年金積立金の取り崩しも予定されている」という問題を、現役世代が生産したGDPを、現役世代と高齢者世代に配分してそれぞれが日々の消費に使うという問題に単純化して考えてみることができる。

高齢化が進めば需給は逼迫

1960年には日本の65歳以上人口比率は5.7%に過ぎなかったから、65歳以上の高齢者が消費に使うGDPの割合は小さなものにすぎなかった。現役世代は、自分たちが生産したGDPのごく一部を高齢者の生活のために提供すればよかった。

しかし、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によれば、2060年には高齢化率は39.9%に達すると予想されている。高齢者が使用するGDPの割合は大幅に増加することになる。現役世代が高齢者に提供しなくてはならないGDPの割合は非常に大きくなる。

「年金や医療給付を削減できず高齢者の使うGDPを減らせない一方で、現役世代も自分たちの消費水準を高く維持しようとするので現役世代の負担も大幅には増やせない」という状況のギャップを埋めるのは、大幅な財政赤字と年金積立金の取り崩しである(いちばん右の棒グラフ)。高齢者と現役世代が使っているGDPの合計は、現役世代が生み出したGDPよりも「財政赤字+積立金取り崩し」の分だけ大きい。

こうした単純化を使って考えた結果は、高齢者と現役世代の消費合計=国内需要が国内供給であるGDPよりも大きいことを意味しており、高齢化が進むと日本経済は需給の逼迫から物価上昇圧力が高まっていく姿が予想される。

デフレは高齢化とは別の要因による

確かに現実の日本経済は、1990年ごろから高齢化の進行とデフレ症状の悪化が同時に進んできた。しかし、このような時間的な関係を根拠に、高齢化の進行はインフレを引き起こすのではなく、デフレの原因となると結論づけてよいとは思えない。

高齢化でデフレが起こるというのは、需要と供給の関係という経済の最も基本的な考え方を使って考えた高齢化による影響とは相いれない。もちろんここで示したような話は非常に単純化されたものであり、もう少し深い検討が必要であることは言うまでもないが、バブル崩壊後の日本経済が、物価の持続的下落というデフレに陥ったのは、高齢化とは別の要因によるものだということを、強く示唆していると考えられる。

http://toyokeizai.net/articles/-/19278



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[ 2013年09月12日 10:15 ] カテゴリ:日本経済 | TB(0) | CM(0)
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