アベノミクス 笑った人、泣いた人は誰?
国際通貨基金(IMF)は29日に東京都内でセミナーを開き、安倍政権の約1年間に渡る経済政策、いわゆるアベノミクスが国内外の経済環境の改善を促したと評価した。新華網が伝えた。
◆現状を見る限り上々
IMFは安倍政権発足から一周年を目前に控えた時期に同セミナーを開いた。出席者は日本の現在の経済情勢と未来の動向、およびアベノミクスの成果について議論を展開した。
AFP通信は、「出席者は全体的にアベノミクスを肯定し、大胆な量的緩和策とフレキシブルな財政支出政策が日本の経済成長率を引き上げたとした。消費者物価指数(CPI)の上昇といった兆しから、日本が長年に渡るデフレから脱却しつつあることが分かる」と伝えた。
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IMFアジア太平洋局長のアヌープ・シン氏は、「現状を見る限り、上々だ」と語り、アベノミクスの効果を評価した。
アベノミクスとは、安倍首相が昨年末に就任してから実施を加速している、一連の景気刺激策のことだ。最も注目を集めているのは海外の予想を上回る金融緩和政策であり、それによる円安操作によって日本経済を持続的な低迷から脱却させようとしている。
シン氏は同シンポジウム後の記者会見で、「アベノミクスの第一段階を観察すると、その主な効果は市場の自信の回復と、経済回復の開始であると言える」と語った。
シン氏はまた、「経済活力を技術的に強化する一方で、同時に生まれる負の効果、例えば物価上昇や円安についても考慮しなければならない」と指摘。シン氏は物価上昇および円安により生じる実質的な問題について、「増給の高い必要性がある」と判断した。
◆物価上昇を恨む民間の声
アベノミクスの明らかな効果の一つは、物価上昇だ。日本政府の最新の統計データによると、日本の物価は過去4カ月間で上昇を続け、すでに0.7%上昇している。これは景気が長期低迷している日本では、非常に稀に見る現象だ。
物価が約20年間に渡り大幅に変動していないことを当然としている日本人にとって、物価上昇は非常に不慣れなことだ。58歳のサラリーマンの高野さん(川口市在住)は、物価上昇に関する不満を漏らした。高野さんはドイツ通信社の記者に、「食品価格が上昇し、電気料金も値上げされた。(暮らしが)良くなっただろうか、周囲の人は誰も実感していない」と語った。
過去数カ月の物価上昇幅は、「ゆるやか」と呼べる程度だ。安倍内閣の計画によると、2年内に物価上昇率を2%にし、購買力と景気を刺激することになる。
専門家は、「価格が上昇した商品に日用品が含まれる場合、世論の反発を招く可能性がある。アベノミクスを推進する上で、これは不可避となる」と予想した。乳酸菌飲料大手のヤクルトは、22年ぶりに一部商品の10%値上げを検討している。食品企業の味の素は来年1月より、23年ぶりに7%の値上げに踏み切る。
円安が輸入品の価格を引き上げており、一部の日用品の値上げの原因になっている。東京近郊の洋菓子工場の経営者は、「輸入チーズがこの数カ月間で高騰している。現時点ではケーキの値上げに踏み切っていないが、販売に大きな影響が生じている。(輸入チーズが)再び値上げされれば、当社も経営を維持できないだろう」と肩を落とした。
安倍首相は就任後に経済改革を大々的に推進し、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」という3本の矢を放ち、公共事業を拡大し、物価上昇2%の目標を実現するまでバランスシートを拡大し、経済の構造改革を推進した。海外メディアによると、アベノミクスは市場に活力を注ぎ込み、企業と消費に刺激を与えることを目的としている。
ドイツ通信社は、「アベノミクスのけん引を受け、市場の流動性が高まっており、雇用情勢が改善され、企業経営が活発化している。これはプラスの一面だ。しかしその一方で物価が上昇し、従業員の所得が相対的に減少する現象が生じている。これは改革に対する国民の支持の獲得に不利である」と分析した。
安倍首相は10月上旬、消費税を計画通りに8%に増税し、財政収入の増加につなげると発表した。一部の専門家は、これは賢明な措置ではないと判断している。「The Oriental Economist Report(TOE)」誌編集長のリチャード・カッツ氏は、「消費増税は早計だ。物価上昇・所得減・消費増税が組み合わされれば、これは一種の時限爆弾となり、最終的に日本経済に打撃を与えるだろう」と危惧した。
日本政府は社員の給与が相対的に減少していることに注意している。統計データによると、8月の各世帯の平均所得は47万円で、前年同期比0.9%減となった。ゆえに安倍首相を含む政府高官は、日本企業に対して社員の増給を呼びかけている。
カッツ氏は、「高官の呼びかけだけでは、社員の給与問題を解決できない。アベノミクスが開始されてから、企業の業績に大幅な改善は見られず、社員の所得を改善する力を持たない」と指摘した。
カッツ氏は、「日本経済の実質的な成長に対するアベノミクスの効果については、今後の経過を見守る必要がある。これはアベノミクスの成否を判断する重要な指標だ。成長がなければ、何にもならないからだ」と語った。(編集YF)
http://j.people.com.cn/94476/8443152.html
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