日本がアフリカを支援する意義 平和と経済発展に貢献しながら国益の確保を
日本政府が主導するアフリカ開発会議(TICAD)が8月27、28日、初めてアフリカで開かれた。会議にはどのような意義があるのだろうか。 1990年代のアフリカは成長が今ひとつだったが、2000年代に入り成長が加速している。サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南の地域)と全世界の経済成長の差をみると、1990年代にはサブサハラ・アフリカが全世界を0・5%下回っていたが、2000年代以降は1・5%上回るようになった。
アフリカ経済はかつての農産物輸出中心から資源輸出に変わってきた。1960年代、サブサハラ・アフリカの総輸出の70%程度は農産品だったが、現在は60%を鉱物性燃料が占め、農産品は10%を下回っている。 こうしたアフリカ経済の将来を占うときに、気にかかるのが「資源の呪い」である。 これは、天然資源があるということが経済成長にとって、祝福というより呪いだとする考え方で、1980年代から注目され始め、多くの研究がなされている。 経済成長が進まない理由として、(1)資源に依存して他の産業が育たないこと(2)資源開発を巡る内戦や政治腐敗が起こること-などがある。
例えば「紛争ダイヤモンド」という言い方もなされる。ダイヤモンドなどは国際市場で高価で取引されるため、しばしば代金が武器購入に充てられる。資源を目当てに紛争も起こりやすくなるが、それを支配する者は紛争を継続しやすい。資源が紛争の要因になっているのだ。 もっとも、今では「資源の呪い」を克服する手も考えられている。例えば、他産業が育たない弊害を防ぐために、資源収入を別基金にするというソブリン・ウェルス・ファンドがある。余談だが、日本ではソブリン・ウェルス・ファンドの背景として「資源の呪い」を克服することが一切言及されずに、国家が財テクすることのみが取り上げられているのは滑稽だ。
スポンサードリンク
もっとも、資源紛争については対応が難しい。今話題になっている南スーダンも、元はといえば石油などの資源が豊富にあることが原因になって紛争が行われている。 対応としては国連管理下での和平構築が基本となる。日本では、自衛隊が安全か否かの観点からのみ議論されているが、国連関与の中での日本の貢献や将来のアフリカ経済への寄与という観点が欠けている。自衛隊の安全という観点はもちろん重要だが、アフリカの発展と国際社会の中での日本の国益確保も重要である。
日本がアフリカ支援を続ける意義は、アフリカの経済発展を促し、その中で、日本のアフリカ資源に対する国益を確保し、同時にアフリカ平和に貢献することである。 アフリカ経済の原動力になっている資源と紛争の関係が根深いのは、中東の歴史を見れば明らかだ。アフリカ支援は、中東の二の舞いを避ける意味で、平和国家の日本にふさわしく、チャレンジングな課題だ。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160831/dms1608310830003-n1.htm
【管理人 補足記事&コメント】
8月27日から28日にかけ、アフリカ開発会議首脳会議がケニアの首都ナイロビで開催された。同会議には安倍晋三首相も参加したが、中国メディアの新華社は日本のアフリカ諸国との関係強化には「特殊な意味がある」と伝えている。 外務省によれば、アフリカ開発会議はアフリカの開発をテーマとする国際会議で、「1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画、アフリカ連合委員会及び世界銀行と共同で開催」しているものだ。
TICADがこれまで5年に1度開催されるのが慣例だったと伝える一方、「今後は3年に1度開催される見通し」と伝え、日本のアフリカに対する熱意が見て取れると主張。1970年代に起きた石油危機以降、日本は豊富な石油資源を持つアフリカへの援助を徐々に拡大してきたとし、近年日本がアフリカとの関係強化を続けているのは「特殊な意味がある」とした。その特殊な意味とは、「援助」を以って「政治上の支持」を得るという見方をしている。
国連加盟国に占めるアフリカ諸国の数は4分の1を超え、アフリカ諸国の国際事務に対する影響力は近年拡大を続けている。日本はアフリカへの援助を通じて「政治大国」というイメージを形成し、常任理事国入りを狙っているというのが一般的だ。
人民日報は、常任理事国になるという夢を実現するための「票集め」が目的だと伝えているが、現実は日本の立ち位置を考慮し行動するべき事であり、さきに常任理事国を考えれば失敗する可能性が高まる。日本政府の野望とはいえ、野望だからこそ、何事も自然体が一番なのだが…。
アフリカ経済はかつての農産物輸出中心から資源輸出に変わってきた。1960年代、サブサハラ・アフリカの総輸出の70%程度は農産品だったが、現在は60%を鉱物性燃料が占め、農産品は10%を下回っている。 こうしたアフリカ経済の将来を占うときに、気にかかるのが「資源の呪い」である。 これは、天然資源があるということが経済成長にとって、祝福というより呪いだとする考え方で、1980年代から注目され始め、多くの研究がなされている。 経済成長が進まない理由として、(1)資源に依存して他の産業が育たないこと(2)資源開発を巡る内戦や政治腐敗が起こること-などがある。
例えば「紛争ダイヤモンド」という言い方もなされる。ダイヤモンドなどは国際市場で高価で取引されるため、しばしば代金が武器購入に充てられる。資源を目当てに紛争も起こりやすくなるが、それを支配する者は紛争を継続しやすい。資源が紛争の要因になっているのだ。 もっとも、今では「資源の呪い」を克服する手も考えられている。例えば、他産業が育たない弊害を防ぐために、資源収入を別基金にするというソブリン・ウェルス・ファンドがある。余談だが、日本ではソブリン・ウェルス・ファンドの背景として「資源の呪い」を克服することが一切言及されずに、国家が財テクすることのみが取り上げられているのは滑稽だ。
スポンサードリンク
もっとも、資源紛争については対応が難しい。今話題になっている南スーダンも、元はといえば石油などの資源が豊富にあることが原因になって紛争が行われている。 対応としては国連管理下での和平構築が基本となる。日本では、自衛隊が安全か否かの観点からのみ議論されているが、国連関与の中での日本の貢献や将来のアフリカ経済への寄与という観点が欠けている。自衛隊の安全という観点はもちろん重要だが、アフリカの発展と国際社会の中での日本の国益確保も重要である。
日本がアフリカ支援を続ける意義は、アフリカの経済発展を促し、その中で、日本のアフリカ資源に対する国益を確保し、同時にアフリカ平和に貢献することである。 アフリカ経済の原動力になっている資源と紛争の関係が根深いのは、中東の歴史を見れば明らかだ。アフリカ支援は、中東の二の舞いを避ける意味で、平和国家の日本にふさわしく、チャレンジングな課題だ。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160831/dms1608310830003-n1.htm
【管理人 補足記事&コメント】
8月27日から28日にかけ、アフリカ開発会議首脳会議がケニアの首都ナイロビで開催された。同会議には安倍晋三首相も参加したが、中国メディアの新華社は日本のアフリカ諸国との関係強化には「特殊な意味がある」と伝えている。 外務省によれば、アフリカ開発会議はアフリカの開発をテーマとする国際会議で、「1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画、アフリカ連合委員会及び世界銀行と共同で開催」しているものだ。
TICADがこれまで5年に1度開催されるのが慣例だったと伝える一方、「今後は3年に1度開催される見通し」と伝え、日本のアフリカに対する熱意が見て取れると主張。1970年代に起きた石油危機以降、日本は豊富な石油資源を持つアフリカへの援助を徐々に拡大してきたとし、近年日本がアフリカとの関係強化を続けているのは「特殊な意味がある」とした。その特殊な意味とは、「援助」を以って「政治上の支持」を得るという見方をしている。
国連加盟国に占めるアフリカ諸国の数は4分の1を超え、アフリカ諸国の国際事務に対する影響力は近年拡大を続けている。日本はアフリカへの援助を通じて「政治大国」というイメージを形成し、常任理事国入りを狙っているというのが一般的だ。
人民日報は、常任理事国になるという夢を実現するための「票集め」が目的だと伝えているが、現実は日本の立ち位置を考慮し行動するべき事であり、さきに常任理事国を考えれば失敗する可能性が高まる。日本政府の野望とはいえ、野望だからこそ、何事も自然体が一番なのだが…。
≪ 米軍、尖閣周辺に強襲揚陸艦投入で中国威嚇 習政権はG20で大恥も | HOME | 韓国のビール、なぜ味が劣るのか ≫
コメントの投稿
トラックバック
≪ 米軍、尖閣周辺に強襲揚陸艦投入で中国威嚇 習政権はG20で大恥も | HOME | 韓国のビール、なぜ味が劣るのか ≫
ブログランキング
最新コメント
- ななし:警察庁が主催する原付免許で乗れる125ccバイク「新基準原付」の走行評価が終了…2023年12月に決定 (12/03)
- 整備工:ドックも労働力も足りません…海外に向かう韓国造船業界 (12/03)
- あんみつ皇子:警察庁が主催する原付免許で乗れる125ccバイク「新基準原付」の走行評価が終了…2023年12月に決定 (12/03)
- ななし:韓日、「ドルベース」100億ドルの通貨スワップ締結 (12/03)
- ななし:韓国、過度に親中に傾かなければ米中間で幅広がる (12/02)
- ななし:韓国、生産・消費・投資3カ月ぶりに再び「トリプル減少」 (12/02)
- グリーンゴースト:円安は韓国人にプラスとマイナスの両面 (12/02)
- グリーンゴースト:韓国、来年の貿易は「雨のち晴れ」…輸出は7.9%増加見込み (12/02)
- ななし:岸田政権が「年内で終わる」可能性 (12/01)
- 市場調査員:韓国の23年成長率 1.4%に下方修正 (11/30)
リンク
- ハンギョレ新聞
- 中央日報
- 朝鮮日報
- 聯合ニュース
- 人民網
- サーチナ
- Record China
- 東洋経済
- 経済ニュース - Yahoo!ニュース
- サーチナニュース ビジネス
- 経済ニュース - エキサイトニュース
- 経済ニュース News i - TBSの動画ニュースサイト
- 経済 - 毎日jp(毎日新聞)
- 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- 政治 - 国内ニュース - Yahoo!ニュース
- 政治 - MSN産経ニュース
- 政治 - エキサイトニュース
- ZAKZAK (政治・社会)
- YouTube 高橋洋一チャンネル
- 中田敦彦のYouTube大学
- YouTube 堀江貴文 ホリエモン
- YouTube JAPAN 日本の凄いニュース
- YouTube トヨタイムズ
- 管理画面
カテゴリ
サイト内をキーワードや文書で検索
お問い合わせ
お問い合わせ
管理人 MON
連絡先 monma@asahinet.jp
国連職員なんて、平和ぼけか討論好きか外国好きしかいない。そんなくさった機関にかかわってどうすんねん?
ジャパンファーストで行け!こんちくしょー! 小池、桜井 がんばれ! くさった麻生と二階世論で引きづりおろせ!
なんでも教えたるぞ! 麻生:福岡空港族(福岡空港に土地を不当な料金でかしてぼろ儲け!+国会で寝ている)寝るんだったら政治家やめろ!ぼけ!スワップなんかやめろ! 二階:旅行協会から裏金(だから、中国、韓国に数千人送り込んでいる)。趣味で政治するなぼけ!てめえのどらむすこ無職だろ!薬でもやっとんのか?ぼけ!中、韓からいくらもらっとんねん?アホ!