トランプ氏、北の非核化「責任負っている」 習氏は在韓米軍撤退へ布石
「力(の政策)こそが核戦争の回避につながる」 米大統領のトランプは28日、中西部ミシガン州で開いた政治集会で大勢の聴衆を前にこう訴えた。この日の演説で「3~4週間以内に行う」とした米朝首脳会談について、非核化実現に向けた厳然たる姿勢で臨む立場を打ち出すと、支持者らは「ノーベル、ノーベル!」と連呼し、トランプのノーベル平和賞受賞を期待する声を上げた。
ただトランプは、支持者たちほど気が早くもないし、楽天的でもない。 トランプは、北朝鮮の金正恩体制が簡単に核放棄に応じるわけがないことは最初から十分に承知している。また、米国が北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めるのに対し、北朝鮮が唱えてきた「朝鮮半島の非核化」は、韓国から「核の傘」を含む米国の軍事的影響力を一掃させる思惑をはらむものであることも理解し尽くしている。 だからこそ、トランプはこの日の演説でも米朝会談の見通しに関し「(実現しても)さっさと席を立つかもしれないし、会談自体が行われない可能性もある」と慎重姿勢を示し、北朝鮮との事前調整が全て思い通りに進んでいるわけではないことを示唆した。
米朝会談の成果について米国内でも悲観論が目立つ中、トランプにとり対北交渉での立場を強める「武器」となりそうなのは、仮に米朝会談が不調に終わったとしても、トランプとしては軍事的選択肢も視野に入れた「抑止と封じ込め」路線への回帰をためらわない姿勢を折に触れ示していることだ。
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3月下旬、北朝鮮の朝鮮労働党委員長、金正恩(キム・ジョンウン)が米朝会談の決裂に備え、駆け込んだ先が中国だった。米国が武力行使できないよう、中国に後ろ盾になってもらうため電撃的に訪中、世界をアッと驚かせた。習としても韓国大統領の文在寅(ムン・ジェイン)や米大統領のトランプより先に金と会談すれば、北朝鮮への影響力を誇示できる。習は金を手厚くもてなし、北朝鮮問題で再び“運転席”に座った。
そもそも中国が北朝鮮問題で懸念しているのは、北朝鮮の核・ミサイルそのものよりも、北朝鮮問題を機に東アジアの安全保障環境が激変することだ。米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に対し、「中国の弾道ミサイルも無力化される」として猛反対したのもこのためだった。その意味で、在韓米軍の削減・撤退につながりうる「完全な非核化」は中国の国益に沿うものだ。今後の習の戦略は、「板門店宣言」に明記された米国、中国、韓国、北朝鮮の4カ国協議を利用し、北朝鮮とともに、朝鮮半島や東アジアにおける米軍のプレゼンス低下を図ることだ。
http://www.sankei.com/
米国をはじめとする西側の有力各紙は今回の南北首脳会談で最も重要な「非核化」について議論がなかった点を一斉に指摘した。成否の判断は今後すべての実質的交渉を担うことになった米朝首脳会談まで待ってみなければならないということだ。 米紙ニューヨーク・タイムズは28日、「南北首脳は『朝鮮半島の非核化』の定義も具体的なタイムテーブルも明らかにしないまま、年内の(朝鮮戦争)終戦宣言を推進するという宣言だけした」「このような合意はトランプ米大統領の2つの『てこ』、つまり対北朝鮮制裁と対北朝鮮軍事行動という『チップ』を吹き飛ばすだろう」と書いた。今回の会談の和解ムードにより北朝鮮が韓国に『保険』を掛け、トランプ大統領の立場をぐっと狭めたというのだ。英紙フィナンシャル・タイムズも28日、「楽観主義で疑念を覆い隠すことはできない」という見出しの記事などで、「今回も使い古された用語が飛び交っただけで、実質的かつ検証可能な核廃棄の約束は何もなかった」と批判した。
ただトランプは、支持者たちほど気が早くもないし、楽天的でもない。 トランプは、北朝鮮の金正恩体制が簡単に核放棄に応じるわけがないことは最初から十分に承知している。また、米国が北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めるのに対し、北朝鮮が唱えてきた「朝鮮半島の非核化」は、韓国から「核の傘」を含む米国の軍事的影響力を一掃させる思惑をはらむものであることも理解し尽くしている。 だからこそ、トランプはこの日の演説でも米朝会談の見通しに関し「(実現しても)さっさと席を立つかもしれないし、会談自体が行われない可能性もある」と慎重姿勢を示し、北朝鮮との事前調整が全て思い通りに進んでいるわけではないことを示唆した。
米朝会談の成果について米国内でも悲観論が目立つ中、トランプにとり対北交渉での立場を強める「武器」となりそうなのは、仮に米朝会談が不調に終わったとしても、トランプとしては軍事的選択肢も視野に入れた「抑止と封じ込め」路線への回帰をためらわない姿勢を折に触れ示していることだ。
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3月下旬、北朝鮮の朝鮮労働党委員長、金正恩(キム・ジョンウン)が米朝会談の決裂に備え、駆け込んだ先が中国だった。米国が武力行使できないよう、中国に後ろ盾になってもらうため電撃的に訪中、世界をアッと驚かせた。習としても韓国大統領の文在寅(ムン・ジェイン)や米大統領のトランプより先に金と会談すれば、北朝鮮への影響力を誇示できる。習は金を手厚くもてなし、北朝鮮問題で再び“運転席”に座った。
そもそも中国が北朝鮮問題で懸念しているのは、北朝鮮の核・ミサイルそのものよりも、北朝鮮問題を機に東アジアの安全保障環境が激変することだ。米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に対し、「中国の弾道ミサイルも無力化される」として猛反対したのもこのためだった。その意味で、在韓米軍の削減・撤退につながりうる「完全な非核化」は中国の国益に沿うものだ。今後の習の戦略は、「板門店宣言」に明記された米国、中国、韓国、北朝鮮の4カ国協議を利用し、北朝鮮とともに、朝鮮半島や東アジアにおける米軍のプレゼンス低下を図ることだ。
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