日本の独占に切り込む韓国製スマホ素材
京畿道安山市にある半月工業団地を訪れた。通りの至るところで工場が売りに出されていたが、先端素材メーカー、プンウォン精密では延べ床面積5000平方メートルの第2工場の建設が進んでいた。同社は今年、スマートフォンの画面に使われる有機発光ダイオード(OLED)パネル生産に必須のファインメタルマスク(FMM)を開発した。ユ・ミョンフン代表はスマートフォンサイズのFMMを示しながら、「この小さな板には目に見えない穴が440万個あり、その穴の大きさが一定でなかったり、一つでも塞がったりすれば、スマートフォンは不良品になる」と説明した。
プンウォン精密は日本が席巻しているFMM市場に独自技術で挑戦している。韓国中小ベンチャー企業部は9日、韓国企業の素材・部品分野での技術自立を進めるための「強小企業100プロジェクト」の対象に同社など55社を選んだ。選ばれた企業には今後5年間に技術開発、事業化などのために最大182億ウォン(約17億円)が支援される。残る45社は来年に追加で選定される。ユ代表は「政府レベルの支援のおかげで国産FMMの量産体制構築にさらに弾みがつく」と話した。
1996年に創業したプンウォン精密は、2000年代初めにパッシブマトリクス(PM)型有機発光ダイオード(OLED)用のFMMを発売し、市場を主導した。OLEDパネルにFMMを被せ、その上に画素形成素材を蒸着させれば、細かい穴を通じて素材がパネルに定着する。その素材に電流が流れると、さまざまな光を出し、いきいきとした映像が再現される。プンウォン精密は2005年時点でPM型OLED用FMM市場で90%のシェアを獲得した。
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ユ代表は負けじとスマートフォン用FMMの開発に取り組んだが、最初の段階からうまくいかなかった。開発のためにはスマートフォン用FMMの原材料となる金属薄膜の安定供給を確保する必要があったが、紙よりも薄い25マイクロメートルの薄膜は日本の日立金属が事実上生産を独占していた。日立金属は大日本印刷にのみ供給していた。ユ代表は「それでも大企業の現代BNGスチールの支援で現在のFMMを開発することができた」と話す。現代BNGスチールの鄭日宣(チョン・イルソン)社長がプンウォン精密の事情を聞き、「国家産業発展のため、うちが損失覚悟でFMM用薄膜を開発する」と言ってくれたのだ。
http://www.chosunonline.com/
次世代スマートフォン(スマホ)用ディスプレーの本命として期待される有機ELディスプレー。韓国や中国のディスプレーメーカーが新工場や新ラインの建設計画を相次いで具体化させており、調査会社の予測では、2020年に現在主流のLTPS(低温ポリシリコン)TFT液晶を搭載率で上回り、スマホに最も搭載されるディスプレーになる可能性があるとされている。その有機ELディスプレーの高精細化・高解像度化を担うのが、RGB発光材料の蒸着工程に不可欠な蒸着用メタルマスクだ。
スマホ用有機ELの解像度は現在、5.5インチクラスで400ppi程度であり、同サイズのLTPSに遠く及ばないが、「3D用に1000ppi、VR(仮想現実)端末用に2000ppiがほしいという要望があると聞いている」(ディスプレー部材メーカー担当者)といい、現在のところ3つの方式で製造されるメタルマスクが開発競争にしのぎを削っている。
現時点で、スマホ用有機ELディスプレーの量産に用いられているメタルマスクは、すべてエッチング方式で製造されている。参入メーカーは、大日本印刷(DNP)、凸版印刷、台湾のDarwin Precisions(達運精密工業)。このなかで、スマホ用有機ELディスプレーの大半を量産している韓国サムスンディスプレーにはDNPが供給している。メタルマスク市場で圧倒的なシェアを誇っている。Darwinは、台湾の大手ディスプレーメーカーであるAUOのグループ会社。AUOの有機ELディスプレー生産量はまだ少量だが、台湾HTCが開発・販売しているVR端末「VIVE」向けに供給している。
プンウォン精密は日本が席巻しているFMM市場に独自技術で挑戦している。韓国中小ベンチャー企業部は9日、韓国企業の素材・部品分野での技術自立を進めるための「強小企業100プロジェクト」の対象に同社など55社を選んだ。選ばれた企業には今後5年間に技術開発、事業化などのために最大182億ウォン(約17億円)が支援される。残る45社は来年に追加で選定される。ユ代表は「政府レベルの支援のおかげで国産FMMの量産体制構築にさらに弾みがつく」と話した。
1996年に創業したプンウォン精密は、2000年代初めにパッシブマトリクス(PM)型有機発光ダイオード(OLED)用のFMMを発売し、市場を主導した。OLEDパネルにFMMを被せ、その上に画素形成素材を蒸着させれば、細かい穴を通じて素材がパネルに定着する。その素材に電流が流れると、さまざまな光を出し、いきいきとした映像が再現される。プンウォン精密は2005年時点でPM型OLED用FMM市場で90%のシェアを獲得した。
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ユ代表は負けじとスマートフォン用FMMの開発に取り組んだが、最初の段階からうまくいかなかった。開発のためにはスマートフォン用FMMの原材料となる金属薄膜の安定供給を確保する必要があったが、紙よりも薄い25マイクロメートルの薄膜は日本の日立金属が事実上生産を独占していた。日立金属は大日本印刷にのみ供給していた。ユ代表は「それでも大企業の現代BNGスチールの支援で現在のFMMを開発することができた」と話す。現代BNGスチールの鄭日宣(チョン・イルソン)社長がプンウォン精密の事情を聞き、「国家産業発展のため、うちが損失覚悟でFMM用薄膜を開発する」と言ってくれたのだ。
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次世代スマートフォン(スマホ)用ディスプレーの本命として期待される有機ELディスプレー。韓国や中国のディスプレーメーカーが新工場や新ラインの建設計画を相次いで具体化させており、調査会社の予測では、2020年に現在主流のLTPS(低温ポリシリコン)TFT液晶を搭載率で上回り、スマホに最も搭載されるディスプレーになる可能性があるとされている。その有機ELディスプレーの高精細化・高解像度化を担うのが、RGB発光材料の蒸着工程に不可欠な蒸着用メタルマスクだ。
スマホ用有機ELの解像度は現在、5.5インチクラスで400ppi程度であり、同サイズのLTPSに遠く及ばないが、「3D用に1000ppi、VR(仮想現実)端末用に2000ppiがほしいという要望があると聞いている」(ディスプレー部材メーカー担当者)といい、現在のところ3つの方式で製造されるメタルマスクが開発競争にしのぎを削っている。
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