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韓国で加速する「労働争議」は、韓国経済にとって「自殺行為」かもしれない

韓国で労働争議が激化している。労働争議が韓国経済に与える影響は小さくない。7~9月期、韓国の実質GDP(国内総生産)成長率は、速報値で前期比プラス1.9%だった。GDPの数字を見る限り、韓国の景気はそれなりに回復しているといえる。しかし、データが示す以上に韓国経済の実情は厳しいとみるべきだろう。

その理由の一つには、自動車産業における労働争議がある。足許、世界的に見て韓国の自動車産業の立ち位置は厳しい。それにも拘らず、労働組合は賃上げなどを強硬に求めている。業績が厳しい中で労働組合が賃上げを要求すれば、企業の体力は低下する。その一方で、コロナショックを境に、輸出依存度の高い韓国経済にとってのサムスン電子の重要性は、追加的に高まっている。言い換えれば、韓国経済では、労働組合や一握りの大手財閥企業に経済的な富や生産要素が集中する状況に拍車がかかっている。長めの目線で考えると、韓国の経済格差は深刻化し、社会と経済全体で閉塞感が高まる可能性は高まっているように見える。

足許の韓国経済では、過剰な生産能力の問題が顕在化しつつある。それは、10月の生産者物価指数(PPI)が前年同月比-0.6%だったことが示唆する。その状況下、韓国GMと現代自動車傘下の起亜自動車の労働組合が部分的なストライキに踏み切ったインパクトは大きい。両社の労働組合が求めているのは、賃上げなどの待遇改善だ。事業環境が悪化する中での労働争議は、経営陣にとって“泣きっ面に蜂”だ。

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7~9月期、起亜自動車はリコール問題に直面し、減益に陥った。本来であれば労働組合は会社側と協力して原因の究明や、品質の改善、顧客満足度の向上につながる原価低減への自助努力を重ねなければならない。それにもかかわらず、起亜自動車では今回を含め9年連続でストライキが行われている。韓国の労働組合にとって賃上げ実現のためのストライキ実施は当然の権利と化しているといえる。米国の“コンシューマー・リポート”の発表によると、本年の自動車ブランドの信頼度ランキングにおいて起亜自動車は15位に落ちた。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/77620

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韓国の労働運動は、国家との関係に大きく規定されてきた。韓国においては、冷戦の最前線で「反共」を国是とする権威主義体制が長く続いたこと、労働者の権利を掲げる左翼政党が近年まで存在しなかったこと、60年代から国家主導の経済開発が行われたことなどの要因のため、国家の労働政策によるコントロールが非常に強かったという特徴がある。労働運動と共産主義の連携を恐れる政治的な意図と、安い労働力を確保するという経済的な意図から、国家が労使紛争を公権力で抑制するということをおこなってきた。

1998年に発足した金大中政権の時代は、通貨危機後の構造調整の過程で労働市場の柔軟化を進めなければならず、労働者に不利な条件を認めさせる代償として、労働勢力を政策決定過程に参入させるため労使政委員会という三者協議会を設置した。さらに、民主労総を支持母体とする民主労働党が、2004年の総選挙では10議席を獲得して国政に進出するなど、労働勢力が政治的な力を獲得する流れが出てきた。しかし、労働政党が国政に進出して3年後の現在労働運動はかなり停滞している。

他国の労働運動は、それなりに歴史があり政党とのつながりなどもあって展開してきたが、韓国では国家による強い規制のもとで政党とのつながりも希薄なまま、自らの権利実現を展開してきた。そして、国家による統制がほぼ撤廃されたという時期になって、市場の圧力にさらされる状況に直面している。


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[ 2020年11月23日 08:40 ] カテゴリ:韓国経済 | TB(0) | CM(0)
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