日本企業の中国投資はどうあるべきか…理念が必要とされる対中新規投資
日本の対中投資の歴史や近年の動向について示した。ではアフターコロナ時代においては、日本企業の対中投資はどうあるべきなのであろうか。まず日本企業の対中投資の方向を考えるためには、当然ながら以下に示す2つの重要な要因を見据えておかなければならないだろう。
第一は、米中摩擦の動向である。米国がバイデン政権に移行しても、すでに施行された関税措置は中国側が新たな取引材料を出してこない限り容易に緩和はできないし、ファーウェイ問題や大使館封鎖問題などは、米国側に一定の証拠が存在すると思われるのでこれも撤回はできないだろう。中国政府は、バイデン政権下においても米中関係が産業面でも政治面でもいわゆるデカップリングに向かうことを覚悟しており、そのための保険として少なくとも産業面においては、日本に秋波を送ってきている。
今年から始まる中国の第十四次五か年計画についてはいろんな見方があるが、中国政府が産業の「自前主義」を推し進めようとしようとしていることは明らかである。しかしその一方で、海外先進企業からの技術関連投資は今後も増大させるとも公言している。これは、対内投資が依然として中国の持続的経済成長のための生命線であることも示している。最近でも中国商務部のスポークスマンは、コロナ下にあっても世界の対中投資が増加していることを強調している。しかし直接投資には一定のタイムラグがあることと、対中投資の中身に果たして変化があるのかについてはよく見えない。
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中国から見た対中投資促進の目的は2つだろう。 1.新規投資による産業の高度化、技術イノベーションの推進。 2.技術移転を促進して、基幹産業の技術的自立化を図る。 これらは従来からの方針と何ら変わりがないが、米国等からの数々の批判を受けて今後はより合法的かつ巧妙に進めていくものと思われる。 第二の要因は、世界規模での新型コロナウイルス感染拡大の動向である。感染症という未知の問題による世界経済の混乱という影響も大きいが、対中投資に関して言えば、欧米先進国を中心とした新たな「中国リスク」認識の影響が想像以上に大きくなるだろう。
コロナ問題で中国リスクを認識した欧米の先進国は、今まで通りに新規投資をするだろうか。少なくともコロナが収束し、中国と世界がそれにどういう後始末をつけるのかを見定めない限り、新たな大型投資には踏み切れないのではないか。 ただし日本と欧米では、企業の新規投資に対する考えやリスク感度はかなり違うことは、認識しておかなければならない。欧米企業はあくまでリターンを狙う「投資」であるのに対し、日本企業は距離も近いのでどちらかと言えば当該産業への「参画」という意識が強いだろう。
https://www.recordchina.co.jp/b868140-s501-c20-d1501.html
中国では昨年、日本政府が中国からの撤退企業に補助金を出すというニュースが話題になった。しかし中国における人件費の増大や中国企業の競争力強化の結果、競争力を失った日本の製造業は既に2010年代から製造拠点を東南アジア等へ移転し始めていた。新型コロナ感染拡大や米中貿易摩擦という事態があっても、日本企業が新たに大きな動きを示す兆候はみられない。その理由としては、日中間の産業補完の進展がある。日中貿易の推移を品目別にみると、近年の日中貿易は日本優位の産業と中国優位の産業に明確に分かれている。
2017年から対中直接投資額は再び増加しているが、その中身を見れば中国とは産業補完的でかつ日本企業が競争力を持つ自動車関連や業務用機械などで投資額が伸びている。年の対中投資は再び増加に転じてはいるが、中身は主に中国で拡大しておりかつ日中間の産業補完が成り立っている業種であり新規投資とは言えない。
第一は、米中摩擦の動向である。米国がバイデン政権に移行しても、すでに施行された関税措置は中国側が新たな取引材料を出してこない限り容易に緩和はできないし、ファーウェイ問題や大使館封鎖問題などは、米国側に一定の証拠が存在すると思われるのでこれも撤回はできないだろう。中国政府は、バイデン政権下においても米中関係が産業面でも政治面でもいわゆるデカップリングに向かうことを覚悟しており、そのための保険として少なくとも産業面においては、日本に秋波を送ってきている。
今年から始まる中国の第十四次五か年計画についてはいろんな見方があるが、中国政府が産業の「自前主義」を推し進めようとしようとしていることは明らかである。しかしその一方で、海外先進企業からの技術関連投資は今後も増大させるとも公言している。これは、対内投資が依然として中国の持続的経済成長のための生命線であることも示している。最近でも中国商務部のスポークスマンは、コロナ下にあっても世界の対中投資が増加していることを強調している。しかし直接投資には一定のタイムラグがあることと、対中投資の中身に果たして変化があるのかについてはよく見えない。
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中国から見た対中投資促進の目的は2つだろう。 1.新規投資による産業の高度化、技術イノベーションの推進。 2.技術移転を促進して、基幹産業の技術的自立化を図る。 これらは従来からの方針と何ら変わりがないが、米国等からの数々の批判を受けて今後はより合法的かつ巧妙に進めていくものと思われる。 第二の要因は、世界規模での新型コロナウイルス感染拡大の動向である。感染症という未知の問題による世界経済の混乱という影響も大きいが、対中投資に関して言えば、欧米先進国を中心とした新たな「中国リスク」認識の影響が想像以上に大きくなるだろう。
コロナ問題で中国リスクを認識した欧米の先進国は、今まで通りに新規投資をするだろうか。少なくともコロナが収束し、中国と世界がそれにどういう後始末をつけるのかを見定めない限り、新たな大型投資には踏み切れないのではないか。 ただし日本と欧米では、企業の新規投資に対する考えやリスク感度はかなり違うことは、認識しておかなければならない。欧米企業はあくまでリターンを狙う「投資」であるのに対し、日本企業は距離も近いのでどちらかと言えば当該産業への「参画」という意識が強いだろう。
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中国では昨年、日本政府が中国からの撤退企業に補助金を出すというニュースが話題になった。しかし中国における人件費の増大や中国企業の競争力強化の結果、競争力を失った日本の製造業は既に2010年代から製造拠点を東南アジア等へ移転し始めていた。新型コロナ感染拡大や米中貿易摩擦という事態があっても、日本企業が新たに大きな動きを示す兆候はみられない。その理由としては、日中間の産業補完の進展がある。日中貿易の推移を品目別にみると、近年の日中貿易は日本優位の産業と中国優位の産業に明確に分かれている。
2017年から対中直接投資額は再び増加しているが、その中身を見れば中国とは産業補完的でかつ日本企業が競争力を持つ自動車関連や業務用機械などで投資額が伸びている。年の対中投資は再び増加に転じてはいるが、中身は主に中国で拡大しておりかつ日中間の産業補完が成り立っている業種であり新規投資とは言えない。
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