南シナ海での「偽装工作」 中国メディアが図らずしも「暴露」
中国メディアは9日、「わが軍はかつて、南シナ海の島や岩礁で軍服の着用ができなかった。部隊長は屈辱の1日と語った」と題する記事を掲載した。
記事は「だれにも知られずに、国を守っている将兵がいる」と、軍に対する国民の支持を高める狙いの内容だ。時間や場所、氏名がないなど報道としては内容面の欠落が多いが、事実とすれば「領有権争いのある島で軍務に就く軍人に、軍服を着せていなかった」ことを、中国メディアが自ら“自白”したことになる。 記事の冒頭は、軍の某「首長(ショウヂァン)」の回想で始まる。軍人に対して「首長」の言い方が使われるのは「部隊長」や「司令官」に対してだ。 「首長」によると、何年も前に南シナ海の岩礁をコンクリートで固めて作った人工島に到着した際には、到着前に秘書官に「この場所で軍服を着てはいけません」と注意された。そのため、白いシャツに着替えて人工島に立った。上空では「某国の偵察機が旋回していた」という。
「首長」は、「私の一生で最大の屈辱だった」と自分に言い聞かせるように語ったという。 それから何年もたって、やはり同じ場所を訪れた。今度は航空機で訪れた。今度も機内アナウンスで「軍服を着ているものは現場を離れろ。写真撮影をされるな」との指示があった。しかし「首長」は、その指示は無効と判断した。「今は空中に戦闘機が××機もいる。水上では軍艦が××隻もいて護衛している。君らは心配する必要ない」と言い、その日は軍服を着ていたという。
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それから、「某国」が(実効支配している)島の上に建物を築き、植樹する様子をみたこともある。別の軍人に聞いた話では、中国の漁船が近づくと、大型の探照灯で照らして追い払ったという。 「首長」は「2015年10月9日に、われわれは海の彼方に見える赤いタワーを仰ぎ見ることになった。私は心の中で戦友を思い出し、『君も見ただろう!』と」と話したという。 最後の部分は、中国が2015年に実施したスプラトリー諸島(南沙諸島)における大規模な埋め立て工事の完成を描写すると考えられる。それまでの部分も、「人工島」を守備していたとの記述から、スプラトリー諸島が舞台と考えられる。
◆解説◆
上記記事が事実ならば、中国は南沙諸島の人工島で将兵に軍服を着用させず、民間人に偽装して守備に就かせていたことになる。戦闘行為ではなかったとはいえ「軍務」だ。 民間人に偽装して各種敵対行為をする将兵は「便衣兵」と呼ばれる。国際法違反であり、捕虜になった場合には正規将兵の場合の「保護される権利」が認められず、処刑されても文句は言えないことになる。 上記記事は図らずも、国連安保理常任理事国の国民である中国人の「国際法意識」の乏しさを露呈することになった。
サーチナ (編集担当:如月隼人)
http://news.searchina.net/id/1604457?page=1
【管理人 補足記事&コメント】
これまでのところ、人民解放軍の南シナ海に対する前進拠点は、西沙諸島の「永興島」であった。 永興島は、軍・政府関係者ならびに漁業関係者をはじめとする民間の人々も居住して1500名ほどの人口を抱え、南シナ海の“中国の海洋国土”を管轄する三沙市行政機関が設置されている。 そして、人民解放軍海軍部隊と武装警察部隊が常駐しており、2700メートルの滑走路を有する航空施設(ちなみに沖縄の米海兵隊普天間基地の滑走路も2740メートルである)と5000トン級の艦船が接岸できる港湾施設が設置されている。したがって、中国海軍の各種戦闘機はすべてこの航空施設を利用することができ、中国海軍フリゲートやコルベットも永興島港湾施設を前進拠点とすることができる。
2015年10月現在、中国が埋め立てているとされている岩礁は、実効支配しているスビ礁、ファイアリー・クロス礁、 クアテロン礁、ミスチーフ礁、ヒューズ礁、 ジョンソン南礁、ガベン礁、エルダッド礁(安達礁)であり、地球上でやり取りされる原油や液化天然ガス(LNG)の半分近くが通る世界経済の大動脈である南シナ海で、中国が岩礁を埋め立てた人工島を軍事拠点化することを各国は恐れている。 南沙諸島の人工島をめぐり、あらためて驚くのは、中国の「早さ」だ。アメリカがしっかりとしたアジア外交を実施しないからこの様は事が平然と起こり後に大問題となる。北朝鮮ではないが、東シナ海が脅威になってから動くのでは困りごとだろう。何事も問題が大きくなる前に対応しなければ脅威あるいは恐怖と言う文字は消えない…。
記事は「だれにも知られずに、国を守っている将兵がいる」と、軍に対する国民の支持を高める狙いの内容だ。時間や場所、氏名がないなど報道としては内容面の欠落が多いが、事実とすれば「領有権争いのある島で軍務に就く軍人に、軍服を着せていなかった」ことを、中国メディアが自ら“自白”したことになる。 記事の冒頭は、軍の某「首長(ショウヂァン)」の回想で始まる。軍人に対して「首長」の言い方が使われるのは「部隊長」や「司令官」に対してだ。 「首長」によると、何年も前に南シナ海の岩礁をコンクリートで固めて作った人工島に到着した際には、到着前に秘書官に「この場所で軍服を着てはいけません」と注意された。そのため、白いシャツに着替えて人工島に立った。上空では「某国の偵察機が旋回していた」という。
「首長」は、「私の一生で最大の屈辱だった」と自分に言い聞かせるように語ったという。 それから何年もたって、やはり同じ場所を訪れた。今度は航空機で訪れた。今度も機内アナウンスで「軍服を着ているものは現場を離れろ。写真撮影をされるな」との指示があった。しかし「首長」は、その指示は無効と判断した。「今は空中に戦闘機が××機もいる。水上では軍艦が××隻もいて護衛している。君らは心配する必要ない」と言い、その日は軍服を着ていたという。
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それから、「某国」が(実効支配している)島の上に建物を築き、植樹する様子をみたこともある。別の軍人に聞いた話では、中国の漁船が近づくと、大型の探照灯で照らして追い払ったという。 「首長」は「2015年10月9日に、われわれは海の彼方に見える赤いタワーを仰ぎ見ることになった。私は心の中で戦友を思い出し、『君も見ただろう!』と」と話したという。 最後の部分は、中国が2015年に実施したスプラトリー諸島(南沙諸島)における大規模な埋め立て工事の完成を描写すると考えられる。それまでの部分も、「人工島」を守備していたとの記述から、スプラトリー諸島が舞台と考えられる。
◆解説◆
上記記事が事実ならば、中国は南沙諸島の人工島で将兵に軍服を着用させず、民間人に偽装して守備に就かせていたことになる。戦闘行為ではなかったとはいえ「軍務」だ。 民間人に偽装して各種敵対行為をする将兵は「便衣兵」と呼ばれる。国際法違反であり、捕虜になった場合には正規将兵の場合の「保護される権利」が認められず、処刑されても文句は言えないことになる。 上記記事は図らずも、国連安保理常任理事国の国民である中国人の「国際法意識」の乏しさを露呈することになった。
サーチナ (編集担当:如月隼人)
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【管理人 補足記事&コメント】
これまでのところ、人民解放軍の南シナ海に対する前進拠点は、西沙諸島の「永興島」であった。 永興島は、軍・政府関係者ならびに漁業関係者をはじめとする民間の人々も居住して1500名ほどの人口を抱え、南シナ海の“中国の海洋国土”を管轄する三沙市行政機関が設置されている。 そして、人民解放軍海軍部隊と武装警察部隊が常駐しており、2700メートルの滑走路を有する航空施設(ちなみに沖縄の米海兵隊普天間基地の滑走路も2740メートルである)と5000トン級の艦船が接岸できる港湾施設が設置されている。したがって、中国海軍の各種戦闘機はすべてこの航空施設を利用することができ、中国海軍フリゲートやコルベットも永興島港湾施設を前進拠点とすることができる。
2015年10月現在、中国が埋め立てているとされている岩礁は、実効支配しているスビ礁、ファイアリー・クロス礁、 クアテロン礁、ミスチーフ礁、ヒューズ礁、 ジョンソン南礁、ガベン礁、エルダッド礁(安達礁)であり、地球上でやり取りされる原油や液化天然ガス(LNG)の半分近くが通る世界経済の大動脈である南シナ海で、中国が岩礁を埋め立てた人工島を軍事拠点化することを各国は恐れている。 南沙諸島の人工島をめぐり、あらためて驚くのは、中国の「早さ」だ。アメリカがしっかりとしたアジア外交を実施しないからこの様は事が平然と起こり後に大問題となる。北朝鮮ではないが、東シナ海が脅威になってから動くのでは困りごとだろう。何事も問題が大きくなる前に対応しなければ脅威あるいは恐怖と言う文字は消えない…。
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