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知られざるヘッドハンティングの世界~優秀な人材を、どのように発掘・調査するのか?

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内閣府は11月22日、月例経済報告で「景気は緩やかに回復している」と、前月と同様の表現を用いた。また、同様に内閣府発表の企業景気予測の調査によると、大企業・中堅企業の好調さが顕著で、10~11月に発表された上場企業各社の2013年度通期の業績予想も上方修正する企業が相次いだ。こうした業績回復、景気上昇への期待の高まりを受けてか、企業各社は今後のさらなる成長を担い、かつ時代の変革期を乗り切れる優秀な人材の獲得に力を入れ始め、新卒のみならず、ヘッドハンティングによるリーダーの獲得も盛んになっているという。

そこで今回は、10月に『ヘッドハンターはあなたのどこを見ているのか』を上梓した、大手ヘッドハンティング会社・サーチファームジャパン社長の武元康明氏に、

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「知られざるヘッドハンティングの世界、業界の実情とは?」
「ヘッドハンターは、どのようにして優秀な人材を発掘・調査しているのか?」
「ヘッドハンティングされるのは、どのような人材なのか?」
「今後、企業や社会に求められる人材・スキルとは?」

などについて聞いた。

--まず御社の概要をお聞かせください。

武元康明氏(以下、武元) サーチファームジャパンは、大手総合商社系の人材ビジネス企業から、人材サーチ事業の営業権を譲り受けて2003年10月1日に設立しました。当時は、10名に満たない会社でした。時はバブル崩壊後の雇用形態が変わりつつある頃で、人材の流動化を高めていく時期でした。今では、多岐の業界にわたり、多くの企業と取引をさせていただいています。弊社の顧客企業は、上場企業もしくは大企業が2~3割で、残りが中小企業です。

「35歳転職終了説」のようなものが世の中ではありますが、それは転職という顕在化市場で求人情報など、企業としても表立って情報を出せる範囲の求人です。ところが、企業の戦略に関わるような案件は、いつの時代においても水面下で動いていましたので、我々のヘッドハンティング対象となる世代のボリュームゾーンは、40歳から50歳代半ばとなっています。

従業員は現在、グループ総勢約70名おります。その中で、いわゆるヘッドハンターとして国内外を飛び回っているメンバーは30名強。そして、そのヘッドハンターをアシストするリサーチャーがおり、間接部門、管理機能に数名おります。

--武元様のプロフィールも、お聞かせいただけますか?

武元 私は最初に大手航空会社系列の開発および運営をする会社に入社しその後、航空会社へと転職をしました。

航空の世界は、単なる一営業が新プロジェクトなどを企画・提案しても実現しない領域でしたので、私としては自分で企画を考えて、そして行動し、結果を検証していくという、そういうビジネスの中において自己成長を図っていきたいという気持ちが芽生えてきたのです。

そのような時に紹介されたのが、この業界です。私の恩師・恩人でもあり、今の会社の創業者でもあるのですが、その人物との出会いによってこの業界に入りました。

--ご自身の転職経験が、ヘッドハンティングにも生きていますか?

武元 自分の経験がすべて生きていますね。接点を持っていく候補者あるいは企業に対して、どういう点に留意しながらマッチングをすればウィン・ウィンの関係になれるのか、そこを考えていく基準のようなものは、自分の転職の中から学びました。

●ヘッドハンティング業界の実情

--いつの時代もヘッドハンターは水面下で動いていたとおっしゃっていましたが、いつ頃からヘッドハンティングは行われていたのでしょうか?

武元 世界では1920年代後半の世界恐慌後に、このビジネスが生まれたといわれています。そして、日本に上陸したのが70年前後。時代としては、外資系企業の日本進出が盛んになってきた頃です。当時は日本もまだ終身雇用の時代ですから、人材の流動が極めて少ない中、外資系企業がいかに日本で、日本法人の設立において優秀なスタッフを獲得するのかという課題を抱いていました。そこで、ヘッドハンティングが生まれてきたといわれています。

その後、バブル崩壊によって日本型経営の破綻、それによる終身雇用の崩壊となり、90年代後半から人材の流動化が進むにつれて、このサーチビジネス、ヘッドハンティングビジネスというものが徐々に広がりを見せ、2000年以降、我々のみならず、日系資本のスカウト会社が相次いで設立されました。

--同業の会社というのは、どのくらいあるのでしょうか?

武元 人材ビジネスは、ネットなどに求人・求職情報を登録する登録型と、我々ヘッドハンティングサービスのようなサーチ型、それから派遣とあります。ところが、派遣はちょっと置いておいて、登録型とサーチ型の見分けが、今非常に難しくなっているのです。線引きがあいまいで、サーチ型を標榜している会社は150社ほどありますが、09年に我々がリサーチしてみたところ、サーチ型は個人経営を含めて70社ほどでした。しかし、08年のリーマンショック以降に大きく変化していると思います。その70社の中で、今ヘッドハンティングを専門にやっている会社というのは10社にも満たないと思います。

--その中で、ヘッドハンターをされている方々は、どのくらいいるのでしょうか?

武元 リーマンショック前に調べたときには700人くらいでしたが、今は半分以下になっていると思います。

--減っていく傾向にあるということですか。

武元 減りましたね。リーマンショックを受けて、サーチ型から登録型に転向したという企業が圧倒的に多いですね。今、国内でヘッドハンティングをやっている人は100名前後だと思います。

--そのうち、御社では30名くらいが動いていらっしゃるということですね。

武元 そうですね。だいたいクライアント企業と商談をしていると、競合関係にあるところがだいたい何社くらい商談に臨んでいるのか、その辺がわかってきます。

--お仕事の依頼は、企業のほうから「このような人材を探してほしい」というアプローチをされてくるのですか?

武元 そうです。

●どのようにして、優秀な人材を発掘・調査するのか

--依頼を受けて、どのように人材を探されるのでしょうか?

武元 本書の中でも書いていますが、基本的に我々の情報ソースは、人脈がひとつです。それから、今はインターネットが普及しているのでネットリサーチも行います。上場会社であれば『組織図・系統図便覧』から該当部署を割り出して、調査会社や企業のOB、あるいは我々の知人がいれば、彼らから情報を収集します。ほかに、いろいろな企業にコンサルタントとして入っている方から、守秘義務に反しない範囲で、能力があるにもかかわらず発揮できていない方を目にする場合に声をかけてもらうということはあります。

--そういう人材を発掘するのは、ものすごく手間暇かかりそうですね。

武元 まさにそこが我々のビジネスであり、ひとつの案件に対して想定できる手間暇を事前に見積もりをしてお客様に提案し、ご理解いただければ契約を締結して人材の発掘作業に入るのです。

--依頼があってから実際に契約が成立するまでは、どのくらいの期間がかかるものなのですか?

武元 ここは非常に幅があります。技術職あるいは高度技能職(医師、弁護士、公認会計士など)、経営者などについては、実際に人材発掘を行ってから決定までに時間を要するので、早くて半年、場合によっては1年から2年。4年かかったというケースもあります。受け入れる組織としても、そこまで待っても採用する価値があるので、比較的時間には猶予をいただけます。

それ以外の営業系や管理・企画系については、スピードを要求されるので、契約をいただいてから、早ければ2カ月目くらいで決定できることもありますし、平均すると半年以内には、ほぼ決定できています。

--ヘッドハンティングされる対象には、普通のサラリーマンの方でもなり得るのですか?

武元 むしろ普通のサラリーマンが対象です。

--それは、その方に転職する意思がなくても、何かしら優秀な人材であれば情報が入ってくるということですか?

武元 そうですね。我々はインターネットのみならず、業界専門誌などもくまなく見ていまして、そこに出ていらっしゃる方もサーチの対象としています。だいたい企業あるいは専門分野を代表するような方が出てきていますので、当然ながらそういう方が情報として飛び込んでくる。時には、良い方がいるとの情報を紹介されることもあります。その方々が、転職を考えているかどうかという情報はありません。

--名前が表に出てくる可能性を考えると、上場会社の方が対象になることが多いのでしょうか?

武元 そうとも限りません。依頼者の希望する要件に当てはまる方が、上場会社に勤めていらっしゃる場合もあれば、そうでない場合もあります。

--要望を受けてから人材を特定するまでが相当難しいように思いますが、依頼に来られた企業担当者自身が、どういう人物が欲しいのかを具体的に把握していないような場合など、実際に企業が必要としている人材を見抜く能力と、対象者が適正かどうかを判断する能力、両方が求められますね。

武元 そうですね。企業側が求める要件に対して、100%希望通りの人材というのはいませんから、どういう要件を備えている人が最も適切なのか、その辺を見極めるセンスが非常に求められるのが、我々ですね。

●ヘッドハンターの育成

--そういったヘッドハンターは、どのようにして育成されるのでしょうか?

武元 ひとつには、場数です。あとは、センス。これは最初から持ったものがあります。

--例えば、御社に入社された方で、この人はヘッドハンターに向いている、向いていないといった適性を見分けられて、部署を割り振られているのですか?

武元 いえ、特に割り振っているのではなく、現在はグループのリーダーの下でOJTをしばらくやってもらって、そこで場数をこなして、センスも磨いてもらう。それで独り立ちできるようになれば、そこからスタートを切るのです。

--本書の中で、対象者にアプローチするときに、最初に直筆の手紙を送ると書かれていますが、皆さん、実際に手書きで書かれているのですか?

武元 これは案件ごとに違います。私の場合は、高度技能職の方を中心に動いていますが、すべて直筆の手紙を送っています。

--そのような手紙を送った場合、どのくらい反応があるのですか?

武元 これも幅がありますね。対象者が100名くらいいる場合は1~2割ですが、対象者が10名くらいだと、手紙を送るだけではなくて、人物像に至るまで十分に調査をして絞り込んでいますので、そうすると10名中7~8名に会える場合もあります。その辺は対象者数と相関関係がありますね。

--ボリュームゾーンが40~50代とおっしゃっていましたが、40代以降の転職は増えているのですか?

武元 増えていますね。むしろ我々の案件というのが40代以上ですので、依頼が増加傾向にあるということは、すなわち40代以降の転職が増えていることになります。

●ヘッドハンティング候補者のどこを見ているのか

--ヘッドハンターの方々が相当対象者を細かく調べると書かれていますが、実際に個人のことを調べるというのは、かなり制限が多く、難しいのではないでしょうか?

武元 我々は情報を個人情報と評価情報とに分けていて、個人情報は制限・規制がありますから、ここに最初に踏み込むことはしません。我々が細かく調べるのは評価情報、要は評判です。例えば、該当者の周囲における関係者から、あの人はどういう人なのですかというような、仕事に対する取り組み姿勢であったり、ポリシーを可能な範囲で聞いていく。ただし、どうしても情報が入らないという場合もあります。

時には技術的な分野で技術力を買うので、人となりについては最重要課題ではないという話になれば、技術レベルについての情報、特許情報、学会、論文と、あらゆる視点から情報を集めます。中には、自ら情報を開示しているケースもありますね。今はFacebookなどのSNSで情報を得られることもありますし、役員クラスであれば法務局で法人登記から情報を得られることもあります。ありとあらゆる、合法的に得られる情報は得ていきます。あとは候補者と実際に接点を持ち、信頼関係を築けていけると、いろいろな情報が入ってきます。

--本書の中では、どのような人材がヘッドハンティングの対象から漏れていくのか、ということが細かく書かれていますが、ヘッドハンティングの対象になるかどうかというのは別としても、社会人として常に心がけておかなければいけないことが多く書かれているように思えました。そういうことは、執筆されるに当たって意識された部分もあるのでしょうか?

武元 ありますね。今、日本が直面しているのは変革の時期だと思うのです。これまでは保守的な社会だった。我々のヘッドハンティングの対象になる人物ということは、すなわち社会や企業が求めている人材。そこに合致していれば雇用の機会、あるいは転職の機会というものも増えていく。逆に言うと、機会増加は適材適所に配置できるチャンスでもあると思うのです。

そういう人材が増えることが、ひいては社会の活性化ということにつながっていくと思うので、「どういうことを我々ビジネスマンとして、常に意識して磨いていかなくてはいけないのか」その点をいくつか意図して挙げました。それが少しでも広がっていけばいいですね。きっかけはヘッドハンターに声を掛けてもらうためということでもいいのですが、でも結果としては、そういう意識の持ちようが、ヘッドハンティングや転職ではなく、社内における評価が高まっていくということにもつながるような、本質的な点だと思います。

--具体的に「こうすればヘッドハンターの目に留まりやすくなる」ということはあるのですか? 例えば普通の中小企業に勤めている方で、全然脈絡もないところから声をかけられるということは、めったにないと思いますが。

武元 そこは、仕事の成果ですね。加えて、仕事への取り組み姿勢。この2つを総合的に見て判断しますから、成果があっても、中にはその成果を部下から奪い取って自分の手柄にするという方がいますよね。こういう方は、まず評価できないので対象から外れますね。

--候補者に会って、その辺がわかってくるということですか?

武元 会ってわかることもあれば、事前にその辺の情報が入ってくることもありますね。OBなどの内部に精通した方や、取引先相手などから「あの手柄は、実は……」というような話が入ってきたりすることもあるのです。

●これから求められる人材とは

--本書の中で、将来求められてくる人物に言及する記述がありますが、実際に企業からの依頼が増えているのは、どのような人材なのでしょうか?

武元 変革を乗り切っていけるようなリーダーですね。出来上がった組織をルーチンワークでオペレーションしていってほしいというニーズもあるのですが、圧倒的に多いのは、守っていくよりも、攻めていけるリーダーですね。当然、我々に仕事を依頼する費用はそれほど安くはないので、どうしても活用となると、コストパフォーマンスを考えると、リーダークラスということになるのです。ただし、高度技能職についてはその限りではないです。リーダーではなくても、一兵卒の職位であっても、技術のある方は求められます。

--例えば御社に仕事を依頼するに当たって、他の人材紹介サイトに登録するよりも、メリットになるのは、どういう点でしょうか?

武元 20~30代の、例えばルーチンワーク的な仕事をする、あるいは様々な求人媒体で採用できるようなポジションであれば、我々のようなビジネスはまったく使い勝手が悪いと思います。公募などで待っていても集まらない人材であったり、企業としての戦略性を持って探す必要があるような案件、そのように水面下で人材獲得を図っていくということであれば、活用の余地があると思いますね。

--我々社会人が、いろいろな人に評価を得るためにも、普段の会社の中で気をつけるべき点、自分を売り込む術などはありますか?

武元 私もその辺を今、整理をしているのですが、まず群れないでいること、そしてニュートラル・中立であること。それから、タイムマネジメント。この辺は社会人として基本中の基本なのですが、意外とみんな群れていますね。派閥をつくったり、しょうがなくそこに入ってしまったり。あるいは、いつも決まった人で飲みに行くとか。c

群れないというスタンスを築いておける人は非常に評価できますし、特に経営層に抜擢しようと思ったら、そういう人でないといけません。人の好き嫌いや得手不得手があったとしても、求心力を高めていくためには、群れないとか中立性を保てる人、こういう人でないとなかなか難しいのです。

--実際にはとても難しいと思いますが、そのためには相当自分の中で個を確立して自信を持っている人ということになりますね。

武元 そこは、きれいに割り切れないと思います。やむを得ずということもあるでしょうから。しかし、自身の中では中立を保っていこうとする意思を持つと、そこで葛藤があると思うのです。私はその葛藤があればいいと思います。ただ、まったくそういう葛藤もなく、流れに任されて飲み込まれてしまっている、そういう方は要注意です。

--ありがとうございました。

(構成=編集部)

●武元 康明 (たけもと やすあき)
1968 年生まれ 石川県出身
航空業界を経て大手商社系人材ビジネスへ転身。
約16 年の人材サーチキャリアを持ち、経済界と医師業界を手がける世界有数のトップヘッドハンター。

http://biz-journal.jp/2013/12/post_3575.html



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[ 2013年12月11日 21:36 ] カテゴリ:日本社会 | TB(0) | CM(0)
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