直前まで否定してきた“黒田バズーカ”発射のウラにあるもの
1月31日のことだ。米フロリダ州のリゾート地ボカラトンに、欧米の大手ヘッジファンドをはじめ、投資顧問・資産運用会社のトップが集まった。「対外厳秘」とされた、この会合の出席者全員が守秘義務誓約を求められた。従って、この会合が開催されたことを知る者は当事者以外いない。
だが、これからの日本経済の先行きを考える上で重要な会議であった。 そこでは、現下の世界経済の問題点と、今後の有力投資先(国)について意見交換が行われた。 改めて指摘するまでもなく、その会合での議論の中心となったのは、日本銀行が同29日に発表した「マイナス金利導入」をめぐる評価だった。 結論を先に言えば、出席者の過半が「黒田サプライズ」を高く評価し、「アベノミクス」がそれなりの成果をもたらせば日本株は「買い」で一致したというのだ。
そもそも、日銀の黒田東彦総裁は、日経平均株価が1万6000円割れ寸前の同21日の参院決算委員会で「現時点でマイナス金利政策を具体的に考えていることはない」と答弁していた。 それだけではない。翌22日から24日に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)出席のためスイス滞在中に、米CNBCのインタビューに応じ、ダメ押しするかのように追加の金融緩和を否定した。
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ところが、同29日の日銀政策決定会合で、ギリギリの5対4の賛成多数で追加の金融緩和策を決めた。 この1年3カ月ぶりの追加緩和の肝は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」である。日銀がマイナス金利を導入したのは初めて。対象は一般の預金ではない。民間の金融機関と日銀の取引で生じる金利であり、民間銀行が余剰金を日銀に預ける際に適用される金利を現行のプラス0・1%からマイナス0・1%に下げる。
黒田総裁は同決定会合直後の会見で「(ダボス会議に出発する前に)事務方に緩和策の検討を指示した」と明かした。 当日の東京株式市場終値は急騰したが、先週末まで続落するなど激しい乱高下が続いている。 それでも、黒田総裁は2月3日の講演でマイナス金利導入を「日銀史上最強の枠組み」と語り、強気の姿勢を崩さない。 それにしても、である。なぜ、それまで強く否定してきた追加緩和を決断したのかの説明がない。 スイスへ出発する直前の黒田総裁のもとに安倍晋三首相から電話が入ったとしか考えられない。官邸・日銀の連携である。
ZAKZAK (ジャーナリスト・歳川隆雄)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160209/dms1602090830003-n1.htm
【管理人コメント】
通常は預金・貸し金の利子あるいは利息である金利がマイナスになることはないが、超低金利時には短期金利が極めてまれに瞬間的にマイナスになることもある。名目金利から物価上昇分を引いた実質金利では、インフレが高進する時にはしばしば起こりうる。逆に、物価が下落(デフレ)している場合は、ゼロ金利でも実質金利はプラスになる。「ゼロ金利政策の日本だが、デフレのため実質金利は高い。高実質金利は企業の経済活動に多大な影響を及ぼし、日本経済回復の遅れにつながる。
一方、一向に円安ではではなくやや円高に向かっている日本だが、原油の純輸入国である米国では、油価下落は、シェールオイル開発などでのマイナス面はあるものの、ガソリンなどの価格低下が家計などに恩恵(実質所得増加)を与え、トータルでは経済成長にプラスとのコンセンサスが優勢だったが、1バレル=30㌦割れといった水準が長期化し、見方が変わってきている。極端な低油価が続けば、エネルギー業界の業績低迷が続くばかりか、今年4月に負債の借り換え期が集中するシェール関連企業のデフォルト(債務不履行)が多発する可能性も出てくる。 原油安→米国実体経済の減速→米国利上げ政策の頓挫→日米金利差の方向性変化(日本金利<米国金利の幅拡大の歯止め)が強い。その結果円安にはならないでいる。
黒田総裁の金融緩和でどうなるのか…。本来安倍総理の成長戦略において踏み込んだ政策と海外への宣伝活動があれば日本株は上昇する。現状安倍総理にそれだけの動きが見られない。アベノミクス戦略はここからが本番なのだが…。
だが、これからの日本経済の先行きを考える上で重要な会議であった。 そこでは、現下の世界経済の問題点と、今後の有力投資先(国)について意見交換が行われた。 改めて指摘するまでもなく、その会合での議論の中心となったのは、日本銀行が同29日に発表した「マイナス金利導入」をめぐる評価だった。 結論を先に言えば、出席者の過半が「黒田サプライズ」を高く評価し、「アベノミクス」がそれなりの成果をもたらせば日本株は「買い」で一致したというのだ。
そもそも、日銀の黒田東彦総裁は、日経平均株価が1万6000円割れ寸前の同21日の参院決算委員会で「現時点でマイナス金利政策を具体的に考えていることはない」と答弁していた。 それだけではない。翌22日から24日に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)出席のためスイス滞在中に、米CNBCのインタビューに応じ、ダメ押しするかのように追加の金融緩和を否定した。
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ところが、同29日の日銀政策決定会合で、ギリギリの5対4の賛成多数で追加の金融緩和策を決めた。 この1年3カ月ぶりの追加緩和の肝は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」である。日銀がマイナス金利を導入したのは初めて。対象は一般の預金ではない。民間の金融機関と日銀の取引で生じる金利であり、民間銀行が余剰金を日銀に預ける際に適用される金利を現行のプラス0・1%からマイナス0・1%に下げる。
黒田総裁は同決定会合直後の会見で「(ダボス会議に出発する前に)事務方に緩和策の検討を指示した」と明かした。 当日の東京株式市場終値は急騰したが、先週末まで続落するなど激しい乱高下が続いている。 それでも、黒田総裁は2月3日の講演でマイナス金利導入を「日銀史上最強の枠組み」と語り、強気の姿勢を崩さない。 それにしても、である。なぜ、それまで強く否定してきた追加緩和を決断したのかの説明がない。 スイスへ出発する直前の黒田総裁のもとに安倍晋三首相から電話が入ったとしか考えられない。官邸・日銀の連携である。
ZAKZAK (ジャーナリスト・歳川隆雄)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160209/dms1602090830003-n1.htm
【管理人コメント】
通常は預金・貸し金の利子あるいは利息である金利がマイナスになることはないが、超低金利時には短期金利が極めてまれに瞬間的にマイナスになることもある。名目金利から物価上昇分を引いた実質金利では、インフレが高進する時にはしばしば起こりうる。逆に、物価が下落(デフレ)している場合は、ゼロ金利でも実質金利はプラスになる。「ゼロ金利政策の日本だが、デフレのため実質金利は高い。高実質金利は企業の経済活動に多大な影響を及ぼし、日本経済回復の遅れにつながる。
一方、一向に円安ではではなくやや円高に向かっている日本だが、原油の純輸入国である米国では、油価下落は、シェールオイル開発などでのマイナス面はあるものの、ガソリンなどの価格低下が家計などに恩恵(実質所得増加)を与え、トータルでは経済成長にプラスとのコンセンサスが優勢だったが、1バレル=30㌦割れといった水準が長期化し、見方が変わってきている。極端な低油価が続けば、エネルギー業界の業績低迷が続くばかりか、今年4月に負債の借り換え期が集中するシェール関連企業のデフォルト(債務不履行)が多発する可能性も出てくる。 原油安→米国実体経済の減速→米国利上げ政策の頓挫→日米金利差の方向性変化(日本金利<米国金利の幅拡大の歯止め)が強い。その結果円安にはならないでいる。
黒田総裁の金融緩和でどうなるのか…。本来安倍総理の成長戦略において踏み込んだ政策と海外への宣伝活動があれば日本株は上昇する。現状安倍総理にそれだけの動きが見られない。アベノミクス戦略はここからが本番なのだが…。
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