先進国と中国の鉄鋼戦争、板挟みの韓国勢はどう戦うべきか
中国製の低価格鉄鋼製品をめぐる通商戦争が起きた。米国は中国の鉄鋼メーカーに最高400-500%の関税をかけ、全面戦争を宣言。これに対し、中国は米国を世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を示唆した。
このほか、欧州連合(EU)が最近中国製鉄鋼製品に対する反ダンピング調査を開始し、先進7カ国(G7)首脳も鉄鋼の供給過剰問題を指摘するなど、戦線は拡大している。 韓国鉄鋼業界も影響を受けている。米政府が中国製品と同時に最高50%の反ダンピング関税を適用したためだ。対米輸出ルートが断たれた中国の鉄鋼メーカーが韓国市場で攻勢をかけた場合、韓国は米中のサンドイッチ状態になる懸念も浮上している。
■欧米、中国に圧力強める
米国は最近、中国の鉄鋼製品に対し、事実上の「輸入禁止令」を下した。米商務省が17日、中国製冷延鋼板に過去最高となる522%の関税をかけたのに続き、25日には中国製の耐腐食鋼に451%の関税を適用することを決めたためだ。さらに、26日には米国際貿易委員会(ITC)が中国の鉄鋼メーカー40社を対象にカルテル、ハッキングによる企業秘密入手などの疑いで調査に着手したと発表した。米鉄鋼大手USスチールの提訴を受けた動きだ。今回の提訴で「クロ」判定が出れば、輸入禁止、押収が可能となり、中国製鉄鋼製品は事実上、米国に輸出できなくなる。
中国も黙ってはいない。中国商務省は27日、「米国の措置は世界の貿易秩序を混乱させる保護貿易主義だ。WTOの関連規定により、中国企業を支援していく」とする声明を発表した。 すると、今度はG7が中国に圧力をかけ始めた。日本でのサミット(首脳会議)を終えたG7首脳は27日、宣言文に事実上中国を念頭に「鉄鋼産業の政府補助金といった市場歪曲(わいきょく)措置をなくすべきだ」との文言を盛り込んだ。
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先進国は中国のダンピング攻勢で自国の鉄鋼メーカーが深刻な被害を受けていると主張している。世界の鉄鋼生産量の半分を占める中国が供給過剰を解消するために輸出を増やしていることで、鉄鋼価格は12年当時に1トン当たり平均600ユーロ(約7万3600円)から現在は400ユーロへと30%以上下落している。
世界の鉄鋼メーカーは、深刻な経営難に直面している。インドのタタ・スチールは英国事業からの撤退を決定。英国で4万人分の雇用が失われる見通しだ。USスチールも昨年、35%の減収となり、純損益は16億ドル(約1770億円)の赤字だった。鉄鋼業界関係者は「米国と欧州は中国政府が税金還付措置などで市場に介入していると受け止めている」と述べた。
■韓国はサンドイッチ状態
問題は先進国と中国による鉄鋼戦争の渦中で韓国が板挟みになっている点だ。米国は26日、中国メーカーに反ダンピング関税をかけたのと同時に、韓国のポスコ、現代製鉄、東国製鉄、東部製鉄にも最高48%の関税を適用した。 だからといって、韓国政府は中国に制裁を加えられる立場にはない。ポスコ経営研究院のシム・サンヒョン首席研究員は「韓国は対中輸出割合が高い半導体やスマートフォンに対する報復関税を心配し、強硬な貿易制裁には踏みきれずにいる」と分析した。
さらに問題なのは、米国への輸出が断たれた中国メーカーが韓国へと輸出を強化する可能性が高い点だ。既に韓国は中国製鉄鋼製品の割合が高い市場であり、中国による鉄鋼輸出の12%が韓国向けだ。昨年の韓国の鉄鋼消費量に占める中国製鋼材の割合は約25%に達した。このため、国産品、中国製品の流通を担当する業者間の対立も高まっている。ある国産鉄鋼流通業者が「建設各社が品質不十分の中国製鉄筋を使い、安全を脅かしている」とする新聞広告を出したのに対し、輸入業者は「品質を検証しよう」と反論広告を出した。
産業研究院のチョン・ウンミ上級研究委員は「韓国が今回の通商紛争でチャンスをつかむためには、中国が制裁を受けたすきに米国市場で営業力を高め、もっと積極的に攻略していくしかない」と指摘した。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/30/2016053000671.html
【管理人 補足記事&コメント】
中国は先週、欧州連合(EU)、日本、韓国の鉄鋼メーカーに対し、14─46%の「反ダンピング」関税を新たに適用すると発表。不公正な貿易により「相当の損害」を被っていると主張している。この措置には、今年、EUと米国によってさまざまな種類の中国産鉄鋼製品に対して課された関税に対する報復という意味合いが含まれている。中国は新たな関税のうち最も高い税率を、イギリスでタタ・スチール(TISC.NS)が製造する特殊鋼のために用意している。だがタタ自身も、ある種のパニックに近いものを引き起こしている。イギリスにおける事業を実質的に放棄する意向を発表し、数万人の雇用を支える製造チェーンを脅かしているからだ。
ここで見られる錯綜した流れは、複雑で、おおむね不吉である。経済的な、そして特に政治的なプレッシャーが高まるなか、中国、欧州、米国といったプレイヤーの間で、あえて貿易紛争のリスクを冒そうという気分が高まっているように見えるからだ。貿易や、実はグローバリゼーションに対する世界的な風潮は、明らかに大きな変化を迎えており、関連する雇用や産業だけでなく、経済成長や資産価値にとっても多くのリスクを生んでいる。
「これが貿易紛争ではないなら、いったい何だと言うのだ」と業界団体UKスチールのディレクター、ガレス・ステイス氏は英デイリーテレグラフ紙に語った。「中国からの輸入品の洪水によって、世界中が文字通り溺れている。もちろん、欧州産の鉄鋼が中国に殺到しているなどという事態は見られない」
中国が競合国から広く批判されているのは、自国の鉄鋼製品を国内市場よりも低価格で輸出する、いわゆるダンピング行為のせいだ。中国は巨大な鉄鋼産業を築き上げ、現在ではグローバル市場において50%近いシェアを握っている。幹線道路や工場の建設といった鉄鋼大量消費型のプロジェクトへの固定投資よりも、国内の個人消費を育てていく戦略をとりつつ、それが鉄鋼部門に全面的な悪影響を与えるのを回避しようとしている。
中国が、経済活動の基礎資源となる鋼材を格安で輸出する「たたき売り」を加速させて来たわけで、過剰な在庫処理の対応でもあったわけだが、今年2月には国内経済の低迷をカバーするため加速させた輸出攻勢が、世界の鉄鋼価格の暴落を招いた。中国の鋼材輸出金額をみれば明らかだ。 増える輸出量に反して輸出金額は、14年が33・0%増の708・4億米ドル、15年が11・3%減の628・3億米ドルと減少。この間、単価は26・0%も下落した。
鋼材価格の下落などで、欧州の鉄鋼大手アルセロール・ミタルは15年7~9月期の欧州事業が営業赤字となり、韓国の鉄鋼大手ポスコも15年12月期の連結最終損益が初の赤字に転落。いまや世界各国の業界関係者から“中国主犯説”の批判が高まっている。ところが中国の鉄鋼戦争である。輸出が減少すれば、高い関税で中国雇用に大きく影響を与えるとすれば、すぐ我慢の限界が来るわけで、関税は引き下げられるだろうと予想するが…。今の中国は弱い。。。
このほか、欧州連合(EU)が最近中国製鉄鋼製品に対する反ダンピング調査を開始し、先進7カ国(G7)首脳も鉄鋼の供給過剰問題を指摘するなど、戦線は拡大している。 韓国鉄鋼業界も影響を受けている。米政府が中国製品と同時に最高50%の反ダンピング関税を適用したためだ。対米輸出ルートが断たれた中国の鉄鋼メーカーが韓国市場で攻勢をかけた場合、韓国は米中のサンドイッチ状態になる懸念も浮上している。
■欧米、中国に圧力強める
米国は最近、中国の鉄鋼製品に対し、事実上の「輸入禁止令」を下した。米商務省が17日、中国製冷延鋼板に過去最高となる522%の関税をかけたのに続き、25日には中国製の耐腐食鋼に451%の関税を適用することを決めたためだ。さらに、26日には米国際貿易委員会(ITC)が中国の鉄鋼メーカー40社を対象にカルテル、ハッキングによる企業秘密入手などの疑いで調査に着手したと発表した。米鉄鋼大手USスチールの提訴を受けた動きだ。今回の提訴で「クロ」判定が出れば、輸入禁止、押収が可能となり、中国製鉄鋼製品は事実上、米国に輸出できなくなる。
中国も黙ってはいない。中国商務省は27日、「米国の措置は世界の貿易秩序を混乱させる保護貿易主義だ。WTOの関連規定により、中国企業を支援していく」とする声明を発表した。 すると、今度はG7が中国に圧力をかけ始めた。日本でのサミット(首脳会議)を終えたG7首脳は27日、宣言文に事実上中国を念頭に「鉄鋼産業の政府補助金といった市場歪曲(わいきょく)措置をなくすべきだ」との文言を盛り込んだ。
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先進国は中国のダンピング攻勢で自国の鉄鋼メーカーが深刻な被害を受けていると主張している。世界の鉄鋼生産量の半分を占める中国が供給過剰を解消するために輸出を増やしていることで、鉄鋼価格は12年当時に1トン当たり平均600ユーロ(約7万3600円)から現在は400ユーロへと30%以上下落している。
世界の鉄鋼メーカーは、深刻な経営難に直面している。インドのタタ・スチールは英国事業からの撤退を決定。英国で4万人分の雇用が失われる見通しだ。USスチールも昨年、35%の減収となり、純損益は16億ドル(約1770億円)の赤字だった。鉄鋼業界関係者は「米国と欧州は中国政府が税金還付措置などで市場に介入していると受け止めている」と述べた。
■韓国はサンドイッチ状態
問題は先進国と中国による鉄鋼戦争の渦中で韓国が板挟みになっている点だ。米国は26日、中国メーカーに反ダンピング関税をかけたのと同時に、韓国のポスコ、現代製鉄、東国製鉄、東部製鉄にも最高48%の関税を適用した。 だからといって、韓国政府は中国に制裁を加えられる立場にはない。ポスコ経営研究院のシム・サンヒョン首席研究員は「韓国は対中輸出割合が高い半導体やスマートフォンに対する報復関税を心配し、強硬な貿易制裁には踏みきれずにいる」と分析した。
さらに問題なのは、米国への輸出が断たれた中国メーカーが韓国へと輸出を強化する可能性が高い点だ。既に韓国は中国製鉄鋼製品の割合が高い市場であり、中国による鉄鋼輸出の12%が韓国向けだ。昨年の韓国の鉄鋼消費量に占める中国製鋼材の割合は約25%に達した。このため、国産品、中国製品の流通を担当する業者間の対立も高まっている。ある国産鉄鋼流通業者が「建設各社が品質不十分の中国製鉄筋を使い、安全を脅かしている」とする新聞広告を出したのに対し、輸入業者は「品質を検証しよう」と反論広告を出した。
産業研究院のチョン・ウンミ上級研究委員は「韓国が今回の通商紛争でチャンスをつかむためには、中国が制裁を受けたすきに米国市場で営業力を高め、もっと積極的に攻略していくしかない」と指摘した。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/05/30/2016053000671.html
【管理人 補足記事&コメント】
中国は先週、欧州連合(EU)、日本、韓国の鉄鋼メーカーに対し、14─46%の「反ダンピング」関税を新たに適用すると発表。不公正な貿易により「相当の損害」を被っていると主張している。この措置には、今年、EUと米国によってさまざまな種類の中国産鉄鋼製品に対して課された関税に対する報復という意味合いが含まれている。中国は新たな関税のうち最も高い税率を、イギリスでタタ・スチール(TISC.NS)が製造する特殊鋼のために用意している。だがタタ自身も、ある種のパニックに近いものを引き起こしている。イギリスにおける事業を実質的に放棄する意向を発表し、数万人の雇用を支える製造チェーンを脅かしているからだ。
ここで見られる錯綜した流れは、複雑で、おおむね不吉である。経済的な、そして特に政治的なプレッシャーが高まるなか、中国、欧州、米国といったプレイヤーの間で、あえて貿易紛争のリスクを冒そうという気分が高まっているように見えるからだ。貿易や、実はグローバリゼーションに対する世界的な風潮は、明らかに大きな変化を迎えており、関連する雇用や産業だけでなく、経済成長や資産価値にとっても多くのリスクを生んでいる。
「これが貿易紛争ではないなら、いったい何だと言うのだ」と業界団体UKスチールのディレクター、ガレス・ステイス氏は英デイリーテレグラフ紙に語った。「中国からの輸入品の洪水によって、世界中が文字通り溺れている。もちろん、欧州産の鉄鋼が中国に殺到しているなどという事態は見られない」
中国が競合国から広く批判されているのは、自国の鉄鋼製品を国内市場よりも低価格で輸出する、いわゆるダンピング行為のせいだ。中国は巨大な鉄鋼産業を築き上げ、現在ではグローバル市場において50%近いシェアを握っている。幹線道路や工場の建設といった鉄鋼大量消費型のプロジェクトへの固定投資よりも、国内の個人消費を育てていく戦略をとりつつ、それが鉄鋼部門に全面的な悪影響を与えるのを回避しようとしている。
中国が、経済活動の基礎資源となる鋼材を格安で輸出する「たたき売り」を加速させて来たわけで、過剰な在庫処理の対応でもあったわけだが、今年2月には国内経済の低迷をカバーするため加速させた輸出攻勢が、世界の鉄鋼価格の暴落を招いた。中国の鋼材輸出金額をみれば明らかだ。 増える輸出量に反して輸出金額は、14年が33・0%増の708・4億米ドル、15年が11・3%減の628・3億米ドルと減少。この間、単価は26・0%も下落した。
鋼材価格の下落などで、欧州の鉄鋼大手アルセロール・ミタルは15年7~9月期の欧州事業が営業赤字となり、韓国の鉄鋼大手ポスコも15年12月期の連結最終損益が初の赤字に転落。いまや世界各国の業界関係者から“中国主犯説”の批判が高まっている。ところが中国の鉄鋼戦争である。輸出が減少すれば、高い関税で中国雇用に大きく影響を与えるとすれば、すぐ我慢の限界が来るわけで、関税は引き下げられるだろうと予想するが…。今の中国は弱い。。。
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FTAの危険モデル
中韓FTAのあと韓国はやられっぱなし。
これが危険モデルを世界に示した。
鉄だけではない。
韓国政界は中国汚染されているだろう。
これが危険モデルを世界に示した。
鉄だけではない。
韓国政界は中国汚染されているだろう。
[ 2016/05/30 20:43 ]
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「民主主義・人権保護・法の支配」のコストを負担しない独裁国家
これでは民主国家がコスト面で追い込まれるのは当然
独裁国家が民主化を達成するまではWTO加入を認めるべきでは無かったのだ
結局は、独裁中国により先進国の労働環境が引き落とされただけ。