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東京五輪は女神か罠か?

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安倍首相は、消費増税を果断に決定すべきところの対応をしくじったと思う。7月の参議院選挙の前後に慎重な判断を示して、有識者ヒアリングなどを行った。そのまま10月1日まで時間稼ぎをするつもりなのだろうか。

端からみると、成長戦略に本格稼動すべきところを、手前でもたもたしているように映る。この間、海外投資家は、選挙後の6週間のうち5週間ほど日本株を売り越した。

ところが、安倍首相は、つくづく強運である。9日に発表された4―6月の実質国内総生産(GDP)改定値は年率3.8%の高成長。エコノミストならば出来過ぎの数字だと言うだろう。これで、消費税増税を先送りする理由はどこにもなくなった。消費税増税は「当初からやるつもりだった」と言えば、挽回できる。

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さらに、東京五輪の決定。安倍首相の手腕もあろうが、本当にラッキーだ。内閣支持率は、また上昇に向かうだろう。東京五輪をバックアップするために財政再建をしっかりさせないといけないから、消費税増税は2015年10月も含めて実施する。筆者の読み筋は、東京五輪の決定で、2度の消費税が「予定通り」というところがポイントだと思う。

2度の消費税増税は、長期にわたって成長戦略をしっかりやることが「担保」になっている。消費税を先送りするならば、成長戦略への取り組みも手綱が緩むのではないかとの疑念が強まり、「消費税先送り論=日本株の売り」につながる。反対に、消費税増税を行うことは、増税に連鎖して価格転嫁が進み、インフレ率を高めることにつながって円安要因になる。

「東京五輪の経済効果+消費税増税+強い経済・強い成長戦略=円安+株高」という良いシナリオを、安倍首相は演出できる。

<懸念は財政拡張を求める政治的気運>

五輪という行事は、人々のマインドを楽観的に傾かせる魅惑がある。株式市場のにぎわいをみるとそう感じる。

しかし、財政運営では油断は禁物である。今のところ、東京五輪の計画では、施設建設は国立競技場の建て替え、選手村建設といった控えめな内容になっていて、数千億円の投資額に抑えられている。この通りに進めば、政府支援が多少行われても、国家財政にきしみが生じることにはならない。安倍政権も、財政再建の重要性は重々承知していることと思う。

問題は、これから2020年まで極めて長い期間があることだ。安倍政権は12年の衆議院選挙、13年の参議院選挙の洗礼を受けて、あと3年間は選挙なしで運営することが可能だ。しかし、20年までを見越すと、衆・参議院の選挙は少なくとも3回は行われることになろう。

選挙が頻繁に行われると、その中で東京五輪に合わせて、大規模な社会インフラを建設したいという政治的気運が高まらないとも限らない。2度の消費税増税では賄えないくらいの財政負担が生じれば、20年の基礎的財政収支の黒字化計画はあえなく頓挫してしまう。

幾度かの選挙を経たとして、財政再建の堅持と東京五輪を天秤にかけて、拡張主義の魅惑を我慢し続けられるのだろうか。東京五輪は、日本経済を復活させる幸運の女神のままでいられるのか、それとも拡張主義に走らせる罠になるのであろうか。くれぐれも慎重であってほしい。


*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE98908C20130910?sp=true



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[ 2013年09月10日 20:54 ] カテゴリ:日本経済 | TB(0) | CM(0)
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