韓国が誇る高速鉄道ヘムに早くも暗雲 最高速度430キロのはずが303キロ
小欄でときどき登場する韓国の高速列車「ヘム」(HEMU-430X)の話である。ここにきて、設計最高速度430キロ、営業運転速度370キロを目指して開発中のヘムの実用化について、韓国国内で疑問の声が出始めているのだ。
4月6日、韓国・大田(テジョン)でヘムの試乗会が開催され、同国内のメディアは試乗会の様子を一斉に報じた。 まずは聯合ニュース。書き出しが「速くて、静かで乗り心地がよい」と、早くも記者の高揚感が伝わってくる。さらに、「客室に占める空間が広がっていた」「空気抵抗を抑えるため、先頭部分がとがっていて、流線形の形が目立つ」-などと、営業運転しているKTXの車両との違いを興奮ぎみに伝えた。 ちなみに、聯合ニュースの記事は日本語サイトには登場せず、韓国語サイトでしか見られない。
一方、中央日報の記事は抑制的だった。 日本語サイトで、「韓国の最高時速430キロ高速列車、試乗イベントで303キロ?」との見出しの記事を掲載し、370キロは出せるはずのヘムが試乗会では303キロまでしか出なかったと報じた。さらに、「最高時速430キロの韓国高速列車、商用化は早くても2020年」とする関連記事も流した。聯合ニュースも、記事の後半で、試乗会での最高速度は303キロだったことを報じ、「騒音は思ったより少なかったが、振動はKTXよりひどい」とする感想もあった。この点については、「商用化の際には、このような問題はないだろう」という研究責任者の解説が付いている。
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ヘムは、これまでのKTXの車両と大きく異なる車両である。KTXは先頭と最後尾の車両に動力装置(機関車)が付き、客車を牽引(けんいん)する「動力分散式」なのに対し、ヘムは日本の新幹線と同様にすべての車両の下部に動力装置がある「動力集中式」を採用している。これにより、座席を増やせるメリットがあるほか、何よりも、速度を増しても車両全体の安定走行が図れるという。これまでの試験走行で421.4キロを出し、「フランス・中国・日本に続き世界4番目のスピードを記録した」(中央日報)。ところが、韓国国内で時速370キロを出すのが不可能であることが分かったのだ。中央日報によると、「韓国内の鉄路は時速300キロ用に設計されているため」だという。
韓国高速鉄道は、日本の新幹線方式ではなく、フランスのTGVの技術が導入された。ところが、「この出発点が、今の韓国高速鉄道界を悩ますことになった」と、日本の新幹線整備にかかわったJR元幹部が指摘する。フランスと韓国では地形が全然異なる。フランスは平野が多く、地盤が比較的固いのに対し、韓国は山岳が多く、緩い地盤が少なくない。このため、車両はともかく、地盤やトンネルといった土木技術はフランス式に合わせるわけにいかず、整備の最大の課題になったという。JR元幹部は「KTXに乗ると、トンネルの出入りで『キーン』という激しい高音が耳につく。日本の技術ではクリアできる課題を韓国の高速鉄道は今も抱えている」と語る。 それよりも、韓国国内では「今すぐの商用化が難しい」(中央日報)という現実を突き付けられた。2007年から15年までの8年間で総額1182億ウォンの予算を投入したヘムが「宝の持ち腐れ」とか「無用の長物」といわれかねない状況になってきた。
http://www.sankei.com/premium/news/160424/prm1604240004-n1.html
【管理人 補足記事&コメント】
韓国では「HEMU-430X」、通称・ヘム(海霧)と呼ばれる車両が2013年春、すでに試験走行で時速421キロの最高速度を達成している。鉄輪式鉄道では、フランスのTGV(時速574キロ)、中国の和諧号(時速487キロ)、そして日本の新幹線(時速443キロ)に次いで、世界で4番目の速さだ。ヘムは、2013年から昨年8月までに10万キロの試験走行を行い、最終的には時速450キロの最高速度を達成する目標を掲げている。なぜ450キロかというと、新幹線の最高速度が443キロだから。韓国・国土交通省はその後、時速600キロ級の高速列車の開発を目指すとした。
この計画が実現すれば、世界で100番目あたりの広さを誇る韓国の国土(日本の3分の1以下)なら、どこに行くにもあっという間に到着してしまうだろう。というよりもその前に技術的レベルで、安全を含めて無理が無理を呼ぶことになる。韓国の高速鉄道はKTXの開発段階から、仏TGVのシステムを採用しており、今さら新幹線のシステムを導入することは不可能らしい。そもそも、TGVはヨーロッパの起伏の少ない地形を前提としており、起伏が激しく湿度も高い韓国の風土には不向きだと指摘されている…。
韓国政府の「反日政策」が新幹線システムの導入を拒んだとも伝えられているが…。
4月6日、韓国・大田(テジョン)でヘムの試乗会が開催され、同国内のメディアは試乗会の様子を一斉に報じた。 まずは聯合ニュース。書き出しが「速くて、静かで乗り心地がよい」と、早くも記者の高揚感が伝わってくる。さらに、「客室に占める空間が広がっていた」「空気抵抗を抑えるため、先頭部分がとがっていて、流線形の形が目立つ」-などと、営業運転しているKTXの車両との違いを興奮ぎみに伝えた。 ちなみに、聯合ニュースの記事は日本語サイトには登場せず、韓国語サイトでしか見られない。
一方、中央日報の記事は抑制的だった。 日本語サイトで、「韓国の最高時速430キロ高速列車、試乗イベントで303キロ?」との見出しの記事を掲載し、370キロは出せるはずのヘムが試乗会では303キロまでしか出なかったと報じた。さらに、「最高時速430キロの韓国高速列車、商用化は早くても2020年」とする関連記事も流した。聯合ニュースも、記事の後半で、試乗会での最高速度は303キロだったことを報じ、「騒音は思ったより少なかったが、振動はKTXよりひどい」とする感想もあった。この点については、「商用化の際には、このような問題はないだろう」という研究責任者の解説が付いている。
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ヘムは、これまでのKTXの車両と大きく異なる車両である。KTXは先頭と最後尾の車両に動力装置(機関車)が付き、客車を牽引(けんいん)する「動力分散式」なのに対し、ヘムは日本の新幹線と同様にすべての車両の下部に動力装置がある「動力集中式」を採用している。これにより、座席を増やせるメリットがあるほか、何よりも、速度を増しても車両全体の安定走行が図れるという。これまでの試験走行で421.4キロを出し、「フランス・中国・日本に続き世界4番目のスピードを記録した」(中央日報)。ところが、韓国国内で時速370キロを出すのが不可能であることが分かったのだ。中央日報によると、「韓国内の鉄路は時速300キロ用に設計されているため」だという。
韓国高速鉄道は、日本の新幹線方式ではなく、フランスのTGVの技術が導入された。ところが、「この出発点が、今の韓国高速鉄道界を悩ますことになった」と、日本の新幹線整備にかかわったJR元幹部が指摘する。フランスと韓国では地形が全然異なる。フランスは平野が多く、地盤が比較的固いのに対し、韓国は山岳が多く、緩い地盤が少なくない。このため、車両はともかく、地盤やトンネルといった土木技術はフランス式に合わせるわけにいかず、整備の最大の課題になったという。JR元幹部は「KTXに乗ると、トンネルの出入りで『キーン』という激しい高音が耳につく。日本の技術ではクリアできる課題を韓国の高速鉄道は今も抱えている」と語る。 それよりも、韓国国内では「今すぐの商用化が難しい」(中央日報)という現実を突き付けられた。2007年から15年までの8年間で総額1182億ウォンの予算を投入したヘムが「宝の持ち腐れ」とか「無用の長物」といわれかねない状況になってきた。
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韓国では「HEMU-430X」、通称・ヘム(海霧)と呼ばれる車両が2013年春、すでに試験走行で時速421キロの最高速度を達成している。鉄輪式鉄道では、フランスのTGV(時速574キロ)、中国の和諧号(時速487キロ)、そして日本の新幹線(時速443キロ)に次いで、世界で4番目の速さだ。ヘムは、2013年から昨年8月までに10万キロの試験走行を行い、最終的には時速450キロの最高速度を達成する目標を掲げている。なぜ450キロかというと、新幹線の最高速度が443キロだから。韓国・国土交通省はその後、時速600キロ級の高速列車の開発を目指すとした。
この計画が実現すれば、世界で100番目あたりの広さを誇る韓国の国土(日本の3分の1以下)なら、どこに行くにもあっという間に到着してしまうだろう。というよりもその前に技術的レベルで、安全を含めて無理が無理を呼ぶことになる。韓国の高速鉄道はKTXの開発段階から、仏TGVのシステムを採用しており、今さら新幹線のシステムを導入することは不可能らしい。そもそも、TGVはヨーロッパの起伏の少ない地形を前提としており、起伏が激しく湿度も高い韓国の風土には不向きだと指摘されている…。
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