「ネット依存」4つの感謝…意見を言える、現実ではあり得ない出会い・・・
テクノロジーに欠陥は付きもの。だからネット依存に関する注意喚起は簡単です。でも、ネット依存に感謝することは?という質問に、あなたは回答できますか? 当たり前のことを当たり前と思わず、考えました。ネット依存4つの感謝です。
感謝1:サラリーマンも意見を言える
私のようなサラリーマンは仕事をするうえで、ネットの足跡は貴重な個人資産になります。今回で10回目を迎えるこの連載もその一部です。企業が個人向けに発信するとか、企業が企業向けに発信するとかではなく、個人が個人へ発信できるのです。
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「ネット人口は2025年までに80億人になる」とグーグルの会長エリック・シュミットが昨年、予測しました(参照元)。10年後には80億人が、差異あれどネット環境にあるわけです。偶然、その場に居合わせた誰かが、その出来事を世界に伝えることができます。それはつまり、あなたです。グーグルのおかげでネットは専門的な知識を持った人たちから認められるより、個人として自己表現できたことを優先してくれます。ネットに接続できるスマホやタブレットを持っていれば、自己表現の可能性を持てるのです。
この3月に“ウェブ”は25歳の誕生日を迎えました。25年前、欧州12カ国の数千人に上る研究者たちに、効率よく情報を行き渡らせるためのシステム“ウェブ”を、Tim Berners-Leeさんがメモに残しました。そのウェブを使って、私のようなサラリーマンが効率よく、意見を残せるようになったのです。土台になったネット、そしてウェブに感謝です。
感謝2:現実世界ではありえない出会い
「こんな人と会ってみたい!」と思える人へ近づけ、陰から狙いを定めてメッセージを気軽に送ることができます。ネットがなければ、絶対にありえなかった出会い、あなたもきっとあるはずです。
たとえば、2年前に私がPinterestに興味を持ったとき、使い方を知りたくて、いろいろな人に聞いているうちに "Pincess of Pinterest" のMelanie Duncanさんまでたどり着きました。そして多くのPinterestに関する情報を得ることができました。あるときは、マーケティングテクノロジーを学びたくて、調べるうちに "EloQueen" のJill Rowley(Eloqua)さんまでたどり着きました。目的とするものは得られませんでしたが、代わりにブログの書き方を教えていただきました。つながりを増やすためにLinkedInを学び続けていると、カナダでいちばんのLinkedIn専門家であるMelonie Dodaroさんまでたどり着きました。プロフィールの書き方など、自分を表現する方法を教えていただきました。
何かに興味を持ったとき、課題に取り込むうちに現実世界では出会える可能性が少ない人たちとつながり、意見や質問をすることができるのです。ネット依存は人と人をつないだ最高のテクノロジーです。赤の他人の私を受け入れてくれた世界の皆様、そしてネットに感謝です。
感謝3:いちばん得する連絡方法を選べる
人と直接会話をすると、物事は早く動きます。これは事実です。でも、あなたはすごく忙しい。私もそこそこ忙しい。だから関係者全員と、直接、会話をしている時間はありません。そこで活躍するのが、ラクして仕事を進めるための3種の神器、メール、インスタントメール、電話です。たとえば、返事を数日待てるのならメールを投げておく、数秒以内に返事がほしいときはインスタントメールで話しかける、緊急度が高い場合に電話する、最後の手段で直接会う、というようにいちばん得する連絡方法を選べます。離れた場所にいる人と、共通のプラットフォーム上で、あなたがいちばん得する連絡方法で、つねに会話ができるのです。たった1台のパソコン上で。
こんな日々を過ごしていると、お互いを驚くほど身近に感じるようになります。連絡を取り合うのではなく、連絡を絶やさずにいる状態になるからです。過去14年間、私がテクノロジー分野の仕事にかかわりわかったことは、ネットで忙しさは増したけど、大切な仕事の連絡は、短時間で片付くようになったことです。私はこれに感謝します。
感謝4:仕事をする場所を選べる
「集中して仕事がしたいとき、あなたはどこへ行きますか?」
会社ですか? 自宅ですか? それとも第3の場所ですか? 10年間、この質問を繰り返してきた男がいます。ジェイソン・フリード(Jason Fried)です。彼をまねて私も周りに質問してみました。「集中して仕事がしたいとき、あなたはどこへ行きますか?」と。「会社の自席」と答える人はいませんでした。カフェや会社の打ち合わせ室などがほとんどでした。
日本マイクロソフトは自席で仕事をしている人(40%)、自席以外で仕事をしている人(60%)と、その比率は完全に逆転しています。私も会社の自席以外で仕事をするのが好きです。たとえばスターバックス。適度な人込みの中は集中力が出ます。もちろん、あなたの貴重な時間を切り売りするメールは絶対に見てはいけません。インスタントメールで話しかけられても、応答してはいけません。ずっと取り込み中にしておいてください。電話は鞄の中でずっと震えたままで放置しておいてください。この3つを我慢すると、ネットで必要な情報を得ながら、集中して仕事ができるはずです。
どこで仕事をしようが、そこにはネット環境があるので、私は安心して会社の自席以外で、会社と違う雑音に囲まれながら仕事ができます。毎日、同じ場所に長く縛られると、発想まで縛られ固まってしまいます。ネット依存で仕事をする場所が自由に選べる、この最高のぜいたくに感謝します。
瀬戸 和信 :テクノロジーマーケティング専門家
http://toyokeizai.net/articles/-/33308
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