米国産牛肉:場当たり対応の韓国政府、国民の不信は増大!!
米国で6年ぶりに確認されたBSE(牛海綿状脳症)に感染した乳牛は、危険性が低い種類のものである可能性が高い。にもかかわらず批判的な世論が強まっている理由の一つとして、4年前のBSEろうそくデモ騒動の際に、韓国政府が慌てふためきその場しのぎの対策を取ったことも挙げられる。韓国政府の一貫性に欠ける発言など、今回の事態が残した気になる三つの点を整理した。
(1)韓国政府、2008年に2度発言を翻す
「米国でBSEが発生した場合、即座に輸入を停止します」
これは08年5月8日、韓国政府が主要日刊紙に掲載した広告の文言の一部だ。26日、この広告がキャプチャー画像と共に終日インターネットを熱くした。こうした広告を掲載しておきながら輸入を停止しなかったため、韓国政府は約束を破ったというわけだ。
4年前、韓国政府はBSE輸入に関して4度にわたり重要な決定を下した。この過程で韓国政府は、この先BSEが発生した場合、輸入を停止するかどうかについて、何度も発言を翻した。08年4月の輸入衛生条件では、BSEが発生したからといって必ずしも輸入を停止するのではなく、韓国政府が判断・決定を下す裁量事項だとしていた。しかし5月の日刊紙広告と6月の報道資料では、条件を付則せずに輸入を停止するとの方針を表明した。ところが9月の法改正時には、またも「裁量事項」へと逆戻りした。(グラフィック参照)
こうした政府の一貫性に欠ける発言に対し批判が噴出したことを受け、大統領府(青瓦台)は26日のブリーフィングで「08年には広告が出たその日のうちに、当時の韓昇洙(ハン・スンス)首相が談話を通じ“韓国国民が危険に直面していると判断された場合には、輸入を停止する”というただし書き条項を付けた。広告の文言は、限られた紙面にただし書きまで全て掲載することはできないため、即座に停止するかのような表現になった」と釈明した。しかし韓国政府は、広告を出してから1カ月後の6月、報道資料で再度「条件を付けずに輸入を停止する」と発表した。
その後の法改正により、結果的に約束が覆されたことについて、韓国政府は三つの理由を挙げた。農林水産食品部(省に相当)の徐圭竜(ソ・ギュヨン)長官は、26日の記者懇談会で「ろうそくデモの時に高まった国民の世論が徐々に鎮まり、ほかの国には輸入を即時停止する規定がなく、即時停止は国際的な基準から見ても行き過ぎだと判断したため」と説明した。そのため、国会との合意の下、裁量権を許容する方向で法律を改正したという。
しかしこれに関しては、議員たちと韓国政府の見方が異なっている。民主統合党の関係者は「韓国政府が、表現の仕方をめぐって言葉遊びをしている。議員たちは当然、韓国政府の国民に対する約束を法の文言に置き換えるものと理解し、それに従って合意した」と語っている。
(2)カナダに対しては即時検疫停止…BSEの発病件数が米国の4.5倍
昨年末に締結されたカナダとの輸入衛生条件には「BSEが発生した場合、即座に検疫を停止する」という義務規定が盛り込まれている。「輸入停止措置などを取ることができる」とする米国との輸入衛生条件に比べ、はるかに厳格だ。
このように条件がそれぞれ異なる理由は、米国に比べ、カナダのBSE発生件数が4.5倍も多いからだ。米国で確認されたBSEの発病例は今回のケースを含め4件だが、カナダではこれまでに計18件発生した。韓国はカナダから牛肉を輸入しなかったが、昨年6月に輸入再開交渉を行った際、輸入衛生条件に義務的な検疫停止条項を盛り込み、今年1月からカナダ産牛肉の輸入をスタートした。
(3)検疫停止は規定では可能…韓国政府は通商摩擦を懸念
今回、韓国政府が検疫停止措置を取らなかったことに対し、市民は疑問を提起している。実際、農林水産食品部も「現行の韓米牛肉輸入衛生条件や家畜伝染病予防法によると、韓国政府は、裁量的な判断で検疫停止措置を取ることができる」と説明している。特段の科学的根拠や国際獣疫事務局(OIE)のBSEステータス認定といった条件は、必要ではないという。
しかし韓国政府は、検疫停止に踏み切った場合、米国との通商摩擦が再燃するのではないかと懸念している。農林水産食品部のチョン・ジョンミン課長は「韓国政府の裁量で検疫を停止した場合、米国側は当然、当該措置に関する“科学的な根拠”を要求できる。この場合、韓国政府としては米国の要求に対応できる論理が乏しく、両国間の通商関係に問題が生じる可能性がある」と語った。
そのため一部では、米国との再交渉によって即時輸入停止規定を盛り込むべき、との主張もある。しかし農林水産食品部は、かえって事態が悪化しかねないとの理由で、公式には反対の立場だ。米国は現在、韓国に対し、30カ月齢以上の牛の肉も輸入するよう要求している。韓国が輸入衛生条件の再交渉を求めた場合、米国はその見返りに、30カ月齢以上の牛の肉の輸入を受け入れるよう要求してくる可能性もあるというわけだ。
(朝鮮日報)
きちんと知っておきたい牛の感染症
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