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417兆円の債務超過、年金負債も天文学的!!

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国のバランスシートは企業会計と違う部分がある

多くの方は見たことがないかもしれませんが、日本国にも政府のバランスシートが存在します。国も企業会計に類似した財務諸表を開示しているのです。ただ、注意しなければいけないのは、あくまでも“類似した”ものであって、国の会計は企業会計とは少し異なっています。

最も大きな違いは、企業会計で言う「純資産」を、国の会計では「資産・負債差額」と呼んでいる点です。国の会計には「株主の持分としての資本」という考えがありませんから、純資産にあたる部分を「資産と負債の差額」として載せているのです。ただし、これは国民に帰属するものですから、国民から見たら純資産であると考えれば良いのではないかと思います。

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もう一つ、大きな違いがあります。財務省による説明に「今後、一般会計及び特別会計の計数を基礎として、各会計間の債権・債務等を相殺消去するとなどし、国の財務書類を作成予定」とありますが、この「作成予定」というのがミソです。つまり、国の財務諸表は正確な連結処理をされていないのです。ですから、不明瞭な部分がたくさんあることを踏まえた上で見なければなりません。

今回は、平成22年度の国の貸借対照表(一般会計・特別会計)のデータを使って、国が行っている会計にどのような問題が潜んでいるのか、見ていきたいと思います。


曖昧な部分の多い「資産の部」

まずは「資産の部」から見ていきましょう。

1つ目の注意点は、「現金・預金」の額がいつの時点での残高なのか不明瞭だということです。政府はこの項目について「翌年度に入ってくる現金も含めて整理し、計上。おおむねは翌年度の支払い等に使われており、新たな財源とはならない」と説明をしています。

例えば企業のバランスシートでは、年度末の期限であれば3月31日の時点での残高を正確に表示します。しかし、国のバランスシートでは、翌年度に入ってくる現金も含めて計上してあるということですから、いつの時点での残高なのか分からないのです。

2つ目は、「有形固定資産」は売却処分をして現金化することが予定されていないものがほとんどであるということです。有形固定資産は、「国有財産」と「公共用財産」「物品」に分けられます。「国有財産」は、国の庁舎や防衛施設、空港施設など、「公共用財産」は国道や堤防、河川など、「物品」は車両や事務機器などが含まれます。

当たり前ですが、国道や河川、防衛施設などは売買されません。ですから、「有形固定資産」は182兆7000億円ありますが、この額がすべてこの価値になるわけではないのです。ちなみに、「これらの価格は過去の事業費累計などから推計されており、売却価格ではありません」との注記があります。貸借対照表上の価格を上回るものもあれば、そうでないものもあり、いずれにしてもすぐ売れるものは少ないし、それほど売る気もないということでしょう。

3つ目は、「出資金」がすべて回収可能とは限らないということです。出資金とは、独立行政法人、国立大学法人、国際機関などへ出資したお金です。企業会計では、有価証券等に関しては時価会計処理を行っているため、上場しているものに関しては、回収できるかどうか分かります。

しかし、国の場合は出資先のほとんどが独立行政法人ですから、出資金がどれだけ不良債権化しているのか分からないのです。いずれにしても、売却する意向はほとんどないでしょうし、買い先もほとんどないでしょうから、売れない資産であることには変わりありません。

以上、国の資産を合計しますと625兆1000億円にも上りますが、内訳を見ますと価格的にも不明瞭な部分が多いことを認識しておかなければなりません。


「負債の部」には、将来払うべき年金は計上されていない

「負債の部」にも、企業とは異なった方法で計上している項目があります。それは、「公的年金預り金」です。負債の部の中でも123兆9000億円と大きな額になっていますが、企業会計と同じ基準で計上しますと、もっと大きな額になると考えられるのです。

企業会計では、負債の部の「退職給付引当金」という項目で、将来支払う必要のある退職一時金や退職年金を時価評価して計上しなければなりません。国のバランスシートにも「退職給付引当金等」という項目がありますが、これは公務員の退職手当等しか含まれていませんから、国が管理している国民年金や厚生年金については「公的年金預り金」を見る必要があります。

しかし、この「公的年金預り金」は、将来支払わなければならない金額は計上されていません。つまり、企業会計で考えると将来国民がもらう年金額も計上しなければならないのですが、国のバランスシートにはその額が含まれていないのです。

年金を支払っている人たちが将来もらう年金は、実際どのくらいあるのでしょうか。私は、1000兆円ほどあるのではないかと推計しています。もし、これをバランスシートに計上しますと、膨大な額になってしまいますね。

もちろん、これから徴収する分もありますから、政府はそれで相殺しようと考えているのかもしれません。しかし、今の状況では、不足分すべてを保険料で徴収することはできないでしょう。

保険料で徴収しようと考えると、日本の未来を背負う子どもたちに、途方もなく大きな負担をかけることになってしまうからです。実際基礎年金(国民年金)の半分は国庫負担として一般会計からねん出されており、それらの会計処理が貸借対照表上では不明瞭なままとなっています。

いずれにしても、現状を正確に把握するために、政府は一度、企業会計並みの徹底した開示を行うべきです。急速に少子高齢化が進む中、このような不十分な年金会計で大丈夫なのかと強い不安を覚えます。

最後に「負債と資産の差額」を見ますと、マイナス417兆7700億円。つまり企業会計で言いますと、純資産はまったくないという状況です。債務超過です。先に説明した、将来の年金の国庫負担分などを入れると、この債務超過分はさらに膨らむでしょう。

これが企業でしたら、倒産しているとまでは言いませんが、完全に債務超過で、大きな問題があることは明らかです。いずれにしても、この大きな金額は国民が将来的に負担しなければならない可能性があるということです。


長期金利が上がっても、バランスシートには影響しない

次に、「負債の部」の「公債」に関連した話をします。「公債」とは、いわゆる長期の日本国国債のことです。

金利が上昇すると、それに伴って国債の利払いも増えます。例えば、平成24年度の一般会計予算によると、国債の利払い費だけで9兆8000億円も計上されていますが、将来、金利がたった1%上昇しただけで、長期的にはほぼ倍の約20兆円を支払わねばならなくなるのです。

しかし、このように長期金利が上昇して利払いが増えても、国債の残高さえ増えなければ、バランスシートには影響しません。利払い費は、ほぼキャッシュベースである一般会計予算に計上されるのです。

ですから、金利が1%上昇しますと、その分は当然、国家予算を増やさなければならなくなります。つまり、キャッシュの動きを追っていくと影響が表れ、政府の資金繰りは苦しくなることになります。(予算に関しては、別の回で説明したいと考えています)

少し余談になりますが、金利が上昇したとき一番困るのは、国債を大量に保有している国内の金融機関です。1%の金利の上昇で、メガバンク3行だけでも国債の含み損が約2兆円にもなると言われています。ですから、もし金利が上がってしまった場合、政府のバランスシートには影響がありませんが、金融機関などのバランスシートに膨大な損失が計上されてしまうのです。


約1000兆円の負債額に対し、金融資産は400兆円弱

国の資産と負債、それぞれの内訳をよく見てみますと、もう一つ大きな問題があることが分かります。前回もお話ししましたように、負債は返さなければならないお金です。もっと言いますと、負債の合計は1042兆9000億円ありますが、これはすべて将来のどこかの時点で、実額で返さなければならないということです。

それに対し、資産のうち金融資産で持っているものは、「現金・預金」15兆7000億円、「有価証券」89兆3000億円、「未収金等」13兆7000億円、「貸付金」148兆円、「運用寄託金」115兆6000億円、合計しますと382兆3000億円しかないのです。

さらに「負債の部」には、将来支払わなければならない年金などは計上されていません。先にも指摘しましたように、企業会計で考えると、年金の負債額は1000兆円どころではないでしょう。年金の国庫負担分だけでも多額に上ります。このような状況で、本当に負債を返済し続けることができるのでしょうか?

順次税収が入ってきて借金を返済できればいいのですが、日本経済の現状を考えますと、それが不可能なのは明らかです。国はどのようにしてこの負債を返していくのでしょうか。このままでは、財政赤字を増やしていくしかないでしょう。

このように、国のバランスシートは、一見しただけでも多額の債務超過となっていますが、さらに具体的に見ていきますと非常に曖昧な部分がたくさんあるのです。そして冒頭でも言いましたように、このバランスシートは、一般会計、特別会計、地方財政など、すべてを連結処理したものではありません。日本の財政はあまりに複雑化しすぎてしまって、簡単には連結できないからです。

そういう意味では、日本財政の全体像を把握している人はいないのではないでしょうか。あるいは、正確に連結しないほうが良いと考えている人たちが開示を怠っているのかもしれませんね。

「今、日本の財政はどうなっているのか」ということを知らなければ、経済対策を評価することも将来にわたっての戦略を立てることもできません。連結ベースで、実際どのくらいの資産を持ち、借金を抱えているのか分からないのに、「消費税率を10%まで引き上げる」と言われても、国民として、それが正しい政策か否か判断のしようがないわけです。

ですから、政府は財務情報を正確に連結し、それを開示すべきです。しかも企業に要求している国際会計基準のベースで開示すべきです。その上で根本的な改革を行うのです。少子高齢化が急速に進み、中長期的に税収が上がりにくい状況の中、政府はどこで黒字転換していくかを考えないと、未来の日本を背負っていく子どもたちに負担を強いることになってしまいます。

経済再生の第一歩として、政府は、まずは正確な財務情報を開示する努力をしなければならない、と私は思います。

東洋経済







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[ 2012年12月06日 08:59 ] カテゴリ:日本経済 | TB(0) | CM(0)
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