英国EU離脱は経済的悲劇をもたらさない・・・
EUに「残るべきか、去るべきか、それが問題だ」と、ハムレットのように悩んだ末の英国のEU離脱は、経済面からみて、シェークスピアのような悲劇なのだろうか。貿易面では、英国はEU側と、新たに関税等を協議して設定しなければならない。EUとしては英国に続く離脱国を事前に防ぐため、「見せしめ」として高めの関税を設定する可能性がある。とはいっても、それで英国経済が瓦解するとは考えにくい。また、EUと関税協定を結んでいた非欧州諸国は、英国と新たな取り決めを行うことになるが、これまでと極端に異なる関税率を設定する動機は、欧州以外の国にはない。
英国から他のEU諸国に拠点を移す海外企業が増えるとの観測もあるが、英国のビジネス上の魅力はまず英語圏であり、国際会計をサポートする会計士や国際裁判に長けた弁護士が多いなど、これまでと変わらぬメリットも大きい。英国の資産運用業のノウハウも、長年の蓄積があり、すぐに揺らぐようなものではない。
英国のEU離脱が、英国経済や欧州経済全体に対する悪影響はあろうが、いざとなれば、BOE(イングランド銀行)やECB(欧州中央銀行)、各国政府も、緊急経済対策として打つ手はある。さらに、今回の国民投票結果が欧州諸国に与える悪影響によって、日米など非欧州主要国の経済が、奈落の底に引きずり込まれることは考えにくい。それどころか、米国では11月の大統領・議会選挙に向けて、日本では秋口とみられる第二次補正予算を含めた経済対策の発動に向けて、景気刺激的なスタンスをさらに推し進める大義名分ができた、と解釈することも可能だろう。
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いずれにせよ、今後の英国とEUの関係や、それが諸外国の経済に与える影響の度合いは、すぐには見えては来ないが、将来の政治的な方向性の萌芽は、6月28日(火)~29日(水)のEU首脳会議で、ある程度感じ取れるかもしれない。なお、EUに加盟していない欧州諸国で、EUと何らかの市場協定を結んでいる諸国として、現時点でノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイスがある(スイスは個別にEUと協定を締結、他3カ国は一括して)。英国の今後のEUとの関係が、この4カ国に近い形になるかどうかは、まだ不透明だ。
英国のEU離脱が特に日米などの非欧州諸国にとって、経済面では憂慮すべき状況ではないということが理解されていくにつれ、日本の株式市場への注目は本質に戻っていくだろう。すなわち、現株価水準が企業収益に比べて安すぎる、という点だ。
夏場にかけての国内株価動向は、売られ過ぎから適正水準への復帰という展開になろう。なお、過去の季節的な日経平均株価の習性をみると、8月までは株価が緩やかながら上がりやすく、9月に調整することが多いという点は、拙著「勝率9割の投資セオリーは存在するか」(東洋経済新報社)で検証しているので、ご参照されたい。
そうした流れの中で今週は、週末に日銀短観を含む多くの経済統計の発表が控えており、2月決算企業の3~5月期四半期決算の発表も増えてくる。少しずつ、参議院選挙の行方も気になってきそうだ。市場の眼が、英国から日本に戻ってくる展開が見込まれる。そうしたなか、今週の日経平均は徐々に底固めから立ち直りを見せると考え、1万4900円~1万5800円を予想する。
東洋経済
http://toyokeizai.net/articles/-/124510?page=2
【管理人コメント】
あと2年の間で離脱となるわけで、その間に世界経済もイギリスも体制を整えるだろう。
日本も今の為替と株の動きで、慌てて金融緩和の嵐では後々円の下落につながりかねない。
また、イギリスに進出した企業をどうするのかは考える必要がある。ただ、イギリスに進出している企業が撤退すれば、雇用は失われるわけで、離脱における懸念を間も当たりにすれば、様相も変わる可能性もある。当面は大揺れだろう。
英国から他のEU諸国に拠点を移す海外企業が増えるとの観測もあるが、英国のビジネス上の魅力はまず英語圏であり、国際会計をサポートする会計士や国際裁判に長けた弁護士が多いなど、これまでと変わらぬメリットも大きい。英国の資産運用業のノウハウも、長年の蓄積があり、すぐに揺らぐようなものではない。
英国のEU離脱が、英国経済や欧州経済全体に対する悪影響はあろうが、いざとなれば、BOE(イングランド銀行)やECB(欧州中央銀行)、各国政府も、緊急経済対策として打つ手はある。さらに、今回の国民投票結果が欧州諸国に与える悪影響によって、日米など非欧州主要国の経済が、奈落の底に引きずり込まれることは考えにくい。それどころか、米国では11月の大統領・議会選挙に向けて、日本では秋口とみられる第二次補正予算を含めた経済対策の発動に向けて、景気刺激的なスタンスをさらに推し進める大義名分ができた、と解釈することも可能だろう。
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いずれにせよ、今後の英国とEUの関係や、それが諸外国の経済に与える影響の度合いは、すぐには見えては来ないが、将来の政治的な方向性の萌芽は、6月28日(火)~29日(水)のEU首脳会議で、ある程度感じ取れるかもしれない。なお、EUに加盟していない欧州諸国で、EUと何らかの市場協定を結んでいる諸国として、現時点でノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイスがある(スイスは個別にEUと協定を締結、他3カ国は一括して)。英国の今後のEUとの関係が、この4カ国に近い形になるかどうかは、まだ不透明だ。
英国のEU離脱が特に日米などの非欧州諸国にとって、経済面では憂慮すべき状況ではないということが理解されていくにつれ、日本の株式市場への注目は本質に戻っていくだろう。すなわち、現株価水準が企業収益に比べて安すぎる、という点だ。
夏場にかけての国内株価動向は、売られ過ぎから適正水準への復帰という展開になろう。なお、過去の季節的な日経平均株価の習性をみると、8月までは株価が緩やかながら上がりやすく、9月に調整することが多いという点は、拙著「勝率9割の投資セオリーは存在するか」(東洋経済新報社)で検証しているので、ご参照されたい。
そうした流れの中で今週は、週末に日銀短観を含む多くの経済統計の発表が控えており、2月決算企業の3~5月期四半期決算の発表も増えてくる。少しずつ、参議院選挙の行方も気になってきそうだ。市場の眼が、英国から日本に戻ってくる展開が見込まれる。そうしたなか、今週の日経平均は徐々に底固めから立ち直りを見せると考え、1万4900円~1万5800円を予想する。
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