韓米FTA再協議・利上げ・景気失速・為替レート上昇…トランプ時代の4つの波
来年発足する米国のトランプ政権が韓米自由貿易協定(FTA)再協議で非常に高いレベルの関税率引き上げを要求する可能性があるという予想が出てきた。
法務法人・律村(ユルチョン)と韓国経済新聞社は17日、ソウル三成洞(サムソンドン)の繊維センターで「トランプ氏当選がもたらす規制環境変化」をテーマにセミナーを開いた。トランプ氏の当選で韓米FTAは再協議が避けられない見込みだ。
パク・サンテ律村顧問(元関税庁次長)は「米国は韓国のFTA事後検証の大幅緩和と牛肉、オレンジ、コメなどの関税撤廃を要求してきた」とし「電気・電子、ゴム、自動車など品目全般に対して常識のラインを越える関税率引き上げを提示するだろう」と分析した。米商務副次官補を務めたチョン・ドンス顧問は「韓国、中国などに対する為替操作国指定は中国の報復の可能性などを考慮すれば現実的に容易でない」という意見を出した。
米国の利上げの動きが速まるという分析もあった。イム・チョンジュン顧問(元ゴールドマンサックス本部長)は「空席の米連邦準備制度理事会(FRB)の理事にトランプ氏がタカ派を任命して急激な利上げに動けば、韓国は予想より大きな資金流出と家計負債問題に直面するかもしれない」と警告した。
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キム・ジョンシク延世大経済学部教授は「戦略的貿易政策」の必要性を強調した。キム教授は「米国が保護貿易主義に転換すれば通商圧力が強まり、為替レートが不安定になるだろう」とし「米国からの資源の輸入を増やし、対米貿易黒字を減らさなければいけない」と話した。米国の金融規制緩和と拡張的財政政策などによる金融危機の可能性も取り上げられた。
キム教授は「ドッド=フランク法など金融機関規制法案が撤廃されれば金融危機が再発することもある」とし「保護主義と拡張財政は短期的に景気浮揚効果があるだろうが、長期的には米国だけでなく世界経済を沈滞させるだろう」と述べた。 ハ・テヒョン顧問(元現代経済研究院院長)は「国内の政治が厳しい状況だが、一日も早く経済指令塔を確定し、トランプ時代がもたらす衝撃波に備えなければいけない」と指摘した。
http://japanese.joins.com/article/714/222714.html?servcode=300§code=300
【管理人 補足記事&コメント】
韓国経済の懸念材料は、米国の利上げである。2006年7月のアメリカの基準金利は5.25%であった。しかし、リーマンショックで景気が悪化するのを事前に防ぐため、連邦準備制度委員会は2007年9月から金利を下げ始め、2009年の年初には事実上のゼロ金利を実施、現在に至っている。また米国の量的緩和政策も終了している。
アメリカが金利を上げると、海外の投資資金は投資先からアメリカに還流することになり、韓国では株価の下落と通貨の下落が同時に起こる可能が高い。またアメリカが金利を上げると、韓国銀行も金利を上げざるをえなくなる。その結果、景気が低迷する中で金利の上昇は、より一層の景気悪化を招くだろう。韓国経済に大きな打撃を与える事になる。今でさえ経済は厳しいわけで、新興国では資本流出が起こり、新興国経済を萎縮させ、それは結果的に韓国輸出に悪影響をもたらす。何よりも利上げは金利負担の増加を意味するわけで、住宅購入などで多くの家計負債を抱えている韓国経済にとって時限爆弾となる。
また中国経済への傾斜を深めてきた韓国経済は、中国への経済依存度が高い。ところが、中国経済は最近になって成長が鈍化し、成長率は落ち込み、不動産バブルの崩壊などが公然と囁かれている。リーマンショックを乗り越えるために、中国政府が景気刺激に4兆人民元を投入した。それは中国及び世界経済を危機から救い出すことには成功したが、今はその後遺症として設備の過剰、鉄鋼などの供給過剰を発生させ、自国だけでなく世界経済成長の足かせにさえなっている。
さらに深刻なのは、韓国の年間予算370兆の、何と3倍にもなる家計負債を抱えている事である。家計負債の返済可能性を見る指標として可処分所得に占める家計負債の比率があるが、可処分所得に占める家計負債の割合は164%で、OECD加盟国の平均である135%を大きく上回る。加盟国の中では最高の水準だ。これだけの負債は今までは低金利時代で救われたが、金利が上昇すると、家計がそれに耐えられないだろう。韓国経済にとって一番大きな懸念材料と言える。
法務法人・律村(ユルチョン)と韓国経済新聞社は17日、ソウル三成洞(サムソンドン)の繊維センターで「トランプ氏当選がもたらす規制環境変化」をテーマにセミナーを開いた。トランプ氏の当選で韓米FTAは再協議が避けられない見込みだ。
パク・サンテ律村顧問(元関税庁次長)は「米国は韓国のFTA事後検証の大幅緩和と牛肉、オレンジ、コメなどの関税撤廃を要求してきた」とし「電気・電子、ゴム、自動車など品目全般に対して常識のラインを越える関税率引き上げを提示するだろう」と分析した。米商務副次官補を務めたチョン・ドンス顧問は「韓国、中国などに対する為替操作国指定は中国の報復の可能性などを考慮すれば現実的に容易でない」という意見を出した。
米国の利上げの動きが速まるという分析もあった。イム・チョンジュン顧問(元ゴールドマンサックス本部長)は「空席の米連邦準備制度理事会(FRB)の理事にトランプ氏がタカ派を任命して急激な利上げに動けば、韓国は予想より大きな資金流出と家計負債問題に直面するかもしれない」と警告した。
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キム・ジョンシク延世大経済学部教授は「戦略的貿易政策」の必要性を強調した。キム教授は「米国が保護貿易主義に転換すれば通商圧力が強まり、為替レートが不安定になるだろう」とし「米国からの資源の輸入を増やし、対米貿易黒字を減らさなければいけない」と話した。米国の金融規制緩和と拡張的財政政策などによる金融危機の可能性も取り上げられた。
キム教授は「ドッド=フランク法など金融機関規制法案が撤廃されれば金融危機が再発することもある」とし「保護主義と拡張財政は短期的に景気浮揚効果があるだろうが、長期的には米国だけでなく世界経済を沈滞させるだろう」と述べた。 ハ・テヒョン顧問(元現代経済研究院院長)は「国内の政治が厳しい状況だが、一日も早く経済指令塔を確定し、トランプ時代がもたらす衝撃波に備えなければいけない」と指摘した。
http://japanese.joins.com/article/714/222714.html?servcode=300§code=300
【管理人 補足記事&コメント】
韓国経済の懸念材料は、米国の利上げである。2006年7月のアメリカの基準金利は5.25%であった。しかし、リーマンショックで景気が悪化するのを事前に防ぐため、連邦準備制度委員会は2007年9月から金利を下げ始め、2009年の年初には事実上のゼロ金利を実施、現在に至っている。また米国の量的緩和政策も終了している。
アメリカが金利を上げると、海外の投資資金は投資先からアメリカに還流することになり、韓国では株価の下落と通貨の下落が同時に起こる可能が高い。またアメリカが金利を上げると、韓国銀行も金利を上げざるをえなくなる。その結果、景気が低迷する中で金利の上昇は、より一層の景気悪化を招くだろう。韓国経済に大きな打撃を与える事になる。今でさえ経済は厳しいわけで、新興国では資本流出が起こり、新興国経済を萎縮させ、それは結果的に韓国輸出に悪影響をもたらす。何よりも利上げは金利負担の増加を意味するわけで、住宅購入などで多くの家計負債を抱えている韓国経済にとって時限爆弾となる。
また中国経済への傾斜を深めてきた韓国経済は、中国への経済依存度が高い。ところが、中国経済は最近になって成長が鈍化し、成長率は落ち込み、不動産バブルの崩壊などが公然と囁かれている。リーマンショックを乗り越えるために、中国政府が景気刺激に4兆人民元を投入した。それは中国及び世界経済を危機から救い出すことには成功したが、今はその後遺症として設備の過剰、鉄鋼などの供給過剰を発生させ、自国だけでなく世界経済成長の足かせにさえなっている。
さらに深刻なのは、韓国の年間予算370兆の、何と3倍にもなる家計負債を抱えている事である。家計負債の返済可能性を見る指標として可処分所得に占める家計負債の比率があるが、可処分所得に占める家計負債の割合は164%で、OECD加盟国の平均である135%を大きく上回る。加盟国の中では最高の水準だ。これだけの負債は今までは低金利時代で救われたが、金利が上昇すると、家計がそれに耐えられないだろう。韓国経済にとって一番大きな懸念材料と言える。
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