受注低迷の現代重、手持ち工事量で今治造船に逆転許す
仕事量が減り、今年だけで少なくとも3-4基のドック(船舶を建造するための施設)の稼働を中止しなければならない。余剰人員も6000人に達する」
昨年、操業以来初めてドック1基の稼働中止に踏み切った現代重工業は20日、カン・ファング社長の名義で全社員に向けた談話を発表し、ドックのさらなる稼働中止に言及した。実際にドックの稼働が中止されれば、現代重工業が保有するドック計11基のうち約半数が稼働中止という史上初の事態となる。
カン社長は「今年の予想売り上げは15兆ウォン(約1兆4600億円)で、10年前の2007年と同じ水準まで落ち込んでいる。好況のときには1億6000万ドル(約181億円)だった大型原油タンカー(VLCC)の価格も、最近は7900万ドル(約90億円)とほぼ半額になってしまった」と述べた。売り上げ、利益構造とも泥沼にはまっているというわけだ。カン社長はさらなる人員削減にも言及した。
カン社長は「ドックが稼働中止になれば6000人の余剰人員が出る」として「債権団がリストラを求めてくるのは間違いない」と述べた。現代重工業は昨年も希望退職などにより4000人以上の大規模な人員削減を実施したが、今年も事情が好転しないというわけだ。現代重工業は現在、2万3000人の社員を抱えている。
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現代重工業の昨年1年間の受注実績は船舶約20隻で、年初の受注目標のわずか20%にとどまった。海洋プラント部門は2年で1件も受注していない。受注不振は世界的な造船不況によるものだが、現代重工業はライバル企業より深刻な打撃を受けている。世界の造船・海運市況を調査する英クラークソンがこの日発表した昨年末基準の手持ち工事量で、現代重工業は日本の今治造船所に抜かれ、世界3位に転落した。現代重工業が手持ち工事量で3位に転落したのは、激しい労使紛争が発生した1989年以来のことだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/23/2017012302864.html
【管理人 補足記事&コメント】
日本経済新聞によると、今治造船は2016年3月期の連結売上高が前の期比1%減の3747億円だったと発表している。引き渡した船の数は91隻と2隻増えたが、船の値下がりが響いたとした。最終損益は公表していないが、外国為替相場の円安が寄与し、増益となった。海運市況が低迷していることから、選別受注を進めたため、受注数は9隻減の44隻となった。
17年3月期は大型船の完成の谷間にあたることから「竣工ベースでは数値的に落ちる」(檜垣幸人社長)。ただ、18年3月期以降に液化天然ガス(LNG)船や大型コンテナ船の完成を見込んでおり、操業度は下がらないという。採算面では現状の為替水準が続けば、円高が収益の重荷になるとの見通しを示している。 本社を置く愛媛県今治市を中心に瀬戸内海にグループで9つの造船所を保有している。 新造船竣工量において国内トップ、造船売上高において三井造船に次いで国内2位を誇る。
韓国、 中国に世界首位の座を奪われた日本の造船業であるが、 直近では、 いわゆる中手造船業を中心に業績が好調である。 「中手」 の主要企業 (今治造船、 常石造船、 名村造船) の業績を見ると、 2014 年 3 月期までの 10 年間で今治造船は、 竣工量が約 3.5 倍、 売上高は約 4 倍に伸長した。 同じく常石造船と名村造船の竣工量は約 2 倍に、 売上高もそれぞれ約 1.5 倍に伸長するなど、 業績は大きく向上している。 今治造船は 2015 年 1 月 29 日、 400 億円を投じて、 香川県丸亀市に長さ 600m、 幅 80m の大型建造設備の新設をすると発表した。 同社が建造設備の新設を行うのは、 2000 年に西条工場を完成させて以来 16 年ぶりとなる。
中手造船所はいかにして長い不況期を乗り切り、 日本造船の屋台骨を支えるまでに成長したのだろうか。
一つは、 各社が得意船種 ・ 船型に特化して、 その分野での競争力を追求してきた製品戦略にある。 各社は建造に高度な技術を要さず、 船価も高くはないが、 安定した需要のあるバルクキャリア (ばら積み船) を主力商品とした。 バルクキャリアは海運市場で最も船腹量が多く運用されているため中古市場で売買しやすい、船舶管理がしやすいなどの点から、 中手の主要な顧客である日本の船主から安定した需要がある。 また、 船型や装備の標準化が進んでいることから、 同型の船舶を繰り返し建造することで、 設計の流用化、 部品の共通化、製造における習熟効果、 資材調達における規模の経済効果を得ることにより、 コスト競争力を高めていくことができた。 中手造船所のバルクキャリア比率は平均して約 7割で、 重工系の約 4 割を大きく上回っている。 高付加価値船の割合が高い韓国企業や日本の重工系造船会社が重視しなかった市場に注力した事が大きい。
二つ目としては、 「海事クラスター」 の存在がある。中手の多くが本拠地とする瀬戸内海沿岸地域には、 造船所、 製鉄所、 サプライヤー (舶用工業)、 船主、 金融機関等の関連産業が集積しており、 極めて効率的なサプライチェーンが構築されている。 そのため、 関係する各プレイヤーは緊密な連携を取ることができる。 さらに、 日本には、 世界で上位を占める日本郵船、 商船三井、 川崎汽船といった海運会社があり、 中手はこれらと国内の船主を介して強固な関係を築いている。 海運大手 3 社の船主を通じた国内造船所への発注割合は、 一時 8 割を超え、 安定需要で海事クラスターを成長させた。 部品 ・ 材料サプライヤーから最終ユーザーである海運業まで、ほとんど全ての分野がそろう海事クラスターは世界に例がない。
韓国には、材料や舶用機器などのサプライヤーは存在していても、 需要家である巨大な海運会社や船主はおらず、日本の海事クラスターと比較すれば限定的なものである。
昨年、操業以来初めてドック1基の稼働中止に踏み切った現代重工業は20日、カン・ファング社長の名義で全社員に向けた談話を発表し、ドックのさらなる稼働中止に言及した。実際にドックの稼働が中止されれば、現代重工業が保有するドック計11基のうち約半数が稼働中止という史上初の事態となる。
カン社長は「今年の予想売り上げは15兆ウォン(約1兆4600億円)で、10年前の2007年と同じ水準まで落ち込んでいる。好況のときには1億6000万ドル(約181億円)だった大型原油タンカー(VLCC)の価格も、最近は7900万ドル(約90億円)とほぼ半額になってしまった」と述べた。売り上げ、利益構造とも泥沼にはまっているというわけだ。カン社長はさらなる人員削減にも言及した。
カン社長は「ドックが稼働中止になれば6000人の余剰人員が出る」として「債権団がリストラを求めてくるのは間違いない」と述べた。現代重工業は昨年も希望退職などにより4000人以上の大規模な人員削減を実施したが、今年も事情が好転しないというわけだ。現代重工業は現在、2万3000人の社員を抱えている。
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現代重工業の昨年1年間の受注実績は船舶約20隻で、年初の受注目標のわずか20%にとどまった。海洋プラント部門は2年で1件も受注していない。受注不振は世界的な造船不況によるものだが、現代重工業はライバル企業より深刻な打撃を受けている。世界の造船・海運市況を調査する英クラークソンがこの日発表した昨年末基準の手持ち工事量で、現代重工業は日本の今治造船所に抜かれ、世界3位に転落した。現代重工業が手持ち工事量で3位に転落したのは、激しい労使紛争が発生した1989年以来のことだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/23/2017012302864.html
【管理人 補足記事&コメント】
日本経済新聞によると、今治造船は2016年3月期の連結売上高が前の期比1%減の3747億円だったと発表している。引き渡した船の数は91隻と2隻増えたが、船の値下がりが響いたとした。最終損益は公表していないが、外国為替相場の円安が寄与し、増益となった。海運市況が低迷していることから、選別受注を進めたため、受注数は9隻減の44隻となった。
17年3月期は大型船の完成の谷間にあたることから「竣工ベースでは数値的に落ちる」(檜垣幸人社長)。ただ、18年3月期以降に液化天然ガス(LNG)船や大型コンテナ船の完成を見込んでおり、操業度は下がらないという。採算面では現状の為替水準が続けば、円高が収益の重荷になるとの見通しを示している。 本社を置く愛媛県今治市を中心に瀬戸内海にグループで9つの造船所を保有している。 新造船竣工量において国内トップ、造船売上高において三井造船に次いで国内2位を誇る。
韓国、 中国に世界首位の座を奪われた日本の造船業であるが、 直近では、 いわゆる中手造船業を中心に業績が好調である。 「中手」 の主要企業 (今治造船、 常石造船、 名村造船) の業績を見ると、 2014 年 3 月期までの 10 年間で今治造船は、 竣工量が約 3.5 倍、 売上高は約 4 倍に伸長した。 同じく常石造船と名村造船の竣工量は約 2 倍に、 売上高もそれぞれ約 1.5 倍に伸長するなど、 業績は大きく向上している。 今治造船は 2015 年 1 月 29 日、 400 億円を投じて、 香川県丸亀市に長さ 600m、 幅 80m の大型建造設備の新設をすると発表した。 同社が建造設備の新設を行うのは、 2000 年に西条工場を完成させて以来 16 年ぶりとなる。
中手造船所はいかにして長い不況期を乗り切り、 日本造船の屋台骨を支えるまでに成長したのだろうか。
一つは、 各社が得意船種 ・ 船型に特化して、 その分野での競争力を追求してきた製品戦略にある。 各社は建造に高度な技術を要さず、 船価も高くはないが、 安定した需要のあるバルクキャリア (ばら積み船) を主力商品とした。 バルクキャリアは海運市場で最も船腹量が多く運用されているため中古市場で売買しやすい、船舶管理がしやすいなどの点から、 中手の主要な顧客である日本の船主から安定した需要がある。 また、 船型や装備の標準化が進んでいることから、 同型の船舶を繰り返し建造することで、 設計の流用化、 部品の共通化、製造における習熟効果、 資材調達における規模の経済効果を得ることにより、 コスト競争力を高めていくことができた。 中手造船所のバルクキャリア比率は平均して約 7割で、 重工系の約 4 割を大きく上回っている。 高付加価値船の割合が高い韓国企業や日本の重工系造船会社が重視しなかった市場に注力した事が大きい。
二つ目としては、 「海事クラスター」 の存在がある。中手の多くが本拠地とする瀬戸内海沿岸地域には、 造船所、 製鉄所、 サプライヤー (舶用工業)、 船主、 金融機関等の関連産業が集積しており、 極めて効率的なサプライチェーンが構築されている。 そのため、 関係する各プレイヤーは緊密な連携を取ることができる。 さらに、 日本には、 世界で上位を占める日本郵船、 商船三井、 川崎汽船といった海運会社があり、 中手はこれらと国内の船主を介して強固な関係を築いている。 海運大手 3 社の船主を通じた国内造船所への発注割合は、 一時 8 割を超え、 安定需要で海事クラスターを成長させた。 部品 ・ 材料サプライヤーから最終ユーザーである海運業まで、ほとんど全ての分野がそろう海事クラスターは世界に例がない。
韓国には、材料や舶用機器などのサプライヤーは存在していても、 需要家である巨大な海運会社や船主はおらず、日本の海事クラスターと比較すれば限定的なものである。
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