「ろうそく政府」でなぜ腐敗は消えなかったのか
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先週、韓国土地住宅公社(LH)をめぐる問題について謝罪するのを見て、友人のことを思い出した。親族や従業員名義の資産や銀行口座を持つ、金持ちの家の娘婿になった人物だ。時には貧しい親族たちが借名口座から金を引き出したり、財産を売って金を受け取ったりもしたという。そうしたことを見て、彼は自身の誠実さを振り返った。
「私も同じことをするだろうかと考えさせられた。もし自分の金ではない3億ウォン(約2900万円)を引き出すことができるなら、私はそれを取るだろうか? 完全に合法的だろうし、誰も痛手は負わない。事実、実際の持ち主は大金持ちだから、金がなくなったことすら分からないかもしれない」。しかし、彼は不正直な借名制のせいにして個人の不正直さを正当化してはならないと結論付けた。自分と妻をはじめとする家族たちの間で、また教授だった自分のことを師と仰ぐ若者たちとの間で結んだ関係に、目に見えない罪悪感の壁を築く行為だからだ。そのような考えの根っこには、どのような「完全犯罪」にもたった1人の証人、つまり神がいらっしゃるという深い確信があった。彼は神と社会、自分自身に対して清廉を守ることこそ、京畿道・東灘新都市の新しいマンションや6年分の米国での学費以上の価値があると判断したのだ。
内部情報を利用して新都市開発予定地の土地を購入したLH職員たちはなぜあんなことをしたのだろうか? 清廉になれなかったのだろうか? 良心がないのだろうか? 我々は皆、特権を乱用することは間違いであることを知っているのに、なぜこのような腐敗は後を断たないのだろうか? 法があいまいだったり、処罰が軽かったりするから? 一部の不道徳のため? 我々の道徳律が乱れているからだろうか?
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違法でずさんな建築の結果として、1994年に聖水大橋、1995年に三豊デパートが崩壊したのを覚えている。日常の構造物が我々を殺す可能性があるという不安はどれほど大きかったことか。ところが、LH問題に見られる通り、韓国社会は依然としてそのような不安を抱えている。法務部長官が正義の人なのか、税務公務員が正直に税金を扱うのかは、問う必要もないはずだ。だが、我々はその質問をし続けている。
腐敗の根源を抜本塞源(そくげん)するため、我々は「かつての世代の道徳的義務は今はもうない」ことを自分たちに教え込まなければならない。家族は以前に比べてはるかに小さくなり、今では自分が金を稼いでいるからと言って、親族の生活まで支える必要もない。 「国家」は今、大家族ではなく、国全体だ。現代の大韓民国は誇りを持つのに値する国である。子孫たちはこの国を建設するのに苦難を味わってきた人々に感謝しなければならない。韓国は偉大な国であり、この国の高齢者たちは韓国の歴史の真の英雄世代だ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/03/26/2021032680146_2.html
文大統領は任期当初から「民間と公共部門から腐敗を一掃する」と言っていた。ろうそくデモにより打ち立てられた現政権とはいえ、米国務省が作成中の『2020年国別人権報告書』に関する記事では、文大統領のこれまでの姿勢について、人権を重視するバイデン大統領は容赦ならないと考えている。文大統領の執政には、国をまとめて未来へ向かおうというイニシアチブはほとんど感じられない。それらしきことをしてはいるが、標語を言っているようなものだ。国際関係でも北朝鮮や中国、それにアメリカの顔色ばかり伺っているだけで、対日政策にしても、何ら関係改善に向けた具体的な動きを見せない。
韓国社会の対日感情を鑑みれば、日本との対話は時期尚早である。いや、そんなことよりも、アメリカが本気で怒りだす前に、与党や政府関係機関に巣くった腐敗の除去に精を出した方がまだ良さそうだ。今の韓国では、不正ありきのみならず、大統領自身が条約すら守らないのでは、韓国社会の不正はなくならないだろう。企業の不正に、不正を守るための規制が積み重なり、逆に不正の抜け道が複雑化し、逆に不正大国化しつつある。またウソで固められた行動が正当化するような国では、民度の低さを疑うしかない。
ろうそくデモにより打ち立てられた現政権は、またろうそくデモにより新政権を打ち立てたところで、繰り返しでしかない。政府と国民が自己都合であり、自己都合の自国政府では、国際社会と一体で行動は出来ない。負債だけが増加し、今後は国家破綻と背中合わせの時期を過ごすことになる。益々自己主張と不正は増加する。
「私も同じことをするだろうかと考えさせられた。もし自分の金ではない3億ウォン(約2900万円)を引き出すことができるなら、私はそれを取るだろうか? 完全に合法的だろうし、誰も痛手は負わない。事実、実際の持ち主は大金持ちだから、金がなくなったことすら分からないかもしれない」。しかし、彼は不正直な借名制のせいにして個人の不正直さを正当化してはならないと結論付けた。自分と妻をはじめとする家族たちの間で、また教授だった自分のことを師と仰ぐ若者たちとの間で結んだ関係に、目に見えない罪悪感の壁を築く行為だからだ。そのような考えの根っこには、どのような「完全犯罪」にもたった1人の証人、つまり神がいらっしゃるという深い確信があった。彼は神と社会、自分自身に対して清廉を守ることこそ、京畿道・東灘新都市の新しいマンションや6年分の米国での学費以上の価値があると判断したのだ。
内部情報を利用して新都市開発予定地の土地を購入したLH職員たちはなぜあんなことをしたのだろうか? 清廉になれなかったのだろうか? 良心がないのだろうか? 我々は皆、特権を乱用することは間違いであることを知っているのに、なぜこのような腐敗は後を断たないのだろうか? 法があいまいだったり、処罰が軽かったりするから? 一部の不道徳のため? 我々の道徳律が乱れているからだろうか?
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違法でずさんな建築の結果として、1994年に聖水大橋、1995年に三豊デパートが崩壊したのを覚えている。日常の構造物が我々を殺す可能性があるという不安はどれほど大きかったことか。ところが、LH問題に見られる通り、韓国社会は依然としてそのような不安を抱えている。法務部長官が正義の人なのか、税務公務員が正直に税金を扱うのかは、問う必要もないはずだ。だが、我々はその質問をし続けている。
腐敗の根源を抜本塞源(そくげん)するため、我々は「かつての世代の道徳的義務は今はもうない」ことを自分たちに教え込まなければならない。家族は以前に比べてはるかに小さくなり、今では自分が金を稼いでいるからと言って、親族の生活まで支える必要もない。 「国家」は今、大家族ではなく、国全体だ。現代の大韓民国は誇りを持つのに値する国である。子孫たちはこの国を建設するのに苦難を味わってきた人々に感謝しなければならない。韓国は偉大な国であり、この国の高齢者たちは韓国の歴史の真の英雄世代だ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/03/26/2021032680146_2.html
文大統領は任期当初から「民間と公共部門から腐敗を一掃する」と言っていた。ろうそくデモにより打ち立てられた現政権とはいえ、米国務省が作成中の『2020年国別人権報告書』に関する記事では、文大統領のこれまでの姿勢について、人権を重視するバイデン大統領は容赦ならないと考えている。文大統領の執政には、国をまとめて未来へ向かおうというイニシアチブはほとんど感じられない。それらしきことをしてはいるが、標語を言っているようなものだ。国際関係でも北朝鮮や中国、それにアメリカの顔色ばかり伺っているだけで、対日政策にしても、何ら関係改善に向けた具体的な動きを見せない。
韓国社会の対日感情を鑑みれば、日本との対話は時期尚早である。いや、そんなことよりも、アメリカが本気で怒りだす前に、与党や政府関係機関に巣くった腐敗の除去に精を出した方がまだ良さそうだ。今の韓国では、不正ありきのみならず、大統領自身が条約すら守らないのでは、韓国社会の不正はなくならないだろう。企業の不正に、不正を守るための規制が積み重なり、逆に不正の抜け道が複雑化し、逆に不正大国化しつつある。またウソで固められた行動が正当化するような国では、民度の低さを疑うしかない。
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