アジア通貨危機から20年、韓国30大企業は11社のみ存続
1997年1月、財界14位だった韓宝グループの主力系列会社、韓宝鉄鋼が不渡りを出した。以降、三美、真露、韓信工営などの大企業の倒産が相次ぎ、7月には起亜グループが事実上の破綻状態に陥った。年末までにサンバンウル、ヘテが和議を申し立て、高麗証券、漢拏グループも相次いで破綻した。外貨不足で国家デフォルト(債務不履行)の危機に直面すると、韓国政府は97年11月21日、国際通貨基金(IMF)に金融支援を申し込んだ。数兆ウォンの公的資金が破綻企業の再生に投入されたが、通貨危機で多くの企業が歴史の中に消え去った。
数多くの企業の存亡により、通貨危機は韓国の財界地図を一気に揺るがした。危機直後の98年と20年後の現在の30大企業グループの現状を見れば明らかだ。30大グループのうち19のグループは解体されたか、消滅したか、経営規模が縮小し、30大グループから脱落した。1967年に大宇実業を母体として財界3位に浮上した大宇グループは、攻撃的な拡大経営を続けた結果、資金難に耐えかねて破綻した。現在まで大宇の社名を維持している大宇建設は売却作業を進めており、大宇造船海洋は放漫経営と世界的な業界不振で危機に直面している。
大宇だけでなく、双竜(7位、以下通貨危機当時の順位)、東亜(10位)、高合(17位)、真露(22位)、東洋(23位)、ヘテ(24位)など11グループが消えた。漢拏、ハンソル、コーロン、東国製鋼などは20年の歳月に浮沈を繰り返し、30位圏外へと脱落した。 分裂したグループも4つある。財界1位だった現代グループはいわゆる「王子の乱」などで9つのグループに分割された。グループの母体である現代グループは金剛山観光事業が南北関係の行き詰まりで10年近く中断し、昨年には現代商船の系列分離した。一方、現代グループから分離した現代自動車は財界2位に浮上し、現代重工業、現代百貨店も30大グループにとどまっている。5つのグループに分割されたLGグループは、母体のLGをはじめ、GS・LSグループが以前健在だ。
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サムスン、LG、暁星などは危機を機会に変え、経営規模を拡大し、世界トップの製品を生産する企業への飛躍した。サムスンは通貨危機当時、社内の財務チームが経営状態を診断した後、「利益が出るか」を基準に主力事業を電子、金融、貿易などに圧縮。残る系列会社を果敢に整理した。財界関係者は「技術提携、技術開発などに果敢に投資し、独自の競争力確保に力を入れてきたことが、現在のサムスンを形づくった」と指摘した。20年前に51兆ウォンだったサムスンの総資産は7倍以上の363兆ウォンへと増えた。
LGもGSとLSが系列分離したが、電子、ディスプレー、化学など主力業種に集中し、4位を守っている。通貨危機直後に11位だったロッテは財界5位に浮上し、最も順位を上げた。過去20年でポスコ、KT、新世界、未来アセット、韓国投資金融など15のグループが新たに30大グループに仲間入りした。通貨危機前の97年4月、サムスンから分離した新世界とCJは売り上げの伸び、合併・買収(M&A)などで事業を拡張し、30大グループ入りを果たした。
http://www.chosunonline.com/
アジア通貨危機の政策的な教訓としては、次の点が重要である。 マクロ経済を健全に保つことが危機を防ぐ必要条件ではあるが、十分条件ではない。ドル・ペッグ制は、国内経済の景気動向とは無関係に実質為替が増価したり減価したりするので、ブームとその崩壊など、景気の振幅が大きくなりやすい。また為替リスクへの借り手、貸し手の経済の脆弱性を高めやすい。その結果、金融セクターのバランス・シートが脆弱になる。 経常収支赤字の継続は、経済の脆弱性を高めることになる可能性が高い。金融セクターの脆弱性(とくに、ダブル・ミスマッチ)は銀行危機・通貨危機の可能性を高める。 外貨準備の不足(満期1年未満の対外債務残高以下のレベル)は通貨危機の可能性を高める。
IMFや各国による危機の予知・予防は重要であるが、万全ではないかもしれない。IMFのコンディショナリティーは、危機の深化を食い止めるためにその国に必要なマクロ政策を優先させるべきである。構造政策を約束させることで、市場の信頼を得ようという手法はしばしば逆効果になることがある。 通貨危機の発生が流動性の危機の場合には、「最後の貸し手」による流動性供給(外貨貸し付け)により、危機の深化を食い止めることができる。しかし、通貨危機の発生がファンダメンタルズの脆弱性に起因する場合には、流動性供給は経済改革を遅らせるだけである。 通貨危機が起きたときには、大きな通貨下落が銀行危機につながる可能性がある。 民間債務や公的債務の融資枠維持または債務削減は、危機の収束に有効である場合とない場合がある。
韓国はその危機の発生の状況(マクロ経済はよかった)、危機の収拾の仕方(IMFによる貸し手への融資残高維持要請でパニックが収まった)、その後の経済急回復からみて、基本的には、債務危機ではなく、流動性の危機であったが、次の自国通貨危機ではそう単純ではない。自国企業の低迷はマクロ経済自体も低下しているわけで、国家の成長戦略として、産業リスク分散で広く分けるのか、依存してでも特化した産業で生き残るのかで大きく対応が変わる。大量生産低コストで成長してきた韓国経済が、中国に奪われるのも時間の問題だが、中小企業雇用9割で、自国民生活は中小企業であるから、中小企業体力をつける必要がある。企業をまとめ連携させて、設備と人材共有を確立し、営業力を拡大する事である。そのうえで大企業における成長戦略を見出すことが必要となる。
数多くの企業の存亡により、通貨危機は韓国の財界地図を一気に揺るがした。危機直後の98年と20年後の現在の30大企業グループの現状を見れば明らかだ。30大グループのうち19のグループは解体されたか、消滅したか、経営規模が縮小し、30大グループから脱落した。1967年に大宇実業を母体として財界3位に浮上した大宇グループは、攻撃的な拡大経営を続けた結果、資金難に耐えかねて破綻した。現在まで大宇の社名を維持している大宇建設は売却作業を進めており、大宇造船海洋は放漫経営と世界的な業界不振で危機に直面している。
大宇だけでなく、双竜(7位、以下通貨危機当時の順位)、東亜(10位)、高合(17位)、真露(22位)、東洋(23位)、ヘテ(24位)など11グループが消えた。漢拏、ハンソル、コーロン、東国製鋼などは20年の歳月に浮沈を繰り返し、30位圏外へと脱落した。 分裂したグループも4つある。財界1位だった現代グループはいわゆる「王子の乱」などで9つのグループに分割された。グループの母体である現代グループは金剛山観光事業が南北関係の行き詰まりで10年近く中断し、昨年には現代商船の系列分離した。一方、現代グループから分離した現代自動車は財界2位に浮上し、現代重工業、現代百貨店も30大グループにとどまっている。5つのグループに分割されたLGグループは、母体のLGをはじめ、GS・LSグループが以前健在だ。
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サムスン、LG、暁星などは危機を機会に変え、経営規模を拡大し、世界トップの製品を生産する企業への飛躍した。サムスンは通貨危機当時、社内の財務チームが経営状態を診断した後、「利益が出るか」を基準に主力事業を電子、金融、貿易などに圧縮。残る系列会社を果敢に整理した。財界関係者は「技術提携、技術開発などに果敢に投資し、独自の競争力確保に力を入れてきたことが、現在のサムスンを形づくった」と指摘した。20年前に51兆ウォンだったサムスンの総資産は7倍以上の363兆ウォンへと増えた。
LGもGSとLSが系列分離したが、電子、ディスプレー、化学など主力業種に集中し、4位を守っている。通貨危機直後に11位だったロッテは財界5位に浮上し、最も順位を上げた。過去20年でポスコ、KT、新世界、未来アセット、韓国投資金融など15のグループが新たに30大グループに仲間入りした。通貨危機前の97年4月、サムスンから分離した新世界とCJは売り上げの伸び、合併・買収(M&A)などで事業を拡張し、30大グループ入りを果たした。
http://www.chosunonline.com/
アジア通貨危機の政策的な教訓としては、次の点が重要である。 マクロ経済を健全に保つことが危機を防ぐ必要条件ではあるが、十分条件ではない。ドル・ペッグ制は、国内経済の景気動向とは無関係に実質為替が増価したり減価したりするので、ブームとその崩壊など、景気の振幅が大きくなりやすい。また為替リスクへの借り手、貸し手の経済の脆弱性を高めやすい。その結果、金融セクターのバランス・シートが脆弱になる。 経常収支赤字の継続は、経済の脆弱性を高めることになる可能性が高い。金融セクターの脆弱性(とくに、ダブル・ミスマッチ)は銀行危機・通貨危機の可能性を高める。 外貨準備の不足(満期1年未満の対外債務残高以下のレベル)は通貨危機の可能性を高める。
IMFや各国による危機の予知・予防は重要であるが、万全ではないかもしれない。IMFのコンディショナリティーは、危機の深化を食い止めるためにその国に必要なマクロ政策を優先させるべきである。構造政策を約束させることで、市場の信頼を得ようという手法はしばしば逆効果になることがある。 通貨危機の発生が流動性の危機の場合には、「最後の貸し手」による流動性供給(外貨貸し付け)により、危機の深化を食い止めることができる。しかし、通貨危機の発生がファンダメンタルズの脆弱性に起因する場合には、流動性供給は経済改革を遅らせるだけである。 通貨危機が起きたときには、大きな通貨下落が銀行危機につながる可能性がある。 民間債務や公的債務の融資枠維持または債務削減は、危機の収束に有効である場合とない場合がある。
韓国はその危機の発生の状況(マクロ経済はよかった)、危機の収拾の仕方(IMFによる貸し手への融資残高維持要請でパニックが収まった)、その後の経済急回復からみて、基本的には、債務危機ではなく、流動性の危機であったが、次の自国通貨危機ではそう単純ではない。自国企業の低迷はマクロ経済自体も低下しているわけで、国家の成長戦略として、産業リスク分散で広く分けるのか、依存してでも特化した産業で生き残るのかで大きく対応が変わる。大量生産低コストで成長してきた韓国経済が、中国に奪われるのも時間の問題だが、中小企業雇用9割で、自国民生活は中小企業であるから、中小企業体力をつける必要がある。企業をまとめ連携させて、設備と人材共有を確立し、営業力を拡大する事である。そのうえで大企業における成長戦略を見出すことが必要となる。
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