韓国経済News

昨年6月にソウル市麻浦区の「事後免税店」（商品を購入後、空港などで税金の還付を受ける中小免税店）には「閉店」という告知が掲げられ、扉が閉まっていた。事後免税店はほぼ100％が中国人団体観光客に依存しているため、影響が大きい。付近の不動産業界関係者は「昨年からTHAAD問題で中国との対立が始まり、東橋洞、西橋洞、延南洞一帯の事後免税店を訪れる中国人団体観光客のバスがほとんど見られなくなった。事後免税店1カ所は売りに出されている」と話した。

THAAD配備に対する中国の報復措置による被害は産業界全体に広がっている。既にホテル、免税店、航空会社など旅行関連業界には大規模な予約キャンセルによる被害が現実化しており、食品、物流などの分野も被害を受けている。地方自治体では修学旅行、文化交流などの行事が中止されている。

中国人観光客による特需に沸いた済州道では、8日だけで旅行会社28社から11万4493人の中国人観光客の予約キャンセルがあった。7日には外国人観光客2000人を乗せた中国発のクルーズ船が天候などを理由に入港を取りやめた。釜山市は中国が15日から6月末までクルーズ船の韓国寄港を禁止したとの情報をつかみ、対策に乗り出した。釜山市を昨年訪れた外国人観光客297万人のうち94万人が中国人だったが、うちクルーズ船の乗客は70万人に達していた。

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済州道のコンドミニアムでは今月に入り、中国人観光客による予約キャンセルが80％に達し、中国人観光客を受け入れる地元で最大の旅行会社「ニュー・ファチョン国際旅行社」は15日前後から営業を中断する予定だという。

韓国食品業界の輸出も非常事態だ。韓国農林畜産食品部（省に相当）が最近、食品業者12社を対象にTHAAD問題による影響を調査したところ、オリオン、セムピョ食品、ウリスル、OKF、ロッテ七星の5社から「中国政府は商品表示などを以前より厳しくチェックする貿易報復を開始したとみられる」との回答を得た。同部は3－5月に中国で開催する予定だった農産物・食品関連の見本市も無期限延期した。慶尚北道は陝西省西安市の修学旅行担当者約500人を対象とする広報説明会を来月開く予定だったが渡航を中止するとの通告を受けた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/03/10/2017031000911.html

【管理人 補足記事＆コメント】
近年、中国人観光客を狙ってオープンしたホテルが多く、今後、サード報復の影響がより大きくなる可能性が高くなった。今年だけでソウル明洞一帯には、パルナスホテルとマリオット・インターナショナルがそれぞれ新しいホテルをオープンした。昨年もロッテホテル2カ所、マリオット1カ所、ハナツアー1カ所がそれぞれ明洞で新たにホテル営業を開始した。明洞エリアのホテル関係者は「最近、明洞と忠武路一帯でホテルの供給が大幅に増えた状況で、中国政府の韓国旅行禁止措置まで下されて心配だ」と憂慮している。

中国観光客の団体客は制限されキャンセルが続くだろう。その分個人旅行客が増えるのでは…。日本人観光客が減少した時も、ホテルはガラガラと報じていたが、結局その年は中国人観光客増加に助けられた。今回は日本人観光客が増加することもなく、中国人観光客の減少であるから、韓国観光業界は必至だろう。ただ個人まで制限していないので、個人客がどれだけ伸びるかによるのだろう。

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